真なる意味での人間と開放と
機能する身体=Perfect Body
——今回のテーマである“ヌード”という概念を考えてみれば、それはアートの世界では古くからあるモチーフのひとつですよね。
ただ、それを音楽で表現することはなかっただけで。
そうなんだ。今回特に興味深いと思ったのは……このプロジェクトには“Perfect Body”という副題が付いているんだけど、それが表現できたこと。
それがとてもエキサイティングだったと感じている。
それは視覚的に感じるものではないだけに、“美”や“姿形”は問われず、人種も関係ない。
聴いている側は彼女がどこの国の人なのか、何歳なのかもわからない。さらには四肢が揃っているかもね。
そもそも男女の区別もつかないだろうし、美しいのか醜悪なのかもわからない。
これは本当の意味での開放だと僕は思うんだ。
人の身体……特に裸体に対峙する上で、聴覚だけで感じるということは僕らが今後検討していくべき使用価値の高いツールなんじゃないかな。
——それはつまり……完璧な身体とは何かということ?
人間はものを食べないわけにはいかないし、トイレにも行かなければならない。でないと生きていけないよね。
ならば、パーフェクト・ボディとは機能する身体……生きている身体なんじゃないかと思ったんだ。
そして、そこから全てが始まった。
——となると、命を糧として食べるというところまでを描いたあなたの過去作品『One Pig』の続編という感じがしますね。まさか、当時からここまで考えていたとか?
それは違うね。インスピレーションというのは湧いてくるのを待つしかないし、自らの決断の整合性も後になってようやく見えてくる場合が多々ある。
この発想が浮かんだのは……『THE SHAKES』を作った後かな。そう思うとイライラするよ(笑)。
自分の発想に脳が追いつかず、それを待っているしかないということにね。
しかも、それは急かすこともできない。今もまさにその問題にぶち当たっているところなんだ。
今後の作品についてまだ何も浮かんでこなくてさ。近いうちにとりかからないといけないのに(笑)
——このような作品を作った後のことも聞きたかったんですけどね。
次にやることは決まってるよ。それは本だ。
“MUSIC”というタイトルの本を書いた。これは僕が作ることのないレコードの解説書なんだ。