2000年代以降、シーンに颯爽と現れ、瞬く間に世界に浸透したベースミュージック。その名の通りベースを重視しつつも進化に次ぐ進化でいまや激から切(エモ)、狂から幸まで全方位兼ね備え、フィジカルから感情まで揺らしまくりでクラブフロアはもちろんフェスをも大いに魅了する傍ら、その要素は他ジャンルにもあまねく波及。21世紀を代表する新興サウンドのひとつとなったが、そんな現行ベースミュージックシーンで国内のみならず海外にまでその名を轟かす2人組、高橋遼平と前田大輝からなるREXY=DEXY。
都内の人気ベースミュージックパーティには軒並み出演。そして「ULTRA JAPAN」や「GMO SONIC」といったフェスでも存在感を示す一方でプロデューサーとしても海外人気レーベルからリリースし、Yellow ClawやFlosstradamusらとコラボ。そして、今年はCoachellaでDJ SNAKE x RL GRIME x Flosstradamusが彼らの楽曲をプレイするなどトピックを挙げだしたら枚挙にいとまがない彼ら。
今回は、いまや日本のベースミュージックの顔役となりつつあるREXY=DEXYにインタビュー。
2000年生まれの彼らは果たして何を聴いて育ち、今何を見て、そして何を目指すのか……まずはその原点・原体験、2人のルーツからREXY=DEXY結成前夜、これまでの歩みにフィーチャー。今後のアーティストにとってひとつの指針となるかもしれない彼らが紡いできたコロナ以降、令和のアーティスト成長譚、要必読。
◆2000年生まれの初ダンスミュージックは?
――今いくつですか?
前田:2人とも同じ26(歳)です。
――最初に聴いたダンスミュージックを覚えていますか?
高橋:記憶が曖昧でいくつかあるんですけど……ひとつはHardwell。中1〜中2の頃にTwitterでめちゃくちゃ流れていて、それを聴いてかっこいいなって。もうひとつは中学の時に友達に教えてもらったMarshmello。当時は“Alone”ですね。あとは同時期にSkrillexと出会ってよく聴いていた覚えがあります。
前田:僕もよく覚えてないんですけど、おそらく最初はAviciiかAfrojack。その後にMartin Garrixを聴いてガッツリハマった感じです。
――もともと音楽は好きだったんですか?
高橋:僕は洋楽が好きで、小学生の頃からヒップホップと海外のポップスを聴いていて、その流れでダンスミュージックを聴き始めました。
前田:僕も洋楽は小さい頃から聴いてましたね。
――それは何かきっかけがあったんですか?
前田:父親が洋楽をよく聴いていたんですよ。特にABBAとか。
高橋:僕は小2〜小4までアメリカにいて、そこで洋楽にハマった感じです。日本の音楽も聴いてましたけど詳しくはないです。
前田:僕も小4まで韓国にいて、その期間は(邦楽は)全然聴いてなくて、帰国してから聴き始めたんですけど、基本ロックでしたね。
――いろいろな音楽を経て最終的に行き着いたのがベースミュージック。
高橋:ヒップホップを聴いていた影響もあると思うんですけど、僕はMarshmelloとSkrillexに出会って、あのビート感にヤラれました。当時はジャンルとか意識してなかったんですが、DJを始めてから自分はベースミュージック、トラップが好きなんだと気づいて、そこからより意識して深く聴くようになりました。
――ヒップホップには行かなかったんですね。
高橋:DJを始めた頃はよくかけていたんですけど、ダンスミュージックの方が気持ち良いことに気づいてしまったので。
前田:僕はREXY=DEXYのプロジェクトが始まった時は正直ベースミュージックのことはあまり知らなかったんですよ。ただ、その頃にHerbalistekさんのパーティ(SECTOR)に行って、そこでベースミュージックにハマった感じです。
――それまでは何を聴いていたんですか?
前田:僕はREXY=DEXYを始める前からDJをやっていて、当時はフューチャーハウスやプログレッシヴハウス、ベースハウス、ダブステップとかかけてました。
――テクノ、ハウスという選択肢はなかったんですか?
前田:ベースミュージックに出会ってからは全然なかったですね。
――20代〜30代のDJに話を聞くと、多くの人がSkrillexに影響を受けているようなんですが、前田さんはあまり通ってない?
前田:通ってないんですよ。むしろJustin BieberからSkrillexを知るみたいな。Jack Üの“Where Are Ü Now”で。
高橋:僕は逆にめちゃくちゃ聴いていて、「Scary Monsters and Nice Sprites」とか本当に衝撃的でした。見た目といい、音といい、他にはない感じがあって、少なからず影響を受けましたね。
◆出会いは突然…REXY=DEXY結成前夜
――2人はいつから一緒に活動を始めたんですか?
高橋:大学1年生の時に僕がイベントを始めて、Instagram経由でDJを呼んだらその人が(前田)大輝を連れてきて……。
前田:僕は当時バーとかでDJをやっていたんですけど、そのイベントで(高橋)遼平と出会って仲良くなった感じです。
高橋:それが2019年の秋ぐらいで、その後、僕もDJをやろうと思って2人でクラブに行ったんです。それでそこのレジデントの人に「DJやりたいんですけど……」って言ったら、そのクラブのDJチームに弟子入りすることになって。
――だいぶ積極的ですね。
高橋:当時はとにかくDJがやりたかったんですよ。ジャンルとか関係なく、ただDJがしたくて。
前田:それに何もわかってなかったんですよね。クラブのこともDJのことも。完全に勢いで入って、しばらくして自分がやりたいことができないみたいな。
高橋:フロアの雰囲気に合わせて選曲する、いかにお客さんを踊らせるか、それがDJのひとつの醍醐味だと思うんですけど、それを1年ぐらい勉強してましたね。フロアの空気を読むみたいなことを。
――いわゆる下積みですね。
高橋:下積みとしては短かったかもしれないですが、すごく濃い1年で楽しかったですね。六本木と渋谷の現場を週に何度も通って。その後にREXY=DEXYを結成するんですけど、始めてからも半年ぐらいはやっていたと思います。
――もともとDJになりたいと思っていたんですか?
高橋:最初はDJを全て一括りにして志してました。しかしやっていくうちに、DJというよりも本当はアーティスト(プロデューサー・DJ)になりたいと思ってたんだと自覚しましたね。だから当時も「DJとしてお客さんに合わせるのもすごく楽しいが、自分が思い描いていた将来像と違う。自分たちの理想を叶えるには自分たちの好きな”スタイル”を表現したい」とは思っていて。
――アーティストを志したのはいつから?
高橋:大学2年生の頃ですね。
――その頃の動画がYouTubeに残ってますね。DJ-1 PROJECTの動画。
高橋:あの企画で自分が好きな曲でDJをすることの楽しさに気づいたというか、それまではALL MIXのクラブでDJしていて、そこで抑えていた本能的な部分を表現できた。あれは大きな経験になりましたね。
――当時、影響を受けたアーティストは?
高橋:その頃はまだ浅く広くベースミュージックをやっていた感じで、FUMIさんがCAMELOTで主催していた「BASSLOT」というイベントに出ていたんですけど、そこで出会ったDJの方達のプレイにはすごく刺激を受けましたね。あとは「Beginning」のイベントに出てた国内の先輩のプロデューサー・DJの人たち。彼らはベースミュージックの深いところに迫っていて、それを見て「俺らはまだまだ浅い」と思ったり。その他だとHerbalistekさんやAllen Mockさんとか。
前田:僕にとってはHerbalistekさんとAllen Mockさんが日本で一番影響を受けたアーティストですね。
高橋:海外のアーティストとなるとSkrillex、ATliens, Eliminateとか……。当時は色々なDJの楽曲をとにかくディグってました。あとはちょうどHybrid Trapが僕たちの中で流行っていたので、その界隈の人とか。
◆温故知新と薄学篤志でREXY=DEXY
――REXY=DEXYとしての活動の中で転機は?
高橋:いくつかあるんですけど、まずは大学生の時のDJ-1 PROJECT。自分たちで一歩踏み出そうと思うきっかけになりました。あとは、その後に参加した「MUSIC CIRCUS」も。
前田:僕の記憶では、2024年に「ULTRA JAPAN」に客演として初めて出させていただいて、その後にALAN(SHIRAHAMA)くんがWARP SHINJUKUで僕らのリミックスをかけてくれたんですよ。それがSNSで回って、いろいろな人に知ってもらえた。その一連の流れは大きかったと思いますね。
高橋:それでいうとその前年、2023年に「ULTRA JAPAN」でBopcornさんが僕らの曲をかけてくれて、そこから徐々にブーストがかかった感がありますね。2023年末に5曲ぐらい作って、翌年それを聴いた海外アーティストとコラボすることになって、さらにはBarong Familyからのリリースも決まったり。
――Barong Familyからリリースは2024年ですね。その時の反響はどうでした?
高橋:反響があったかはわからないのですが、そこから海外リリースや海外アーティストとの繋がりが増えたので、すごく良い経験でした。
――翌年にはそのBarong FamilyのトップYellow Clawとコラボしてますよね。
高橋:2025年の頭にZEROTOKYOのイベント「Butterfly Effect」で共演した時に連絡先を交換して、その後コラボしようっていう話になって。
――「Butterfly Effect」は常時海外のトップアーティストを招聘しているスゴいイベントですが、そこに2人は毎回出演されてますよね。
高橋:本当にありがたいです。海外の人気アーティストと共演することで、より多くの人に自分たちのプレイを見てもらえる可能性が高まるし、単純に彼らが日本でどんなプレイをするのか勉強になるので。あとは、Yellow Clawのように繋がれる可能性もなくはないですからね。
――今、繋がりたい、気になっているアーティストはいますか?
高橋:挙げるとキリがないんですけど……今はViperactiveですね。ダブステップとトラップの狭間をいく感じのアーティストで、曲もいいし、DJとしても「EDC」とかでめちゃくちゃカマしてて。
前田:僕はISOxoですね。あとはWink。まだ若いけどスゴいと思います。
高橋:あと、最近は個人的にAlison WonderlandやBaauer,TNGHTといったアーティストの“あの頃のトラップ”を改めて聴くようにしていて、そこから得られるものは多いですね。
僕はまだまだ知らないことが多く、シーンを築いてきた人たちへのリスペクトも込めて聴いているんですけど、聴けば聴くほどもっともっと色々なことを知らないといけないと思わされます。それに、今の音がどこから来ているのか知るのも楽しいし、昔はあったのに今はない音、その逆も然りで新しい発見も多いので、ルーツを辿ることはやっぱり大事だと思います。
前田:僕の場合はダンスミュージックだけじゃなく、ポップスとか色々なジャンルの音楽に触れることで新しいインスピレーションが生まれたりしますね。例えばJポップもコード進行が本当に独特なので、そこから色々なイメージが湧いたり。
――例えばどんなアーティストを聴いてますか?
前田:それこそ宇多田ヒカルさんとか。ロックバンドからも意外とギターのリフがメロディの着想になったりするので幅広く聴くようにしています。
――2人とも考えが違っていて、曲作りもアプローチが異なるので色々な要素が入りそうですね。
高橋:そこが僕らの強みのひとつだと思います。
#2に続く……
REXY=DEXY
高橋遼平と前田大輝、2人のDJ・プロデューサーからなるベースミュージック/トラップデュオ。2021年に活動を開始し、国内外のクラブでプレイすると同時に近年はGMO SONICやULTRA JAPANといった大型フェスにも出演。また、2024年にはYellow Clawが主宰するBarong Familyから楽曲をリリース。海外アーティストからの信頼も厚く、Yellow ClawやFlosstradamusなど様々なアーティストとコラボ。2026年のCoachellaでは、DJ Snake x RL Grime x Flosstradamusが彼らの楽曲を3曲もプレイしたことが話題に。
