以前、FLOOR netでBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之はこう語っていた。
“僕らに唯一できることは作品を残すこと、そしてそこに最大限の愛情を注ぐこと”
これは情報が飽和し、それ自体の価値が下がってしまった現代社会において、いかに彼らは活動し続けるべきなのか、そんな話の一端で発せられた言葉。
音楽に限らず、アーティスト、作り手ならばそれは至極当たり前のことであり、ただ作品を作ればいいというわけでもない……。
では、BOOM BOOM SATELLITES活動終了にあたって、中野雅之はその最期となる作品にいかに向かい合い、どう形にしていったのか。
BOOM BOOM SATELLITESラストインタビュー後半では、『LAY YOUR HANDS ON ME』に込めた思いに迫る。
——いよいよ『LAY YOUR HANDS ON ME』がリリースとなりますが、今作を聴いても正直これが最後という感じがしないんですよね……。
最後という意識は音楽に注ぎ込む面ではなかったですけど、これで後悔してしまうとリベンジをする機会がない、そういった緊張感や責任感は強くありましたね。
ただ、音楽は聴く人のエネルギーにならないと意味がない。ポジティブな音楽もヘヴィーな音楽も全てそれぞれ役割があり、機能し、人のガソリンや支えになると思うんです。
この作品で願うことはまさにそういったことで、さらには美しいものに触れたときに覚える感動のようなものがあってほしい……望んでいたのはそれだけだったんです。
そういう意味ではあまり欲深くない、野心的でなかったことがいい形で作品性を作ったんでしょうね。
——今作は全4曲収録。ブログではこれをアルバムと捉えていると書かれていましたが、それは同感です。決して曲数の問題じゃない。
気概としてはそう(アルバム)でないと終われないという思い、単曲の集まりでこのバンドは終わってはいけないという気持ちがあって。
考えすぎず、純粋に作り始めたというところとは矛盾してしまうかもしれないけど、今回はこういった作品であってほしいというという漠然としたイメージはあったと思うんです。
体力的、形式的にはシングルという形でしか作ることはできなかったけど、それを超えたもの、豊かなイメージが頭の中にはあったんですよね。
そして、そこに突き進んでいくだけでした。
5月10日に曲を納品するまで、本当に最後の最後まで自分たちで作品のケアをしたんです。
昨年の7月から川島くんの了承を得ずに作り始め、それから約10カ月。
いろいろな変化がありましたけど……今振り返ってみればよく最後までできたなと思いますね。
——その5月10日はどんな気持ちだったんでしょうか。最後の作品が完成したとき。
晴れ晴れした、やりきったとか、そういったわかりやすい言葉が出てこないぐらい、いろいろな感情が入り乱れていましたね。
最後にプレイバックして確認していたときも感動や寂しさ、そういったものが全部ぐちゃぐちゃになっていしたし。
しかも、そのときは川島くんにもその場で聴いてもらったんです。ただ、そこで彼が音楽をどこまで理解していたかわからないですけど。
音楽というのはリアルタイムで処理していく芸術、いわば時間芸術でもあるので、そこで今の川島くんで追いつくのか心配だったんです。