yahyei

思考停止による世界の危惧を鑑み
彼らは存在意義を問い続ける

yahyelの楽曲に垣間見えるのは、絶望の中にも何かを見出そうとする希望。そして、彼らの話を聞いていると、その希望は果てしないものでありつつ、得てして一瞬で逆転することも可能なような、実にアンビバレントな感覚を覚えさせる。yahyelはその難題にどう挑み、どんな答えを求めているのか……最後に未来について聞いてみた。

——3人は将来についてはどう思ってるの? たとえば理想の世界は?

池貝 思考停止がなくなることかな。

篠田 大きな理想が新たに設定されて、そこにみんなが向かえばいいとなると、それこそ思考停止というか、それってただ理想を別のものに置き換えただけに過ぎないんですよね。“そもそもそんなものはねーぞ”って、その都度考え続けるしかない。

池貝 特に日本にあてはめるなら、今ある偉大な日本像。僕らの上の上の世代の人たちが作り上げた再建後の日本に必要だったメンタリティみたいなものは、正直今の僕らには関係ないんですよね。何の旨味もそこから享受していない世代なんで。今のベースはそこにあるって言われても実感ないし。そんな中で、日本の外にも別の価値観を持った人たちがいて、彼らと普通に付き合って人間関係性を築いているような僕らとしては、理想というものがすでに崩壊している。
日本人が日本と定義するものにも、海外の人たちが定義する日本というよくわからないオリエンタリズムみたいなものにも、僕らは何にも帰属できない。つまり、何が自分たちのアイデンティティか、それは自分で考えるしかないんですよ。そして、その問いかけがなければ、ただただ人から受け継いでいくだけの思考停止状態。それがなくなればいいと思ってます。

——それこそ今の30代はストリートという大きなものがあって、それに変わるものがネットなのかなと思ったんだけど、そうでもないようだね。

篠田 僕らの世代にはそういったものがないというか、ストリートのような題目がない。だからこそどこかに帰属して自分を位置づけるのではなく、帰属なんてそもそもないから自分は何者なのか、それをその都度考えなくてはいけないんですよ。

——では、yahyelとしてのゴールは?

池貝 それは、僕らが今やっている音楽が向こう(海外)の人たちの肌感として“普通に音がいい”ってシンパシーを感じてもらえること。そこには様々な尺度があると思うけど……僕らもやっぱり『グラストンベリー』に出たいし、KEXPで演奏したいし、それこそグラミー賞も獲りたい。ただ、賞が目的となるとそのための動き方があるわけで、僕らがやりたいのはそういうことじゃない。
どこにツアーに行っても僕らの音楽に共感してくれる人がいて、“この人たち日本人だったんだ”ぐらいの肌感で音を聴いてもらうことが目標。ひいてはそういった現象が大きくなったときに結果的にステレオタイプというものがなくなるというか、それが不確かなものだったということがわかる、それが一番の結果であり、最終地点なんだと思います。あとは、やっぱり自分たちの世代を定義したいかな。

——では、直近のステップとしては?

池貝 次のアルバムをしっかりと作ること。そして、海外でもっとツアーをやりたいし、作品も流通したい。そしてコラボもたくさんやっていって。

——誰とコラボしたい?

篠田 今ちょうど話を進めているのは韓国のラッパー兼トラックメイカーのXXX。僕らは彼のことが大好きで。

池貝 誰でもいいとしたらその時々で変わると思いますが、今で言えば……ボニーベールやジャスティン・ヴァーノン。それにチャンス・ザ・ラッパーやジェイムス・ブレイクにムラマサとか。そういった世代を代表する人たちと足並みを揃えていきたいし、コラボも彼らとの共存を提示する手段だと思うんですよね。

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yahyel
『Flesh and Blood』

Beat Records

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2016.12.16 Fri

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