古今東西、いまやEDMの大型フェスはたくさんあるが、どのフェスのラインアップを見ても思うのは、「EDM系アーティストのロゴって、ちゃんとしてる」ということ。
おおむねシュッとしていて高級感のあるものが多いが、その他ロックテイストなものやタイポグラフィ以外の要素が多いものなども含めて、どれをとってもロゴとしての完成度が高い。
そこで今回の検証企画。実際彼らのロゴの完成度はいかほどなのか、我々独自の方法で検証してみたい。
もし、いかなる環境にあっても違和感なくその存在感をアピール出来るのが優れたロゴの定義だとするならば。そうした目線でEDMアーティストのロゴの強度を測ってみよう!
検証①|ビッ○カメラの袋のデザイン内に馴染めるか?
ロゴ界の中でも猛者が集う聖地、いわば“ロゴの原宿”ともいえるのが、あのお店の買い物袋。
もし本当に優れたロゴならば、そんな猛者達の中に紛れ込ませても見事に馴染み、ロゴの聖地を飾る一角としてその役割を果たしてくれるだろう。
…というわけで試してみました。
(下の画像の中にEDMアーティストが3人います)
…どうだ! この馴染み方!!
馴染むどころか、全然見付けられないじゃないか。
ここまで馴染んだならば、一人前のロゴとして認められたといっても過言ではないだろう。
<結論>
ビッ○カメラの袋のデザインにEDMアーティストが混じっても分からない。
では、次の検証へ。
検証②|高齢化社会に馴染めるか?
他ジャンルのロゴと比較しても遜色ないデザイン性をEDMロゴが持ち合わせていることは前項で証明された。
しかしそれは横文字ばかりの言わば若者文化の中に限ってのこと。世は高齢化社会を迎えているのである。
日本の高齢者人口(65歳以上)の総人口に占める割合は、2013年に25%を超え、20年後の2035年には33%となり、3人に1人が高齢者になると言われている。
そんな中、EDMが息長く人気を保つには、ロゴだって中高年に好まれる文化に馴染まなければ生き残れないだろう。
…というわけでまた試してみました。どうです? 馴染んでます?
検証②-1|ハードウェルまんじゅう
検証②-2|新宿ゴールデン街に
…正直、あまり馴染んでない。
個人的にはMARTIN GARRIXで一杯だけ飲んで→都藍→ARMIN VAN BUURENとハシゴする流れも悪くはないが、やはり客層は限られてしまう気はする。
ハードウェルまんじゅうに至っては渋いお茶よりもレッドブルなどの方が合いそうだ…。
<結論>
高齢化社会への浸透という面が今後EDMアーティストにとっての課題か。
では次の検証へ。
検証③|浪花の街に馴染めるか?
大阪市を特別区に分割、大阪府との間で役所機能を再編する大阪都構想に関する住民投票を5月に控える同市。地方分権の是非が問われる昨今、投票の結果がどうあれ、文化的な意味でも大阪エリアへの注目度は今後も増していくことだろう。
ならばやはり、ロゴを馴染ませなければ。
果たしてEDMアーティストのロゴは見事ナニワの街に馴染むことができ、新しい文化が芽吹く一助となることができるだろうか。
(下の画像の中にEDMアーティストが1人います)
…では最後の検証へ。
検証④-1|小学生のハートを掴めるか?
ここまで無駄な検証をしてきておいてなんだが、そもそもデザインの善し悪しというのは、理屈でなく直感でカッコイイと思えればそれで勝ちなのではなかろうか。
余計な知識に左右されずに純粋な目線でそのカッコ良さだけを判断してもらうべく、我々は都内の小学校に通う出来るだけバカそうな小学生を片っ端から捕まえ、チュッパチャップス1本と引き換えにアンケートに協力してもらうことにした。
緊急企画!冬でも短パン穿いてる小学生30人に聞きました
一番強そうなロゴはどれ??
小学生の心を掴むのは、何より「強い」もの。
彼らにはこれらのロゴがミュージシャンのものであることは伏せ、「アメリカのヒーローだよ?」と言って、戦ったら一番強そうなロゴを選んでもらい、その理由を聞いた。
【アンケート結果】
1位:SKRILLEX(12票)
・主な選考理由:「武器超いっぱい持ってるし」
2位:MARTIN GARRIX(7票)
・主な選考理由:「技とか出せそうだから」
3位:DAVID GUETTA(4票)
・主な選考理由:「盾がマジ固い」
大方の予想通りというか、大人から見てもやはりSKRILLEXのロゴは見るからに強そうである。
2位のMARTIN GARRIXの選考理由にあった「技を出せそう」というのは不思議となんとなく納得。世代は違うが「ストⅡ」っぽいとも言えそう。
3位以降の選考理由に関してはカオスなのでここでは割愛する。
一方、アンケートの右下にひとつちょっとしたユーモアを忍ばせておいたのだが、これに関しては完全に無視される結果となった。
では、EDMシーンの代表選手がSKRILLEXに決まったところで、ここからは他ジャンルのロゴと戦わせてみよう。
(※評価は編集部の独断で決定)
検証④-2|EDM vs 家電
検証①では“いかに馴染むか”という観点で検証したが、今回は“どちらが強いか”である。
家電シーンからの代表選手には、パワフルな吸引力を見せる選手と、ずっしり重い低音を繰り出す選手、そして向かうところ敵なしとも言われる知能派選手を選出してみた。
SKRILLEX vs dyson
SKRILLEX vs BOSE
SKRILLEX vs apple
…これはEDM代表SKRILLEXの圧勝と言っても良いだろう。尖った印象が持ち味のSKRILLEXにとって、同じく尖りを武器とする対BOSE戦では相手のリーチの長さに苦戦したものの、対apple戦では相手を食い物にしたような態度で見事な勝利を収めた。
もっと強い奴はいないのか……。まだ見ぬ敵に武者震いさえ起こさんばかりにしていた我々は、今思えば随分と甘かったと言える。このあと、世界の広さを実感させられることになるのだ。
灯台もと暗し。本当に強い敵は意外にも身近な音楽業界に居た。
その名は、ブラックメタル。
検証④-3|EDM vs ブラックメタル
ここからは、EDMファンには甚だ辛い結果をお見せすることになる。
しかしこれも事実として真摯に受け止めて欲しい。この無惨な負けっぷりを…。
SKRILLEX vs Enthroned
SKRILLEX vs Into Darkness
SKRILLEX vs Defeated Sanity
どうだろう、この押されっぷり。
さっきまで「尖り」に見えていた、SKRILLEXの牙のようなシルエットも、今ではまるで防戦一方の防御態勢に見えてくるようだ。
このままではいけない。
例えばSKRILLEXがブラックメタルのイベントに出演したら、フライヤーはこんな具合になってしまう。
華奢だ。華奢すぎる。
こんなSKRILLEXはもう見たくない!!
…というわけで作ってみました。
ブラックメタル風SKRILLEXロゴ
たとえイベントに出演しても…
本稿のテーマを思い出してみよう。
「優れたロゴはいかなる環境にあっても違和感なく馴染むことが出来る」
どうだろう、今見てもらったあたらしいSKRILLEXの姿。
……馴染んでるじゃないか!
<総括>
今回の一連の試みで、EDM代表となるSKRILLEXのロゴは、最終的になんとブラックメタルシーンにまで馴染むことが出来た。
今、世界中のダンスミュージック・ファンを虜にし、空前のムーブメントを巻き起こしているEDM。その底力はどこまでも計り知れない…。