昨年、突如スタートしたポーター・ロビンソンの新プロジェクト:ヴァーチャル・セルフ。

これはポーター自身のルーツとも言える2000年代のカルチャーを想起させ、その音楽性も当時のトランスやハードコアのエッセンスが多分に伺えるが、実のところどうなのか……。

ヴァーチャル・セルフとしての日本初公演を目前に控え、ポーター・ロビンソンにその馴れ初めや因果関係について聞いてみた。

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——ポーター・ロビンソンとして活動するなか、新たにヴァーチャル・セルフを始動したことにはどんな意図があったのでしょうか?

ヴァーチャル・セルフの楽曲は“テクノロジー”、“哲学”、そして“実存”をテーマにしていて、それを表現するためにスタートしたんだ。

これらのテーマは僕が昔から大好きだった2000年代のポップカルチャーから影響を受けたもの。当時の映画やテレビはグランジーで近未来的な作品が多く、薄汚れた世界の中でも優雅でキレイな感覚があったよね。

このテーマは特にヴァーチャル・セルフのアルバム・アートで表現しているんだけど、楽曲も同じ。他のアーティストが取り上げる前に、僕の好きな時代のテーマを自分の音楽に取り入れたいと思ったんだ。

——ヴァーチャル・セルフという名前の由来、世界観のモチーフとなっているものは? 日本のアニメ、サイバーパンク的な作品を彷彿させるものがありましたが……。

もちろん、日本のカルチャーにも影響を受けているよ。でも、それだけじゃなくて、2000年代前半に一世を風靡したアーティスト、例えば……タトゥーやリンキン・パーク、エイフェックス・ツインや映画『マトリックス』などからも影響を受けてる。

特に、リンキン・パークのデビュー当時のIDMを取り入れたサウンドや、タトゥーのトランス&ブレイクビート的なサウンドとかはね。

僕は2000年代特有のテクノロジーの発達とグランジの流行が重なったときにできたカルチャーが大好きで、あんなに面白い文化が早々に衰退してしまったことが本当に寂しい。

——ポーター・ロビンソンとヴァーチャル・セルフの関係性は?

ヴァーチャル・セルフは、あくまで僕(ポーター・ロビンソン)のサイドプロジェクト。

本当のことを言うと、ヴァーチャル・セルフとしてステージに立っている自分の姿を動画で見たら、ちょっと心地悪い感じがした。やっぱり、僕はポーター・ロビンソンだし、そんな自分自身がヴァーチャル・セルフのイメージを壊してしまっている感じがするからね。

ヴァーチャル・セルフの音楽は大好きだし、ライヴも楽しい、だからできることならヴァーチャル・セルフとして活動するときだけポーター・ロビンソンとは違う人間になりたいよ(笑)。

——両者の音楽性における違いは?

基本的に、ポーター・ロビンソンの音楽は感情的だね。僕自身との関わりが非常に強い。

一方で、ヴァーチャル・セルフは僕がもっと評価されるべきだと思う音楽やデザインをみんなに伝えているんだ。リスナーにはそんなヴァーチャル・セルフの雰囲気を感じて、このスタイルに浸ってほしいね。

——ヴァーチャル・セルフとして目指すところは?

これは僕のパッションから始まったプロジェクトで、世界的に成功するためじゃなく、ゴールも特にないんだよね。

あるとしたら、ヴァーチャル・セルフとしての音楽を作って、表現していくだけ。でも、すでに作品をリリースすることもできたから、僕の中ではすでに目標は達成したと言えるかな。

——5月31日にはいよいよ日本初ライヴとなりますが、見所を教えてもらえますか?

ヴァーチャル・セルフのDJセットは、不思議な音楽にするというひとつの目標があるんだ。

リスナーには新しい体験をしてほしい。だから、お客さんが喜びそうな曲だけをやりたくはないんだ。

一部のファンは、ヴァーチャル・セルフのライヴでポーター・ロビンソンの曲がかかることを期待していたけど、絶対にそれはやらないよ。

——ヴァーチャル・セルフにしろ、ポーター・ロビンソンにしろ、SNSがすごく面白いです。謎めいた部分があったり、フォントもすごくこだわりがあったり。SNSはどんなことを意識してやっているんですか?

ヴァーチャル・セルフとしては、馴染みがあるようでいて困惑させるような、テクニカルで不可解で神秘的な雰囲気が作りたいんだよね。

それは、機械の中で何かをささやく幽霊のようなイメージ。言葉にするのは難しいんだけど、『ヴァーチャル・セルフだったら何と言うか、(ヴァーチャル・セルフのキャラクター)PathselectorTechnic Angelだったら?』と問いかけているんだ。だから、彼ら自身が書いているとも言えるんだよね。

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——あなたは日本のアニメが大好きですよね。最近ハマっている作品はありますか?

残念ながらヴァーチャル・セルフの仕事が忙しくて、最近は全然アニメが見れていないんだ……。すごく恋しいよ(泣)。

——では、日本のファンにオススメの海外のアニメ作品はありますか?

面白い質問だね(笑)。アニメじゃないけど、僕の最近のお気に入りは、ジェレミー・ペリンが監督したDyEの“Fantasy”のミュージックビデオだよ。

EVENT INFORMATION

Virtual Self

5月31日(木)

OPEN 18:00 

マイナビBLITZ赤坂(Akasaka)

前売¥7,900(1Fスタンディング)¥8,900(2F指定)¥18,000(VIP)

Virtual Self

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