ロンドン大学のある科学者による調査では、この半世紀のポピュラー・ミュージック史上で最も大きな影響力のある音楽ジャンルと言われているヒップホップ。
今年発表された第58回グラミー賞では、主要部門こそ逃したもののケンドリック・ラマーが5冠を達成。
また、その他にも、ラップを取り入れたブロードウェイミュージカル『Hamilton』が大ヒット、先日発表された演劇界の権威:トニー賞で16ノミネート(史上最多!)を達成したり、
スラム街の少年が米国音楽界の重鎮へと上り詰めていく姿を描く連続ドラマ『Empire』がヒットしたり、
かたや国内ではMCバトルをテーマにした深夜番組『フリースタイルダンジョン』が好評を博したり……様々なフィールドで話題を集めている。
そしてこのたびアメリカの経済誌Forbesが、そんなヒップホップ・シーンで活躍するアーティストの総資産トップ5を発表。それがまたなかなか興味深い結果に。
以下はそのランキング。
1|ディディ
7億5000万ドル(約803億円)
2|ドクター・ドレー
7億1000万ドル(約760億円)
3|ジェイ・Z
6億1000万ドル(約653億円)
4|バードマン
1億1000万ドル(約118億円)
5|ドレイク
6000万ドル(約64億円)
見事ランキングトップを飾ったのは、ディディのほかにもショーン・パフィ・コムズ、パフ・ダディーなど様々な名義で活躍するショーン・コムズ。
ここ数年絶えずトップに君臨する彼は、プロデューサー、ラッパーとして活躍するだけでなく、Bad Boy Recordsの創設者であり、さらに過去にはUptown Recordsの見習いから重役にまで駆け上がったビジネスマンという側面も。
それだけに音楽業界以外でもその活躍は多岐に渡り、ファッションブランドSean Johnを抱え、ケーブルテレビ局REVOLTにも出資し大成功。
さらには映画プロダクションにレストラン・チェーン、そしてアルカリ性のミネラルウォーター:アクアハイドレードも大ヒット。
その資産はなんと7億5000万ドル(約803億円)にものぼっている。
2位はヘッドホンブランド「Beats By Dr. Dre」でお馴染みのドクター・ドレーで資産は7億1000万ドル(約760億円)。
昨夏全米公開されたN.W.A.のドキュメンタリー「ストレイト・アウタ・コンプトン」が大ヒットし(音楽の伝記映画では過去最高の興行収入に!)、さらには南カリフォルニアの不動産投資でも成功を収めているという。
“世界で最も稼ぐカップル”の称号こそテイラー・スウィフト&カルヴィン・ハリスの2人に譲ったものの、ビヨンセと合わせた資産額は1000億円以上と言われるジェイZが第3位に。
買収したストリーミング配信サービスTidalからの収入が増加したそうで、彼の資産は6億1000万ドル(約653億円)にものぼるとか。
4位は老舗レーベルCash Money Recordsの代表を務めるバードマン。
資産は1億1000万ドル(約118億円)だが、看板アーティストのリル・ウェインがドレイクやニッキー・ミナージュを率いてレーベル離脱の意向を示しており、暗雲がたちこめる。
そして注目は、ここ数年トップ5の常連で一部ソースでは190億円以上の総資産があったとされる50セントが転落し、その代わりにトップ5入りしたドレイク。
先月iTunesとApple Music限定のニューアルバム「Views」をリリース。5日間で100万枚のヒットを飛ばしたドレイクは、資産6000万ドル(約64億円)で5位にランクイン。
彼の主な収益はツアーの興行収入のほか、NIKEやAppleなどとの契約で稼いだとされている。
Forbes誌の取材に対しドレイクは、
「毎年、確実に目標を達成できているのは喜ばしいことだ。音楽以外の分野でもね」
とコメントしている。
一方、トップ5から退いた50セントは映画にもなった「Get Rich or Die Tryin」で知られ、エネルギー飲料「glaceau vitaminwater」のヒットなどで巨万の富を築いたと見られているが、ライバルのラッパー:リック・ロスの元妻のワイセツ動画を流出させたとして訴訟になり、約6億円の慰謝料の支払いを命じられ自己破産している。