1994年にスペイン・バルセロナで産声を上げ、いまでは世界中から約15万人の観衆を集める“最先端音楽とメディア・アートの祭典”『Sónar』。“ADVANCED MUSIC×NEW MEDIA ART”をコンセプトに、尖鋭音楽と実験的なアート・インスタレーション、さらにはワークショップやフィルム上映までも包括した本フェスの中から、ここではメディア・アートの側面にフォーカスを当て、膨大な展示の中から注目度の高かった6つの作品をピックアップ。創造性や芸術性に富んだ現代アートの数々をご覧あれ。
1.Matter
世界的に有名な彫刻であるロダンの「考える人」に焦点を当て、古典的彫刻のテクスチャや肉体表現をデジタル彫刻で再解釈するプロジェクト。『Sónar』と博物館がコラボレートした画期的で芸術学問的なインスタレーションは、現代アート・シーンでも大きな話題に。
2.Robotics
機械で作られた動物のオブジェクトが音や動きに反応して、目や口が動きだす。通り過ぎると振り返るような仕草を見せ、声をかければ返事をするその様は、あたかも生きているよう。近未来を感じさせるフィーチャリスティックなインスタレーション。
3.Funambulista
“The instability of the world=世界の不安定性”をテーマにしたインスタレーション。床に表示されたGoogle Earthの上に“不安定”な平均台が置かれており、自動的に身体が不安定な地区を向くようになっている。その上を歩くことで、世界各地の社会的、経済的 に不安定な地域への興味を誘う。
4.Labyrinthitis
音響実験家、ヤコブ・キルケゴールによる音と振動によるインスタレーション。人間の可聴域を越えた音や、周波数の異なる2つの音を同時に鳴らすと聴こえる“差音”という原理に着目し、新しい音を創造する実験的な試みを披露した。
5.Two Way View
テレプレゼンス(※遠隔地の人とその場で対面しているかのような臨場感を出す技術)の未来型。半透明のガラスがタッチパネルになり、相手が目の前にいるかのような体験を与えてくれるこのインスタレーションはまるでSF映画の世界。
6.Zoom Interactive + Electro Bichos
インタラクティブ機材の可能性を高める2つのアプリケーションを紹介。近未来的なデザインに様々なボタンが配置されたタッチパネル式のテーブルに幾何学模様の映像が映し出され、その模様とボタンの組み合わせで音色が変化する。進化する音楽機材の未来を差し示す顕著な一例。