今年は実に数多くのフェスが開催されたが、いずれも“最先端”、“トレンド”を謳うものばかり。
そんななか、千葉・幕張海浜公園特設会場で開催された『StarFes.’14』は、それらとは確実に一線を画し、一際異彩を放っていた。3度目の開催となった『StarFes』。今回はエッジーでリアルな情報を伝えるデジタルメディア:VICE Japanがキュレーションを行い、“本物志向”という命題のもと開催。彼らが掲げた“本物”、それは音楽的な部分もそうだが、出演者各自の趣向、そして生き様、メンタリティによるところも大きかったと思う。そして、それは集まったオーディエンスも身をもって感じたはずだ。
そんな『StarFes.’14』の初陣を切ったのはBOREDOMS。彼らはドラマー6人、シンバル20 人、そしてギターとベース8人がEYEを囲むサーキュレ-ションシステムを展開。盛大なオープニングセレモニーさながらの豪華仕様で華々しくも狂気的に幕を開ける。その後、メインのStarArenaでは、ZAZEN BOYS〜the bandapart〜DJ KRUSHとジャンル混同の豪華リレー。
一方、もう1つのサブステージ:StarFloorでは、リンドストロームにDJネイチャー、マーク・ファリナと錚々たるDJたちがプレイ。様々なサウンドにこの身を委ねていると、気がつけば舞台はいよいよ後半戦。ステージには満を持してヘッドライナーたちが続々登場する。
今回序盤に登場したリンドストロームは、ディスコティークかつバレアリックなプレイでフロアをウォームアップ。
マーク・ファリナは海辺のラウンジスペース:StarLoungeに飛び入り参加し、マッシュルームジャズセットを披露。
後半戦、まずステージに立ったのはエリカ・バドゥ。相変わらずの歌声、彼女の健在っぷりに圧倒されていると、あたりはいつしか夕闇に。
美しき夕景に誰もが心奪われそうになるところ、パブリック・エネミーが再びオーディエンスをステージへ惹き付ける。生バンドのパワフルなステージにチャックDの熟練のパフォーマンスは圧巻の一言で、とりわけ“Fight the Power”の盛り上がりはこの日のハイライト。
そして大トリにはナズ。名盤「illmatic」再現ライヴを披露しつつ、後半には代表曲の数々を続々ドロップし最後まで会場を盛り上げた。
今回の『StarFes.’14』、出演者はみな90年代を駆け抜け、ミレニアムにも負けず走り続ける猛者ばかり。絶えず新しさばかり注目されるダンスミュージックシーンにおいて、新しさが全てではなく、“本物”は時代を超えて輝く、それを実証した素晴らしいフェスだった。