まだ終わって欲しくない……そんな声が数多く聞こえた一夜だった。

2010年に東京でスタートした『RAINBOW DISCO CLUB(以下、RDC)』が、オランダはアムステルダムにあるスクワット発、多くのアーティスト達に愛され続けているクラブOT301で2016年12月4日にパーティを開催した。
“スクワット”とは使われていない廃墟のことで、様々なアーティストが暮らしながら芸術活動をしている場所が多く、オランダではかねてよりこの文化(風潮)が育まれ、OT301はその歴史を刻む特異な存在である。

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そこは、アムステルダムセントラルからトラムを乗り継ぎ15分程の場所にあり、周辺はナイトライフが賑やかなクラブ街ではなく、フォンデルパーク付近に位置するおしゃれなカフェや雑貨屋、さらには病院などがあるエリア。そんな土地柄だが、OT301は都市開発による閉館の危機を乗り越えながら、その場所を大切に思う人達の手で今なお守られ続けている場所であり、音楽だけではなくコンテンポラリーダンスやアートなどの様々なコンテンツを発信している芸術活動における素晴らしいベースである。

今回、『RDC』のタイムテーブルはイベント開催5日前に公表されたが、その時点では既にチケットはソールドアウト。facebook上ではチケットを求める人が続出していた。会場内はフロアの天井には色とりどりのバルーンが設置され、DJブースの上には『RDC』のシンボルが煌々と輝いていた。さらに、ラウンジには日本人シェフが提供する寿司ブースや日本酒ブースもあり和のテイストでオーディエンスをおもてなし。

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ラインナップは、日本から現在世界中でブッキングのラブコールが絶えないDJ NOBU。Rush Hourレコードからのリバイバルで人気再燃、ヨーロッパ随一のダンスフェスティバル『Sonar Festival』にも出演したSoichi Terada。そして『RDC』のレジデントであるKikiorixらが日本から参加。

一方、オランダからはRush Hourレーベルの顔とも言える三人、レーベルオーナーで親日家のAntal、未だに人気の絶えないドイツ系韓国人のHunee、そしてオランダ・ダンスシーンのロックスターSan Properが出演した。

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トップバッターはKikiorix。スローなソウルナンバー、ゆっくりとした立ち上がりでパーティがスタート。オープンから1時間後には続々とオーディエンスが詰めかけ、それとともにKikiorixの選曲を少しづつ変えていき、フロアは温かい空間に。
ジャズの名曲 “Come Rain or Come Shine”の秋本奈緒美による日本語カバーや 日本ジャズシーンを牽引したギタリスト渡辺香津美の“Tsuru-Kame Hinatango”など、オリエンタリズムを感じる和モノを数多くプレイしていたのも印象的だった。

そんなKikiorixのバトンを受け取ったのはカウボーイハットを被ったSan Proper。不良的でニヒルな雰囲気と彼のDJからは1960年代の古いジャジーな香りが漂いつつも、巧みに人を踊らせていく様は流石。ここからRush Hour陣営の豪華なDJバトンリレーが始まり、San ProperからHuneeへのソウルチューン・リレー。そしてAntalへと繋ぎ、またSan Properが曲を紡ぐ。ディスコ、ソウル、アフロビーツ、ハウスへとスムースに移行していく流れはまさに圧巻。

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Rush Hour勢の豪華なリレーが2時間ほど続き、ブースにはSoichi Teradaが登場。厚みのあるサウンドとライヴならではのグルーヴ感は、自然にステップを踏みたくなる。彼の名を世界に知らしめた“Sounds From the Far East”を中心としたライヴセットには日本人はもちろん、オランダのオーディエンスも身を乗り出すように踊っていた。音楽は世界共通言語という意味を改めて体験をさせてくれた。

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そしてラストはDJ NOBU。彼はSoichi Teradaの作った空気から一辺、張り詰めたダークなダンスフロアへと変換。暗闇の中、髪を振り上げながらロックテイストの選曲も入れ込みつつもDJ NOBUの代名詞とも言えるストイックなテクノに比べ、この日は『RDC』に合わせたのか少し明るめなトラックを中心にプレイ。しかし、彼の精密なミクシング、そしてクラウドを引き込む見事な選曲は健在だった。
背中に威圧感のあるDJは独特の緊張感がDJブースには張り巡らされている、DJ NOBUからはそれがヒシヒシと伝わってきた。

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この日、とりわけ印象的だったのは『RDC』の代表MasaとDJ NOBUがハイタッチをする場面だった。日本のパーティをオランダに持っていくことは本当に時間と情熱が必要だ。それを見事に成し遂げ、会場の熱狂を肌で感じ取った二人が通じ合った素晴らしい瞬間で、その場にいれたことが実に幸せだった。

『Rainbow Disco Club x Rush Hour』。
この日蘭のパーティタイアップは、日本とオランダが音だけでなく、文化や人までが融合した大きな架け橋になったと思う。

音楽を通した国際的な距離は想像する以上に近く、そしてもっと加速していくはずだ。
音楽と人を繋げ、カルチャーを創ろうとしている人達が想像する未来は明るく素晴らしいものになる。アムステルダムでの『RDC』は、そう感じさせる素晴らしい夜だった。

Photo & Text By Atsushi Harada

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EVENT INFORMATION

RAINBOW DISCO CLUB 2017

2017.5.3-5 Wed-Fri

OPEN/START 9:00/12:00

東伊豆クロスカントリーコース特設ステージ(Izu)

ADV ¥16,000 DOOR ¥18,000

SADAR BAHAR (20 YEARS OF RUSH HOUR SPECIAL GUEST) / RUSH HOUR ALLSTARS (ANTAL / HUNEE / SAN PROPER) / DJ NOBU b2b FRED P (RDC EXCLUSIVE) / SOICHI TERADA × KUNIYUKI × SAUCE81 (LIVE SESSION) / FATIMA YAMAHA (LIVE) and more

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