春を彩る言葉は数多くあるけれど、この日、脳裏をよぎったのは“春宵一刻値千金”。「ミライノサクラ」はまさに春ならでは、春だからこそ味わえる得も言われぬもので、結論から言えば来年もぜひ……。

“一生に一度の桜を未来へ”をテーマに昨年に引き続き開催されたインスタライヴ「NEX STAGE presents 『ミライノサクラ2022〜未来への扉〜』」。前回の東京タワーも素晴らしかったが、今回の舞台は世界中の人々を魅了する日本屈指の庭園・八芳園。港区白金台という場所にある花鳥風月の極致で桜はもちろん、ミライノサクラを愛でる、なんとも乙。

それこそ過去……江戸時代には徳川家康の側臣・大久保彦左衛門の屋敷があり、明治時代には実業家・渋沢喜作、大正時代には日立製作所などの基礎を築いた久原房之助へと渡った由緒正しき彼の地が、この日はミライへと時を繋ぐべく、現代のデジタルとエンターテインメントをともなった新たな空間に。悔しくも天候には恵まれなかったが、屋外には副題にもある“未来への扉”を感じさせるオーナメントやLEDモニター。屋内にもデジタル技術を駆使したバーチャルの桜が咲き乱れるなど、その演出は微に入り細を穿った見事なもの。

そして、パフォーマンスもまた豪華で、まずはDAISHI DANCE。津軽三味線奏者・吉田兄弟とのコラボレーションは場所と相まって和との蜜月がスケールアップ。続くはYonYonが軽快なプレイで春の空気を彩り、さらには一十三十一とコラボ。令和版アーバンシティポップ極まれりといった感じで、新進気鋭のHiplinはしっとり&センチメンタルな春を。さらにはDJ HASEBEが相変わらずのメロウなサウンドで観客を魅了し、ゲストボーカル・おかもとえみとの共演も良き。

後半はMINMIから。m-floとの“Lotta Love”をはじめとする名曲の数々を披露。その圧倒的なパフォーマンスに誰もが見惚れ、興奮状態に。それに拍車をかけたのが本祭のMCでもある☆Taku Takahashi。オーディエンスを見事に鷲掴み。続くTENDREのライヴはなんともエモーショナルでこういう春もまた素晴らしく、一方でTJOが演出する享楽感たっぷりの春も最高。そして、トリを務めたのはSIRUP。その心地よいグルーヴはまさに春の宴。音、演出、あらゆる部分で様々な春を感じさせてくれるひとときだった。ミライノサクラ、ぜひ春の夜の素晴らしさを来年も。

「NEX STAGE presents 『ミライノサクラ2022〜未来への扉〜』」

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