次代のダンスミュージックシーンを担う若手アーティストを紹介する“U25アーティストファイル”。ケイトラナダやムラマサ、カイゴにフィーチャーした特集第一弾に続き、今回は「Skin」で第59回グラミー賞の最優秀ダンス&エレクトロニック部門を受賞したフルームに加え、DJアール、メトロ・ブーミンの3組にフォーカス。
現行のシーンで確固たる地位を築く彼らだが、果たして彼らに成功をもたらしたものとは……。
FLUME
ダンスの本流とは異なる角度から鋭くえぐる個性の塊
2016年早春、ディプロがゼッドの“Candyman”を彼のパクリだとツイート。2人の間で舌戦が繰り広げられたとき、果たして彼は何を思っていたのか。いずれにせよ大物2人の間に突如担ぎ上げられた彼は悪い気分ではなかったはず。
@Zedd wtf is this?..https://t.co/cN1VAaxDAA 👎🏻👎🏻👎🏻 fake flume drop ft m&ms? It's not OK do this man come on .. It's not all about the 💰
— Dip (@diplo) 2016年3月21日
ディプロが“パクリ”というからには、そこには絶対的な個性があってこそ。いわば讃えていたと言っても過言ではない。そんな彼の名はフルーム。オーストラリアはシドニー出身の彼は現在25歳。
21歳という若さでチェット・フェイカーら擁する地元豪の名門Future Classicからデビューアルバム「Flume」を発表。トラップ〜フューチャーベース、さらにはインディダンスなど様々な音楽性を介したそのサウンドはすぐさま世界へと伝わり、『Coachella』や『Lollapalooza』といった世界的フェスに出演。
フェスはフェスでも『UMF』や『Tomorrowland』ではないあたりに、直系エレクトロニックミュージックの系譜とはひと味違ったものを感じさせるが、その後の彼はサム・スミスやディスクロージャー、さらにはロードらのリミックスを手掛けさらなる名声を獲得。
そして、昨年リリースしたセカンドアルバム「Skin」にはヴィック・メンサやレイクウォン、ヴィンス・ステイプルズといったラッパーから、リトル・ドラゴンやトーヴ・ローら北欧系、そしてUK期待のアルーナジョージに加えベックといった大御所まで参加し新たなスタイルを提示。よりポップになったそのサウンドは、昨今のダンスミュージックとはまたまた一線を画すものに。
現代のカルチャーを物語る上で、メディアがアーティストを“ポスト○○”とカテゴライズすることはままあるが、彼はそれが非常に困難な存在だ。ディプロも認めたその個性は今後いかなるものへと進むのか。
ちなみに、彼は2016年版のDJ Magのランキングでは初登場94位にランクインしたが、直系ダンスシーンとの繋がりはいかに。彼が打ち出す次なる一手が非常に興味深い。
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