10月22日(日)から約1ヵ月に渡って繰り広げられた『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017』。
計14イベント、総勢150組以上のアーティストが出演したこのフェスティバル。ジャンルの枠組みを超え、さらにはライヴだけでなくトークショーや映画の上映会など、実に様々な催しが行なわれ、いずれも大盛況のもと終了した。
“東京”にまつわる歌詞をフィーチャーし、アーティストたちが紡ぐ言葉の魅力に迫った『言霊 KOTODAMA 言霊歌詞展覧会』では、改めて音楽の中に息づく言葉=歌の奥深さを感じ、TOWER RECORDS SHIBUYAが一日限りのライヴハウスへと変貌した『音楽摩天楼 ONGAKU MATENRO 渋谷音楽円盤摩天楼』では、アイドル〜ロックまで多種多様なサウンドを体感。一方で、本祭の中でも最も異色の『FILM NIGHT 悪霊仮装上映会』は、まさにカルトの極致と言える空間に多くのマニアが来場。
人々はなぜ東京を歌うのか『言霊 – KOTODAMA』レポート
SeihoとOkadadaというテン年代の旗手が新たな才能を発掘すべく開催された『AT THE CORNER 未来才能全員集合祭』では、時代の変化と新世代の可能性を導き、今回最もビッグなイベントとなった『SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点』では、異なる音楽が交錯することで生まれる化学反応に大勢のオーディエンスが歓喜した。
4つのジャンルの音楽とアーティストの交差点《SOUND JUNCTION》レポート
さらには、『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO PRESENTS MUTEK CLOSING PARTY 媒体芸術未来館』で音楽の未来を提示し、『TINY VOICE WORKSHOP 音楽創出工房』でヒットの法則を学び、『歌謡浪漫 KAYOU ROMAN 歌謡浪漫限定宴会』では日本の音楽がフロアで機能することを証明。
そして、即興という名の下にプロのミュージシャンたちの本気、一瞬の輝きを堪能した『ROUND ROBIN 一発本番即興演奏』。ラストは世界中で愛され、ダンスミュージック界の巨匠をも感化してきたゲームミュージックの歴史を一晩に凝縮し、その神髄を謳歌した『DIGGIN’ IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭』。
時を超え輝き、愛されるゲームミュージックはダンスフロアでも……
これまで『Red Bull Music Academy』を筆頭に、各地で音楽が花開くべく“翼”を授けてきたレッドブルが、今回世界に先駆け初めて開催した『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017』。それは、東京というあらゆるカルチャーを内包した都市の中で様々な角度から音楽を掘り下げ、その素晴らしさを伝えたなんともカルチュアルな1ヵ月間。
世界中でフェスが乱立し、いまやシュレディンガーの猫さながらの未確定要素が多い状況において、相当にチャレンジングなことを本祭ではやってのけた。それも、猖獗を極めるフェスの真の在り方が懸念されるなか、あくまで音楽という文化に真摯に向き合い、知名度に左右されることなく闊達なアイディアと探究心で駆け抜けたことは、実に素晴らしいことだったと思う。出会いの場、発見の場、教育の場、様々な場として機能し、音楽の楽しさを改めて感じさせてくれた。
あらゆる意味で爛熟期・過渡期を迎えたシーンに対して、ある種の分水嶺として一石を投じた本祭。これが継続されることでまた何かが変わっていく可能性は大きい。それだけに来年、再来年も、長きに渡って行なわれていくことに期待したい。
Photo:
Yasuharu Sasaki, So Hasegawa, Suguru Saito, Yusuke Kashiwazaki, Keisuke Kato / Red Bull Content Pool