1月11日(土)、日本のドラムンベースシーンを牽引すると同時に世界へと発信してきたパーティ「06S」が、約19年間に及ぶその歴史に幕を閉じた。

レジデントであるDJ AKiは2019年11月11日、自身のTwitterでファイナル開催のアナウンスを行なった際、冒頭で「時代の終わりは時代の始まり」と告げている。
さらに、本誌が事前に行なったインタビューでは、「未来へと繋げたい……」とも。

そして迎えた当日……。
結論から言えば、この日は彼の言う通り、新たな時代の始まりであり、いわば前に進むためのある種の禊、だったように思う。それだけに、ファイナルとはいえただ過去を振り返り、在りし日を懐かしみ涙するのではなく、あくまでポジティブ。未来を見据えているからこそ、超満員に膨れ上がったフロアはいつも以上に熱気に溢れ、誰もが笑顔で「06S」を楽しんでいた。

序盤は06Sの魂を受け継ぐYASUKIとMAOZONがそのポテンシャルを遺憾なく発揮し、シーンの前途洋々な未来を提示。さらには、レーベル06S Records Relaunch第一弾アーティストYELLOCKが世界初のバーチャルヒューマンライヴを敢行。最先端テクノロジーを駆使し、リアルとバーチャルが交錯するその未来的パフォーマンスは、まさに終わりにして始まりを告げる、新たな時代を感じさせるものだった。

そしてここから……日本ドラムンベース史に残るクライマックスへ。

まず登場したのは、オーストリア・ウィーンで欧州随一のシーンを創り上げたディザスタ。音楽の都を席巻するそのプレイは、現在進行形のドラムンベースの隆盛をオーディエンスへと伝え、続くはオーディオ。

新たな解釈でシーンを刷新する開拓者は、迸るパッションとともに全てをドラムンベースに捧げた男だからこそ成し得る情熱的かつ破壊的なプレイで、フロアをさらなる極地へ。

さらには、サブ・フォーカス。各国が来訪を待ち望むシーン屈指のスターがこの舞台に立つ、これは「06S」だからこそ。世界的にも認知されたその存在感の賜物であり、そこで彼はドラムンベースの真髄を「06S」の歴史に刻み込んだ。

そして、ラストを飾るのはレジデントとして約19年間、フロアと真摯に向き合い続けてきたDJ AKiとその盟友YUUKi MC。その胸中には万感の思いがあっただろう。
ただ、彼らから届けられるはたゆまぬ愛と男の生き様。「06S」というパーティは終われど、ドラムンベースにかける愛は果てることなく未来永劫輝き続ける、そんな強い意志を感じさせる素晴らしいステージだった。

最後の最後まで一体となって躍動するフロア。その光景、あの感動はきっとまた新たなステージで、新たな形となって再び目の前に現れるに違いない。なぜならDJ AKiは言っていた“音楽とともにある人生は美しい”。その言葉を胸に、彼らの未来、次なる舞台に期待したい。