近年世界的なブームが続くアナログレコード。
アメリカでは2015年のアナログ盤の売り上げが、ストリーミング配信の売り上げを追い抜き、ここ日本ではHMVがアナログレコード専門の大型店を渋谷にオープン。
さらには一度生産終了したターンテーブルの名器:TechnicsのSL-1200が復活するなど、再評価の流れが続いている。
そんななか、ネットではとある中古レコードの話題でもちきりだ。
画像投稿サイト:Imgurにアップされたこの画像は、ある投稿者がDiscogsで購入したバンド:サウンドガーデンの中古のアルバムに入っていた手紙。
そこで語られているのはこのレコードの前の持ち主:マークに対する、母:サビーネの涙なしでは語れない思いだった。
「コレクターの方へ
このレコードがどこから来たのか知りたい人に
わたしはマークの母親です。マークは2002年にこの世を去りました。彼は39歳のとき、オレゴン海岸の山をランニング中に心臓発作にみまわれました。ただ不幸中の幸いは最後の地が美しい場所で、最も好きだったランニングをしながら、音楽と彼の息子のカイ(マークはサーファーだったのです)とともにあったことです。
マークは大学時代の80年代からレコードを集めていました。一度彼が持っている全てのレコード(2000枚のCDと600枚のLP)を家に運んできたとき、尋ねたことがあります。
「あなたにもしものことがあったら、全ての音楽をどうしてほしい?」
「母さんが聴いてよ」とマークは言っていました。
聴いたのは実は少しだけなのですが、今がこれをシェアするときなのだと思います。リサーチし、リストを作り、発送し……とできうるかぎり最良のことをしていますが、この音楽たちが世界中にシェアされるのを見るのは、私にとっての癒やしなのです。
売り上げはカイの教育費に充てられる予定です。あなたのサポートに感謝します。
プレイするときは、マークのために大音量で!
ありがとう。サビーネより」
サビーネは今もDiscogsでレコードコレクションの販売を続けているようだ。
https://www.discogs.com/ja/seller/Omabina74/profile
UKアンダーグラウンドの重鎮:アンドリュー・ウェザオールが過去にインタビューで
「古本を買って、俺の前は誰がこの本を持っていたんだろう、どんな歴史があるんだろうって考えるのが好き」
と語ったように、レコードでも古本でも、車でも、中古で購入するものには以前の持ち主の思いや痕跡を感じられるものがある。
これは電子データとの大きな違いで、フィジカルなメディアの魅力の一つ。
あなたも中古レコードを手にしてみてはいかがだろうか。もしかすると今回の手紙を超えるような、想像もしない出会いがあるかもしれない。