イヤーズ&イヤーズやルディメンタルといった人気ポップ〜ダンスバンドのコーラスを経て、2016年に当時19歳という若さでデビューしたアンナ・ストレイカー。自らが作曲するその音楽性は現在進行形のアーバン〜ポップ、さらにはダンスミュージックに、20世紀のサウンドを巧みに織り交ぜ個性を発揮。その奔放なサウンドはUKでも大きな注目を集めている。
『BACARDÍ“Over The Border”Launch Party』で初来日を果たした彼女の今を探る。
——まずは『BACARDÍ“Over The Border”Launch Party』に出演してみて、率直な感想を教えてください。
すごくクレイジーでアメイジングだった! 会場の空気も最高だったし、自分でも自信を持ってパフォーマンスすることができたしね。すごくいいステージだったわ。
——今回初来日ですよね?
そう。日本に来る前はいろいろなイメージを持っていたけど、実際に来てみると観たことのないような景色ばかりですごく感動したわ。
たとえば、地面に刻まれているパターンだけでもステキだったし。できることならこのまま日本に住んじゃいたいって思った(笑)
——来日が決まったときってどうでした?
とにかく驚いたわ。そのときはビデオの撮影をしていたんだけど、マネージャーが“撮影を止めてくれ、日本で歌うことが決まった!”って言ったの。今ここにいることはすごく光栄。
——今回のイベントは音楽とアートが融合し、“Over The Border(既存の概念を超える)”がコンセプトになっています。それについてはどう思いますか?
こういったイベントはすごくクールだし、大切なことだと思う。なぜなら、様々な分野のクリエイティブな人たちがひとつになることができるから。それって、普通なら分かれてしまいがちだからね。
今日みたいにいろいろな国のミュージシャンと一緒のステージに立てることは楽しいし、みんなが持つこだわりや違いについて話すことも大事なことだと思うの。そこからたくさんのことを学べるし、インスパイアされることも多いからね。このコンセプトは素晴らしいと思うな。
——これまでの人生の中で最大の挑戦って何ですか?
私の音楽は本当にいろいろなものから影響を受けているの。でも、その中で自分だけの音楽を作るのはすごく大変だった。それは他人からの影響をまとめたものじゃダメだし、とにかくどんな曲でも自分を表現することが大事だからね。それをコンスタントに続けることは本当に難しいことなの。
ただ、自分の表現をしっかりと詰め込めた曲を聴くのはすごく嬉しい、とても達成感があるし。
——今日は会場でたくさんのパフォーマンスやアートを観ることができたましたが、印象に残っているものは?
Ei Wada’s Braun Tube Jazz Bandはスゴくエキサイティングだったね。あとはDJ SARASAがプレイしながら、Hiroyasu Tsuriがライヴペインティングをしているのもステキだった。
私はライヴアートがすごく好きなの。前に知り合いのアーティストがライヴでアートを描きながら、自分がパフォーマンスをしたことがあったんだけど、そのときはスクリーンにどんどんアートが生まれていったの。それを思い出したわ。
——アートも好きなんですね。
大好きよ。今もお気に入りの作品はコレクションしていて、いつもスクラップブックのようなものを作ってる。それに、私自身壁やいろいろなところに自分でドローイングをしたり、ペインティングしたりするのも好き。でも、それを家でやると親に怒られちゃうんだけどね(笑)。
私は6人兄妹の真ん中なんだけど、実は姉2人がペインターなの。家族もみんなアートに携わっていたり、好きみたい。
——となると、やっぱりアートが自分の音楽に影響を与えてる?
もちろん。アートのインパクトは大きいわ。そして、私自身スゴく大事に思ってる。実際、次に私がリリースする作品のアートワークは全部自分でディレクションしてるしね。そうやって自分の表現を高めているの。
ちなみに、次回作のアートワークはジャケットに日本語を入れる予定。その日本語のメッセージとタイトル、音楽が全部リンクしていて、すごくクールな感じに仕上がっているから楽しみにしていてね。音楽とアートは私の中で切っても切り離せない深い関係なの。
——では、あなたの理想とする音楽は?
私の場合そのとき制作している作品に大きく関わってくるんだけど、今は電子音楽だったり昔のゲームで使われていた8ビットのサウンドを取り入れたいと思ってる。今日のライヴでもその一環として、『スーパーマリオ』の音をサンプリングしてみたりしたわ。
今はそういったレトロな音をコレクションしていて、シンセサイザーひとつとってもすごくベーシックで8ビットの音に最適なものを選んで使ってる。そうやってできた次のアルバムは、今までよりもポップなものになると思うな。
ただ、一言でポップと言っても、8ビットの感覚があって、もちろん今までのディープでエモーショナルな部分もしっかりと入れた作品になるけどね。今の私にとっては、それが理想の音楽なの。
——8ビットって、あなたがリアルタイムで聴いてきたものじゃないですよね。すごく昔のサウンドですが、そういったものに興味がある?
そうね。私はレトロなものに惹かれる傾向があるの。なぜって、テクノロジーが世界にどれだけ大きな影響を与えたかに興味があるから。8ビットもそうだけど、レトロな音楽ってその進化の過程でしょ。音楽を含め、テクノロジーがいろいろなことを変えていくことで、私たちできることはすごくたくさん増えたと思うの。
そんな今の世界を作ってくれたテクノロジー自体大好きだし、そのまわりにあるムーブメントが繋がっていくこともステキよね。私は今度レトロなサウンドの伝説的なアーティストと一緒に曲を作ることになっているんだけど、すごく楽しみ。私が体験できなかった時代の文化にすごく興味があるの。
——最後にあなたのようなアーティストを目指す日本の若者にアドバイスするとしたら、どんな言葉を贈りますか?
根気よくやることだね。そして、全てが一度に起こると思わないこと。常に音楽を作ることが大事だし、腕を磨き続けることが重要。毎日仕事に打ち込んで、今自分がやるべきことをやるべきよ。
Photo by SKINNY
アンナ・ストレイカー
2016年に“Late Night Swimming”でデビュー。自らが手掛ける個性溢れるサウンドとパワフルかつ繊細なヴォーカルが高い評価を受ける。そして、続いてリリースされた“How We Are”も様々なメディアで取り上げられ、母国UKで一躍注目を集めることに。今UKでも大きな期待が寄せられている若手アーティスト。