トップの写真だけ見ると、まるで進撃の巨人@渋谷的な感じが……しかし、これはほんの一部。実際にはさらにスゴいことに……。

これは9月26日(土)に開催されたXRライヴ「Jupiter -A VIRTUAL JOURNEY-」。

XRライヴとは、あらゆるリアルイベントがバーチャルへと移行するなか、VRやAR、バーチャル、3D、全てを網羅した新たなライヴエンターテインメント……と言うは易く行うは難しだが、それも納得のえも言われぬ映像表現。

いやはや、その技術・仕組みに関しては説明が難しい(というかよくわからない)ので省略するが、簡単に言うと「2Dと3Dのハイブリッド」、「3D・バーチャル空間におけるVJ表現」(だそう)。そもそもビジュアルのクオリティが凄まじいので、単純に見ているだけで圧倒されるが、その奥行きというか世界観というか……見ているデバイスの中にもう一つの未知なる世界が確実に、シームレスに広がっていた。

今回は「Jupiter -A VIRTUAL JOURNEY-」とのタイトル通り、人類未踏の地・木星へのバーチャルジャーニー。そこに登場する(音楽演出)はDJ AKiにUKからFuturebound、そして首謀者YELLOCKの3人。まずはDJ AKiがフューチャリスティックな宇宙船で木星へと向かい、到着するとみんなで乾杯。

この乾杯もこのイベント=ライヴエンターテインメントの醍醐味の1つで、時前に撮影したわけではなく、リアルタイムに進行するからこそ味わえる一体感。しかも、それをより楽しむべく予め乾杯グラスが販売されたり、旅を共にする証のTシャツや超美味なお弁当まで用意するなど、些細な部分まで余念なしのおもてなし。

XRライヴというチャレンジングな舞台で、DJ AKiもまた毎週実験的に行っている配信経験を経て進化した姿を披露。YELLOCK&オーディオとのコラボ曲で盛り上がりつつ、抜群の展開力で映像との見事なリンクを深化。また、配信ならでは海外からのゲストFutureboundもハード&エモなセットで木星の旅をより楽しませてくれた。

そして、トリのYELLOCKは自身の楽曲を交えたセットとともに木星から地球、それも渋谷へと帰還。モニター上で改めて見る無人の渋谷、人影が行き交う渋谷の姿に様々な思いが去来するなか、なんとビックリ巨大なバーチャルヒューマン(YELLOCK)が。1月のバーチャルヒューマンライヴの頃は……なんて耽っていると、ラストには大輪の花火が轟き、まさかの渋谷崩壊。ここから新たな世界が……と意味深な終幕劇もまた一興。

木星という、まだ誰も見たことのない世界を見事に構築していたことは本当にスゴかったし、さらにはそこに突風が吹いたり、レーザーが迸ったりしながら、瞬時に別世界へと切り変わったり、リアルとバーチャルが混在し、なおかつそれがリアルタイムでコントロールされている……バーチャルは決してリアルイベントをそのまま表現することはできないが、リアルの代替ではなく新たなエンターテインメントとして昇華する、このXRライヴはその1つの完成形。ただ、バーチャルという無限の世界においてはこれもまだまだ通過点で、きっと今後もさらなる世界、木星のようにまだ誰も見たことの世界を見せてくれるに違いない。とても楽しみだ。

「Jupiter -A VIRTUAL JOURNEY-」