英国レコード産業協会によると、2016年のUK市場において、ヴァイナル(アナログレコード)のセールスは、300万単位を超え、同市場におけるヴァイナルの売り上げとしては、この20年余りで最大を記録した。ヴァイナルの市場取引は、UK音楽マーケットの全体のわずか2.6%ではあるが、この数字は全盛期だった1991年以降、過去最高の数字となる。
ヴァイナル売り上げの総計は、200万単位を突破した時点で、以前の年から53%の増加を記録していた。デヴィッド・ボウイの死後にリリースされたスタジオアルバム「Blackstar」は、2016年のヴァイナル市場において、セールスはもちろんのこと、最も人気の1枚となった。
ヴァイナルの売り上げが昨年から急上昇している事実があるとはいえ、音楽マーケットにおける消費という観点からは、まだまだストリーミングサービスが最も成長を遂げていることは事実だ。昨年においてストリーミングは、全体で450億再生を記録、2015年のオーディオ・ストリーミングにおける約270億再生回数より、68%もの成長を遂げており、2013年の記録を500%も上回った。ドレイクの“One Dance”はシングルチャートにおいて、年間で最も再生された作品となった。
音楽ビジネス関連のニュースを配信する”Music Business Worldwide”によると、ストリーミングによる再生回数を集計する公式のチャート関連会社が、YouTubeなどの再生回数を集計するシステムを取り入れていないため、それらの記録も含めると、ストリーミングによる再生回数は、少なくとも2倍以上に跳ね上がると予想されているという。
ヴァイナル・ブームの再燃と、進化し続けるストリーミングサービス。近年、Tidalなどのストリーミングサービスや関連会社が著作権や肖像権の問題などを引き起こしており、この先もまだまだこの動向に注目する必要がありそうだ。