今年の夏はトロピカル☆
といっても、これは食べ物でもファッションでもなく、ダンスミュージックにおいてのこと。
目下大流行中のEDMの数あるサブジャンルの中でも、ここ数年とりわけ注目を集め、なおかつこれからの季節にピッタリのこのサウンド。
一般的にはトロピカルハウスと言われているが、その名付け親はオーストラリア出身のアーティスト:トーマス・ジャック(自身がSoundCloudに挙げた楽曲に“トロピカルハウス”というタグを付けたのがきっかけとか)。
彼はジャスティスやカルヴィン・ハリスに影響を受け、本格的に楽曲制作をスタート。
その後トロピカルなサウンドを発信していくことになるのだが、それが世の中に広く知られるようになったのは2014年前後のこと。
そこから様々なトップ・アーティストたちが注目し一気に世界中へと伝播していったのだ。
トロピカルハウスとは?
その特徴は生音たっぷりの心地よいサウンド
そもそもトロピカルハウスとは何か。
それはEDMにおけるひとつのカテゴリであり、その特徴はその名の通りトロピカル=南国の気分を彷彿とさせる音楽性。
しかし、そこにはEDMとはひと味違い、パーカッションなどの生音がたっぷりと盛り込まれ、BPMもかなり緩やか。
あくまで南国のビーチやリゾートを思わせる心地よいサウンドとなっている。
南国系のサウンドと言えば、これまでにもそれこそラテンやブラジリアンなど様々なものがあるが、トロピカルハウスはより温かみがあり、メロウでムーディ、それでいてあくまでハウス。
踊れてなおかつ癒される、そんなサウンドとなっているわけだが、これはアッパー、盛り上がり一辺倒になりつつあったEDMに対するひとつのアンチテーゼかもしれない。
しかし、エレクトロニックダンスミュージックを標榜するEDMがその対極にあるようなトロピカルハウスを抱き込んだことは、その懐深さに恐れ入るとともに、ある種EDMのポテンシャルを大きく引き上げたといってもいいだろう。
現在のトロピカルハウス・シーンを牽引する男、その名はカイゴ
現在のトロピカルハウス・シーンの中で、最大のキーマンとされるのがカイゴだ。
彼はノルウェーはベルゲン出身で、貿易関係の仕事に従事していた父親の影響で、幼少時は世界各国に在住(その中にはなんと日本も!?)。
そして、15歳の頃に遊び感覚でDJをスタートさせたが、当時はアーティストではなくサッカー選手を目指していたとか。
しかし、同じ北欧を代表するアーティスト:アヴィーチーに衝撃を受け、本格的に楽曲制作を行うようになったという。
そして、2013年ごろからネット上でリアーナやジェームス・ブレイクなどのリミックスを発表すると、その名前とトロピカルなサウンドは一躍世界へと浸透。
2014年に自身初のオリジナル楽曲“Firestone feat. Conrad Sewell”をリリースするやいなやたちまち話題となり、Spotifyでは史上最速(約1年)で彼の楽曲トータルで10億回再生を突破!
YouTubeなどの動画メディアのミュージックビデオの再生回数も軒並み1億回以上にのぼるなど大ブレイク。
2015年には『Ultra Music Festival』の公式アンセムを手掛けた他、世界最高峰のダンスフェス『Tomorrowland』をはじめ、アメリカ最大級のロックフェス『Coachella』や『Lollapalooza』にも出演するなど、ジャンルの垣根を超え活躍。
そして、年末にはエレクトリック・アーティストとしては初めてノーベル平和賞の記念式典でライヴを披露するなど、たちまち世界的アーティストへと登り詰めたのである。
また、先日は待望のデビューアルバム「CLOUD NINE」をリリース。早くも2016年注目の1作として話題となっている。
いまやポップ・アイコンもトロピカルに首ったけ!
そんなトロピカルハウスはいまやダンスミュージックの枠組みを超え、ポップシーンでも羨望の的。
なかでも、その流れを決定づけたのがジャスティン・ビーバーが2015年にリリースした“What Do You Mean?”。
ディプロ&スクリレックスによるジャックUとのコラボでEDMシーンにもその名をしらしめたジャスティン・ビーバーによるこの曲は、トロピカルハウスらしい心地よくも快活なサウンドで世界中で大人気。
YouTubeでのミュージックビデオの再生回数はなんと1年とたたずして10億回を突破。
ちなみに、この曲はスクリレックスがプロデュースしていると言われているが、ジャスティンのスポークスマンはそれを否定していたりと様々な憶測が流れていることでも話題に。
一方、その後発表した“Sorry”はスクリレックスが参加。こちらもトロピカルでいい感じ。
ジャスティンに関して言えば、その後に発表した“Sorry”もまたトロピカルでいい感じ(ちなみにこちらもスクリレックスが参加)。
また、その他にもアメリカの人気R&Bシンガー、ジェイソン・デルーロもトロピカルハウスを取り入れた“Try Me”を発表。
この曲は、ジェニファー・ロペスとともにトロピカル系若手注目株のマトマをフィーチャーしつつもポップ色の濃い仕上がりに。
今後も続々とトロピカル×ポップの蜜月は続きそうだが、一方でEDM界随一のパーティモンスターもいまやトロピカル。
スティーヴ・アオキが先日発表した、フェリックス・イエンとコラボし、アダム・ランバートをフィーチャーした“Can’t Go Home”もなんともファンキーなトロピカルテイストに。
いまやトロピカルハウス・ムーブメントはあらゆるシーンで巻き起こっているのだ。
まだまだ続くトロピカル旋風、カイゴに続くアーティストは…
今トロピカルハウス・シーンで最も注目を集めるのは前述のカイゴではあるが、その他にも彼に続けとばかりに新たなアーティストが続々と登場しているのも面白いところ。
ここではその中でも注目の4組を紹介。
まずはダンス大国オランダの若きスター候補、弱冠22歳のサム・フェルド。
名門レーベルSpinnin’ Recordsとも契約し、将来を期待される彼はトロピカリーな要素はもちろん、ときにより踊れて、ときにより美しいサウンドを展開したりとその輝ける才能に注目が集まっている。
続いては、前述のジェイソン・デルーロの作品にも参加していたマトマ。
昨年デビューアルバム「Hakuna Matata」をリリースし、トロピカルハウス界にマトマありと存在感を示したが、彼はDJでありながらピアニストとしても活躍。
それだけに、そのメロディセンスも光るものがある。
昨年50セントの“21 Questions”のリミックスが話題になり、Billboardによる2016年期待のアーティストとしても選出されたLA出身のアーティスト:サンバーン。
彼はトロピカルハウスに限らず、様々なシーンから支持を得ているポテンシャルの高いアーティストだけに今後も注目だ。
最後はイギリス出身、過去にエド・シーランの名曲“Thinking Out Loud”を手掛け、Spinnin’ Recordsの姉妹レーベルなどからリリースを重ねているアレックス・ アデアー。
トロピカルであり、チルっぽくもある、そのオリジナリティ溢れるサウンドで世界中を魅了中。
そんなアレックス・ アデアーがこのたび初来日することが決定!
今回彼が出演するのは、5月29日(日)に豊洲MAGIC BEACHで開催される日本初のトロピカルハウス・パーティ『Tropical Disco』。
ビーチという絶好のシチュエーションでアレックス・ アデアーのトロピカルサウンドに酔う。
さらには、DAISHI DANCEが初のトロピカルハウス・セットを披露し、この日のためにTropical Disco Bandが結成されるなど内容は盛りだくさん。
この夏注目のトロピカルハウスを先取りしたければ、この『Tropical Disco』へ。
EVENT INFORMATION
Tropical Disco
2016.05.29(SUN)
OPEN 15:00
MAGIC BEACH(東京都江東区豊洲6-1-14)
前売:3,500円/当日:4,000円/BBQ:7,500円
Alex Adair (from UK), DAISHI DANCE (Exclusive Tropical House Set), HIROSHI NAKAMURA (i-dep), REN, Shin Ishizuka, Tropical Disco Band (Maya Hatch, James De Barrado, Ren Yokoi and more)