もしあなたが刺激を求めている、もしくは日常から脱却したければ海外に旅に出ることをお薦めしたい。
しかも音楽とアート、そのふたつの最新形態を感じることができる、とびきり夢中になれる場所に。

今回紹介するフェスティバルは、まさにそれにふさわしい、最先端の音楽とメディア・アートの祭典だ。
さぁ、新しい自分と出会うために旅に出よう。

地中海に面した風光明媚な都市:バルセロナ。ここでは毎年6月に世界各地から15万人もの観衆を集めるダンスミュージックとアートの祭典『Sónar』が行われる。
これは、「Advanced Music × New Media Art」をコンセプトに掲げ、バルセロナ市内の2つの会場を舞台に、昼間は実験的なメディア・アートの展示やフィルム上映、さらには参加型のワークショップなどを体験することができ、夜には場所を変えて巨大なダンスミュージックのフェスティバルが待ち受けている。

もちろん、ここに出演する音楽アーティストたちも前衛的で最先端なサウンドを奏でる人ばかり。いつしか出演者達からも、最新の音楽プロジェクトやライヴ・ショウケースを披露する場として認知され、そこでは聴き馴染みのある音楽ではなく、まったく新しい音楽や最先端のテクノロジーを駆使したパフォーミング・アートが体感できるようになった。

だからこそ、音楽、アートを愛する者、そしてパーティ・ピープルがこの時期はバルセロナに集うのである。そこには、想像もしなかった知性と理性を刺激する体験が待ち受けているから。

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最新のテクノロジーと鋭き感性
未来のサウンド、ステージがここに

いまや音楽フェスやライヴは、エンターテインメント性を押し出すのが当たり前の時代になっている。
昨今のEDMフェスでは、LEDスクリーンで覆われたステージが独創的にデザインされ、レーザーや紙吹雪はもちろんのこと、火柱から放水まで、ド派手な演出で観衆のド肝を抜いてきた。

しかし、ここ『Sónar』で体感することができるエンターテインメントは、それらとは全く異なるものだ。
よく言えば、より実験性に満ち溢れ、悪く言えば小難しい。だからこそ、受け取り手の想像力に委ねる部分があり、そこに新しい発見、感性との出会いがある。

では早速、今年の『Sónar』の出演者の中から、FLOORが注目する音楽アーティストを紹介していこう。

05_atom_and_robin_fox_01Double Vision: Atomo TM+Robin Fox

まずはアトム・ハートとロビン・フォックスによるプロジェクト:Double Visionの予測不可能な変則ビートに映像とレーザーを完全にシンクロさせた映像美と光の狂宴。

SquarepusherSquarepusher

続いて、FLOORでも1万文字におよぶインタビューを行った奇才:スクエアプッシャー。3年ぶりの新作「Damogen Furies」は、自作のソフトウェアのみで制作され、ライヴパフォーマンスもそのソフトウェアでサウンドのみならず、映像までをも制御。ステージのLEDと自身が身に付ける特殊マスクとスーツに映像が映し出されるその姿は、まさに『Sónar』の理念を地でいくショウケース。

Dubfire:live HybridDubfire:live Hybrid

さらにはダブファイアによるHYBRIDにも注目したい。4枚の半透明なスクリーンを重ねて配置し、自身もその中に入り込み、鋭いテクノ・ビートと連動させた立体的な映像で異空間を創り出す。

その他にも、エイサップ・ロッキーやFKAツイッグスのライヴ、ジミー・エドガーとマシンドラムのコラボ:JETSなど、見所は満載だ。

A$AP RockyA$AP Rocky
FKA twigsFKA twigs
J.E.T.S. (Jimmy Edgar + Machinedrum)J.E.T.S. (Jimmy Edgar + Machinedrum)
SiriusmodeselektorSiriusmodeselektor
AutechreAutechre

進化するメディア・アートから
イノベーションを体感せよ

続いては、メディア・アートの側面にフォーカスを当てていく。

まずは、CaboSanRoquによる“12 Round”。なんとも説明しがたい自作の楽器の演奏に合わせて、過去のボクシング試合からサンプリングしてきたKOシーンと、撮影されたユーモラスなボクサーの動画をシンクさせたマルチメディアだ。

日本からは、文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した和田永が、ブラウン管モニターを楽器として演奏するパフォーマンス“Braun Tube Jazz Band”を披露する。ブラウン管から出ている目に見えない電波を身体に通し、その電気信号をアンプで増幅させて音に変えて演奏する画期的なライヴは、昨年のライゾマの真鍋大度に続き、大きな話題を産みそうだ。

これらは膨大の展示の一部にしか過ぎない。スペインに出向き、あなた自身が、その目で見て、感じる旅にしてほしい。

Felix Faire “Contact”

Music Hack Day

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