EDMシーンの爆発的な拡大は、綺羅星の如きDJたちによる群雄割拠の時代を作りだした。
たとえば、EDMムーヴメントの火付け役となった最大の功労者にデヴィッド・ゲッタや、ムーヴメントをさらに推進させたアヴィーチーやカルヴィン・ハリス、アフロジャック、スティーヴ・アオキやゼッドといったスターたち。そんな彼らの中で、現在頂点に君臨しているのが、ハードウェルである。

『世界NO.1 DJ』という称号のみならず、目下EDMが席巻する現行シーンにおいては、あらゆる意味で欠かすことのできない存在となったハードウェルを徹底解析。その特集第一弾では、ハードウェルの華麗なる歴史、そして偉業を7つのキーワードをもとに振り返る。

1|快進撃はどこまで続く? DJ MAGランキングで2年連続トップ!

イギリス発の世界的DJマガジン:DJ MAGが毎年行っている世界一のDJを決める名物企画:DJ MAG TOP 100 DJs。世界中のダンスミュージック関係者&ダンスミュージック・ファンからのウェブ投票をもとに、世界一のDJを決めるこの企画で、ティエストやアーミン・ヴァン・ブーレン、その他数多くの並みいるトップDJたちを押しのけ、ハードウェルは2013、2014年と2年連続で1位を獲得。しかも、初の栄冠に輝いた2013年は弱冠25歳、最年少記録というおまけ付き。

まだまだ若いハードウェルは現在もその勢いを加速し、さらなるステージへと進化中。それだけに今後も連覇を期待され、世はまさにハードウェル時代。

2|世界最大級のフェスを総ナメ。ヘッドライナーと言えばハードウェル!

現在、世界各地で毎週末のごとく行われ、各地で数万人、数十万人を集めているダンスミュージック・フェスティバル。なかでも最高峰と言えばマイアミ発祥の『Ultra Music Festival』やベルギーで開催されている『Tomorrowland』。
いまや世界中で展開されているこの2大フェスに彼はここ数年ヘッドライナーとして参加し、その都度会場を熱狂の渦に(その動画の再生回数も激ヤバ、彼のギグの総再生回数は1億回を超える!)。
その他にもラスベガスの『EDC』やニューヨークの『Electric Zoo』など、15万人以上を動員するビッグフェスに引っ張りだこ。

昨年日本で開催された『Ultra Japan』でもヘッドライナーとして参戦したのは記憶に新しいところ。
いまやEDMフェスティバルのヘッドライナーと言えばハードウェル、それは間違いない。

3|世界のチャートを賑わすスゴ腕ヒットメーカー

ハードウェルのスゴさはDJとしてだけでなく、プロデューサーとしても超一流。
2011年にティエストと共作で“Zero 76”をリリースし、Beatport&米itunesチャートで1位を獲得。その後も“Spaceman”、“Countdown”、“Apollo”、“Dare You”といったワールド・フロアヒットを量産。リリースするたびに世界各国の様々なチャートを賑わせている。
昨年末にはW&Wとの“Don’t Stop The Madness”、そしてジェイソン・デルーロをフィーチャーした“Follow Me”が早くも話題に。さらにはリミキサーとしても“Ping Pong”をはじめ名曲は盛りだくさん!

そして、先日リリースされた待望のファーストアルバム「United We Are」で、彼はプロデューサーとしての稀有な才能も見せつけてくれている。
泣きの歌モノあり、オーセンティックなダンスミュージックにロックありと縦横無尽であり、明らかにギグを意識した構成をしている点もいかにもハードウェルらしい。
聴けば聴くほど、“世界NO.1 DJ”の懐の深さを感じさせる充実の1枚である。

4|主宰レーベルRevealed RecordingsでEDM界を牽引中

DJ、プロデューサーとして活躍するハードウェルのもう1つの顔がレーベルオーナー。
2010年に彼自身が立ち上げたレーベル:Revealed Recordingsは、自身の楽曲はもちろんのこと、ニッキー・ロメロ、パリス&シモ、W&Wをはじめ、ブラスタージャックス、ダイロ、ダニックなどなど、現在のEDMシーンを牽引するアーティストたちの楽曲を多数輩出。
ハードウェルの審美眼によって選ばれたそれらの楽曲は、世界中のDJたちから絶大な支持を集めている。

今後注目の若手アーティストのタイトルも数多く控えているとのことで、世界的に見ても今最もホットなレーベルの1つと言えるだろう。

5|ティエストからジェイソン・デルーロまで華麗なるコラボ遍歴

前述のティエスト、W&Wをはじめ、ニッキー・ロメロやダニック、ショウテックなど、ハードウェルはこれまでにEDM界を代表する様々なアーティストと共作を発表し、それらは軒並み大ヒット。それだけでなくいまやEDM界屈指のシンガーとなったマシュー・コマ、そして最近ではジェイソン・デルーロといったアーティストたちをフィーチャーし、彼らの新たな魅力を生み出すことにも成功している。

レーベルオーナーとしても然りだが、アーティストの良さを引き出すことにも長けているハードウェル。
ちなみに、現在リリース中の全世界が待ち望んだファースト・アルバムでもほぼほぼすべての楽曲に様々なアーティストが参加中。

6|DJデビューは13歳! 映画にもなった驚愕のキャリア

ハードウェルの音楽キャリアはかなりの幼少期から始まっている。
なんでも、4歳でピアノを習い始め、その後10歳で楽曲製作を開始と、その神童っぷりもハンパないが、その後13歳でプロとしてDJデビューしている。日本で言えば中学生、もちろん当時はクラブに入場することのできない年齢だったため、彼は両親同伴でオランダ中のクラブをまわっていたという逸話も残っている。
そして、14歳でレコード会社と契約し、16歳のときには世界NO.1のDJになることを公言していたとか(その10年後に有言実行しているのだからスゴい)。

日本では考えられないこのキャリア。その後、その才能はティエストをはじめとする多くのトップアーティストたちに見初められ、彼らの哲学を学びスターへの道を突き進むわけだが、2013年にはそんな彼の半生を綴ったドキュメンタリー映画「I AM HARDWELL」が公開。ダンスミュージック、DJシーンにおいてもかつてない彼の軌跡は大きな話題に。

7|26歳にして○○億円以上を稼ぐスーパースター

アメリカの経済誌:フォーブスによると、2014年のハードウェルの年収はなんと13億円(現在は20億円を超えるとも言われている)。DJとしてのランキングでは10位。カルヴィン・ハリスやデヴィッド・ゲッタ、アフロジャックなど、彼より年収の高いアーティストもいるが、ポップスのプロデュースなどせず、あくまでダンスミュージック、DJとしてこの金額をたたき出すのはそうそういない。

弱冠26歳にしてこの年棒(ちなみに1.3億円の大豪邸に住んでいるらいしい)、DJがいかに夢があるかをまさに体現しているハードウェル。そのスーパースターっぷりは母国オランダでも沸きに沸いており、昨年は彼の写真を使ったオリジナルの切手をオフィシャルで発売。
現在、Facebookのフォロワー数は700万人以上、ツイッターも約200万人と、彼がダンスミュージックシーンの枠組みを超えた存在であることを実証している。


近日公開となる後編では、待望の来日となった『Ultra Japan』での活躍や、彼を語る上で欠かせない代表曲を元にハードウェルの本質に迫っていく。