ダンスミュージックシーンにおけるひとつの大きな指針・ステータスとして、DJ・アーティストを紹介する際の枕詞に使われることが多い英メディア・DJ MAGの世界人気DJランキング「TOP 100 DJs」。

世界中のファンによる投票などで決まるこのランキングの最新、2018年度版が発表された。

今回見事1位に輝いたのはマーティン・ギャリックス。

2016、2017年に続き、見事三連覇を達成。そして、2位には昨年同様ディミトリ・ヴェガス&ライク・マイク。3位にはハードウェルがランクイン。

DJ MAG TOP 100 DJs 2018トップ10

1位 Martin Garrix(—)
2位 Dimitri Vegas & Like Mike(—)
3位 Hardwell(↑1)
4位 Armin Van Buuren(↓1)
5位 David Guetta(↑2)
6位 Tiësto(↓1)
7位 Don Diablo(↑4)
8位 Afrojack(—)
9位 Oliver Heldens(↑4)
10位 marshmello(—)

今回のランキングの所感としては、マーティン・ギャリックスの三連覇は大方の予想通り……と言ってもところ。

ビッグフェスにとどまらず、平昌オリンピックの閉会式でプレイするなどスケールアップした活躍もさることながら、楽曲も軒並みヒット。ただ、彼の活躍以上に他アーティストの追随がないというかなんというか……。

今回ベスト10には新たにドン・ディアブロが入ったが(もちろん彼の活躍は大きかったが)、全体的にはここ数年感じられるマンネリ化はいなめず、マーティン・ギャリックス以外のド本命が見当たらないだけに、今後もマーティン無双はまだまだ続きそうだ。

気になるのはハードウェル。今年トップ3に返り咲いたものの、つい先日DJ稼業の休止を発表したことで果たして来年どうなるのか……。

同様のケースではアヴィーチーが2016年に引退を表明し、2017年には11位から28位へとランクダウン。しかし、今年4月に急逝し、今回は15位に上昇している。

DJ MAG TOP 100 DJs 2018 20〜30位

11位 Steve Aoki(↓2)
12位 R3HAB(↑6)
13位 Alok(↑6)
14位 W&W(—)
15位:Avicii(↑13)
16位 DVBBS(↑6)
17位 Lost Frequencies(↑9)
18位 KSHMR(↓6)
19位 Vintage Culture(↑12)
20位 Eric Prydz(↑14)
21位 Skrillex(↓5)
22位 Fedde Le Grand(↑17)
23位 Ummet Ozcan(↑15)
24位 DJ Snake(↓1)
25位 Quintino(↑5)
26位 Vinai(↑6)
27位 Nervo(↑15)
28位 Headhunterz(↑5)
29位 Angerfist(↑11)
30位 Bassjackers(↑5)

以降のランキングはこちらで。
https://djmag.com/top100djs

11位〜30位を見てみると、全体的に順位を上げたアーティストが多いことがわかる。
ただ、これを代謝といっていいのかは微妙なところ。アップしたのがほぼほぼすでにバリバリ活躍しているアーティストなだけに、ここから次のトップ10に入るものがいるかと言えば……。

昨年大幅アップしたマシュメロやアラン・ウォーカーのようなフレッシュな人材が乏しい感があり(ちなみにアランは今年36位に後退)、唯一将来を期待させるのは、2017年初登場26位から今年17位へと躍進したロスト・フリクエンシーズぐらい。

また、100位までを見ても、今回は初登場が72位まで見えないのも寂しい(72位はマトン)。
その他、77位にブリーズ・キャロライナ、78位にDENIZ KOYU // KO:YU、83位にナイトメアらがいて、意外にも97位にニーナ・クラヴィッツ。

一方、復活組には今年リユニオンしたスウェディッシュ・ハウス・マフィアが63位に。彼らは2019年本格的に再始動するのでこれは楽しみ。

その他で気になったことと言えば、トランス勢。
帝王アーミン・ヴァン・ブーレンはトップ3入りを逃したものの、ビニ・ビチが38も順位をあげ34位に。アンドリュー・レイエルも12アップ(67位)、フェリー・コーステンも15アップ(75位)。
その他、49位にATB、近いところでW&Wは14位をキープ。順位を落としたアーティストもいたが、近年多くのアーティストがトランスをリリースしていることもあり、世界的にはやはりトランスの人気が伺える。

さらに、ハウス・テクノ勢も奮闘。しかも巨匠が。
エリック・ブライズが2016年以降年々アップしているし(今年は14アップの20位)、カール・コックスも9アップの53位、その他クラプトンやリッチー・ホウティン、アダム・ベイヤーなどもランクアップしている(マルコ・カローラやニーナ・クラヴィッツも初登場)。

あとは、ザ・チェインスモーカーズやカイゴ、カルヴィン・ハリス、ゼッドといったビッグスターが軒並み順位を大幅に落としているのはTOP 100 DJsらしいのかな……(このランキングではプロデューサー型のアーティスト、そしてアメリカ拠点のアーティストもちょっと弱めな感じだし)。
それこそディプロ(そういえば、メジャー・レイザーが見当たらない……)やスクリレックスも年々下降気味(スクリはアーティスト活動がそこまで精力的ではないのもあるだろうけど)。

ちなみに、アメリカのAmerican Music AwardsではEDM部門にザ・チェインスモーカーズとゼッドがノミネートされ、マシュメロが受賞。また、redditというアメリカの掲示板でもベスト100が公表され、そこでは1位がマーティン・ギャリックス、2位にはなんとイレニアム、3位はセヴン・ライオンズと全く違った結果に。

https://www.reddit.com

これらを見比べてみるのも一興なのでぜひ。

PHOTO: https://www.facebook.com/djmagazine/