降りしきる雨のなか圧巻のプレイでハイライトを作ったマーティン・ギャリックス

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今回、3日目は『ULTRA JAPAN』では初めてほぼ終日雨天となったが、そのなかでマーティン・ギャリックスは悪環境をものともせずにフロアを熱狂の渦へと落とし込んでいた。

近年シーンでも最も注目を集める彼だが、この日のプレイはまさにそれを納得させるものだったと思う。特に冒頭の15分の怒濤の勢いは相当なもので、“Animals”のピアノソロからの“Poison”、“Lion In The Wild”、“The Only Way Is Up”と自身の代表曲を惜しみなく披露し、そして“Tremor”とアヴィーチー“Waiting For Love”という鉄板のマッシュアップは凄まじさたるや。

軒並み大合唱、雨が降っていることも忘れているかのようにうねり狂うオーディエンスの光景は、『ULTRA JAPAN2016』のハイライトのひとつと言えるだろう。

ヒット曲の多さが武器になっていることはもちろん、オーディエンスを喜ばせるエンターテイナーとしての資質の高さは、若き皇帝として今後も活躍していくことを大いに予感させた。

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そして、そんな彼も一時トラップ系のサウンドへと流れていくのは興味深く、そこからまたアンセム系へと戻り、なおかつ冒頭ではケミカル・ブラザーズ“Hey Boy, Hey Girl”をマッシュアップしたり、ダフトパンクの往年の名曲“One More Time”をプレイするところなどは非常に痛快だった。

ちなみに、まさかの“One More Time”に会場からは震えるほどの大合唱が巻き起こり、この日一番のハイライトに。
以降、最後までヒット曲盛りだくさん、ましてや“Don’t Look Down”や“Gold Skies”といった自身の楽曲を最後まで残し、ラストは“In The Name Of Love”。自身のヒット曲の多さがものを言う、彼にしかできないセットは終始オーディエンスを圧倒していた。

3日目には彼以外にもジョーズやマシュメロなど、気鋭アーティストたちの奮闘も光っていたが、大トリとして登場したティエストのプレイもまた素晴らしかったことだけは伝えておきたい。

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あくまで誰もが知り得るヒット曲の連発ではなく、確実にフロアにヒットするスマッシュ・アンセムを続々と投下し、なおかつEDMからトラップ、そしてヒップホップまで組み込んだ懐深いセットは、彼のキャリアが成せる手練の業というべき貫禄あるプレイだった。

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自身の楽曲も織り交ぜ、なおかつ途中ジョーズの参戦というサプライズも嬉しかったが、こと終盤にコールドプレイの“Yellow”をチョイスしたその落差はさずが。エアポケットのように生まれた歓喜の瞬間は見事という他なかった。

そして、そのまま感動のクライマックスへ……と思いきや、残りわずかな時間でハードスタイル~トランスに移行するのは予想外この上なく、雨の中疲れきっているはずのオーディエンスたちが最後の最後に再び熱狂する様は素晴らしかったと思う。

ただし最後ショウテック&TNTの“Mellow”が突如終了したことはオーディエンスもあっけにとられていたようだったが、そんな予想外の結末もまた一興。

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