プリンスが自宅兼スタジオで亡くなっているのが見つかった。57歳だった。
国内外複数のメディアの情報によると、遺体は4月21日、ミネソタ州ミネアポリスの自宅のエレベーター内で発見された。死因は現時点で発表されていない。
生涯39作ものスタジオ・アルバムを発表。レコード・CDの総売上枚数は1億5000万枚以上にものぼり、グラミー賞は7回受賞。
自伝映画「Purple Rain」のサウンドトラックはアカデミー賞にも輝き、2004年にはロックの殿堂入りを果たしている文字どおりのレジェンドである。
さらに中性的かつセクシーなビジュアルと独創的な歌詞の世界観も人気を博し、唯一無二の存在として、今なお世界中に多くのフォロワーを生み出している。
プリンスの音楽を語るとき、どのジャンルにもカテゴライズできない変幻自在な姿をしているため、いろいろな角度からさまざまな分析がなされているが、一般的にはジャズやファンク、R&B、ソウル、ロックなどに分類されることが多く、さらにはダンスミュージック・シーンにも多大な影響を与えてきた。
プリンスの楽曲は、ハウスシーンの黎明期からフランキー・ナックルスやロン・ハーディにより、シカゴのウエアハウス・パーティでプレイされ、後に産まれるデトロイト・テクノにも多大な影響を与える。
その第一人者であるデリック・メイは、1997年のMixmagのインタビューで、
「俺にとってアーティストとはプリンスのことだ。遠慮なく言いたいことを言い、同時に金を生み出すんだ」
と敬意を現し、シカゴ・ハウスのレジェンド、フェリックス・ダ・ハウスキャットは、“We All Wanna Be Prince”という彼の活躍を評するかのようなタイトルのシングルをリリース。
さらに、ムーディマンは、1997年に彼のアルバム『1999』の収録曲“All the Critics love U in New York”のリエディット“U Can Dance If U Want 2”を発表するなど、数えきれないほどのダンスミュージック系アーティストが敬意を表している。
その影響力は、ジャンルを跨ぎ様々なシーンにまで波及。
今回の訃報にあたりスティーヴ・アオキは、プリンスの代表作「Purple Rain」収録の“Let’s Go Crazy”のリリックを引用し、
「大切な人へ、我々は今日ここに集まっている、人生と呼ばれるものを過ごすために #Prince #RIP 」
とツイート。
さらには、エクスペリメンタル・ジャズ・シーンのトップ・アーティスト:フライング・ロータスは、
「本当のレジェンドにご冥福を……。この世の中は彼無しではいままでと一緒じゃないよ」
と悲しみをあらわにした。
リッチー・ホウティンは
「すごく悲しいニュースだ。プリンス、いままでの記憶、音楽、そしてインスピレーションをありがとう」
と追悼と共に感謝の意を示す。
マーティン・ソルヴェグは
「今日プリンスが死んだなんて信じられない。ぼくを構成する断片が失われたんだ。#rip」
とコメントしている。
そしてファンク・レジェンド:ナイル・ロジャースは、プリンスとデビッド・ボウイと最期にステージに立った時の動画を投稿し追悼の意を込めた。
我々はまた音楽史に名を残す偉大なアーティストを失った……。
本稿では、彼の名曲を振り返りつつ哀悼の意を表したい。
偉大なる音楽家、プリンスの名曲を振り返る
“1999”
スタジオ・アルバムとしては5作目となる「1999」は1982年にリリースされ全米400万枚のヒット。
のちに80年代を席巻することになるプリンスにとっての最初の節目となったアルバム。
そのタイトルトラック“1999”は高速のドラム&ビートが特徴的なシンセ・ポップで、シングルが全米で12位入り。世界各国のディスコやクラブを席巻した。
“Kiss”
プリンスが監督、主演を務めた映画「アンダー・ザ・チェリームーン」。
そのサウンドトラックとして1986年にリリースされた「Parade」。
そこに収録された“Kiss”は、余分な音を極限まで削ぎ落としながらもグルーヴィーな仕上がりで、シングルとしても全米No.1のヒットに。
「NME」はこの曲をオールタイム・グレイテストシングルス150の中で4位に選んでいる。
“When Doves Cry”
自伝映画「Purple Rain」のサウンドトラックとして1984年にリリースされ1300万枚を売り上げたアルバム「Purple Rain」からのシングル。
“ビートに抱かれて”の邦題でも知られるこの曲は、ベースを廃した前衛的な楽曲ながら、実験性とポップネスを両立。
全米200万枚のヒットとなり、ローリング・ストーン誌の選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500でも52位にランクインしている。
“Purple Rain”
最後に紹介するこの曲は、アルバム「Purple Rain」の表題作でありプリンスの代表的作品。
サウンドはロック寄りにかつどこかサイケデリックに深化。
シングルもアメリカ、イギリス、オーストラリアなど世界各国のチャートを席巻。
ピッチフォーク・メディアはこの曲を1980年代のベスト・ソングに選んでおり、ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500でも143位にランクインしている。
R.I.P.