2014年にレーベル設立10周年を迎えたUKのHyperdub。
記念すべきアニバーサリーイヤーのワールドツアーを、日本4都市からスタートさせると、その後、丸1年間をかけて、オリジナリティ溢れるサウンドで世界中を熱狂させてきた。
そして、10周年の集大成を12月19日に東京、20日に大阪でクロージングパーティとして『Hyperdub 10 -Closing Event -』を開催することが決定!
本稿では、クロージングパーティに備えて注目すべきアクトとして、紛うことなきハウス・レジェンド、キング・ブリットの別名義:フロストン・パラダイムと、“UKファンキーの女帝”とも呼ばれる紅一点、クーリー・Gの2組にスポットを当てていきたい。
King Britt presents Fhloston Paradigm
ハウス界のレジェンドが導く新しきHyperdubの世界観
今年の1月のイベントが過去の集大成だとしたら、今回は、未来を示唆する内容が強くなるのは間違いない。そう思うのは、出演者にこのフロストン・パラダイムことキング・ブリットの名があったからだ。
キング・ブリットは、紛れもないハウス界のレジェンドであり、また名義を使い分けて様々なジャンルの作品をリリースしてきた賢人でもある。
彼の最新プロジェクトがこのフロストン・パラダイムであり、最新作がHyperdubから7月にリリースした「The Phoenix」になる。コード9とキング・ブリット2人が手を組んだというだけで、目が眩むようなビッグニュースだが、加えて本作がこれまでのキング・ブリットとは一線を画する内容になのだから感涙。
浮遊感抜群の美しいシンセ音や乱れ飛ぶベース音、神秘的なボーカルなどが混然一体となったサウンドは、あらゆるブラックミュージックに精通するキング・ブリットとHyperdubの特色が見事に融合した作品であり、過去に類をみないオリジナリティを誇っている。
なにも未来とは、若手の気鋭アーティストばかりを指すのではない、と言わんばかりのアンダーグラウンドの賢人による新作が、今回の公演でどのような空間を創り上げるのか、注目してもらいたい。
Cooly G
“UKファンキーの女帝”が日本降臨。魅惑のサウンドに思わず腰がくだける!
コード9がダブステップからの脱却を図り始めた時期に、UKファンキーの旗手として見いだされたのが、このクーリー・Gだ。
シンガー、ラッパーとしてユニークかつセクシーな歌声を披露しながら、プロデューサー~DJとしても類稀な才能を発揮する彼女。誰が呼んだか、“UKファンキーの女帝”。この通り名も実にしっくりくる。
00年代後半にキャリアをスタートし、ダブステップ界の大物:マーラやレーベルメイトのDVAなどと共作を果たし、強烈な存在感を示すと、2012年リリースのファーストアルバム「Playin’ Me」では、UKファンキー~ハウスにR&Bやソウルの歌い回し、シンセサウンド、ブレイクビーツを織り交ぜたハイブリッドな音楽性を見せつけた。
また今年リリースしたばかりの最新作「Wait’ Till Night」ではさらにその方向性を推進。もはやジャンルで区別するのがナンセンスなほどの真っ黒いグルーヴとアンダーグラウンドの野暮ったさ。そこに見え隠れする官能的な歌声や煌びやかなフレーズは、唯一無二。
当日は、出演者の紅一点として、重く太く黒いビートと妖艶なボーカルと腰にクるパフォーマンスで魅了してくれそうだ。
おそらく当日に、もっとも激しくカラフルなライヴになるのは、彼女だと思われる。激しく踊ってほしい。