突然の訃報が届いたのは、4月27日だった。
2013年にHyperdubより「Double Cup」をリリースし、音楽シーンを席巻したジューク~フットワークのレジェンドであるDJラシャドが35歳という若さで他界した。
ジューク~フットワークが世に出て、これからどんな進化・変化を遂げるのか、既存のジャンルとどういった化学変化を生み出すのか。多くの音楽ファンが、そんな音楽的空想を楽しんでいた矢先だったであろう。『Hyperdub 10』の初来日から僅か3カ月後のことだった。
ジューク~フットワークは、DJラシャドとそのクルーであるTeklifeが創造した音楽といっても過言ではない。シカゴハウスやゲットーテクノを下地にしたトリッキーなサウンドは、実験的な面白さがあるものの、まだまだ未完成。それゆえに多くの音楽ファン、アーティストの注目を集めた。
いま故・DJラシャドの意志を受け継ぎ、全世界の音楽ファンの期待に応えうる男は、ただ1人。Teklifeのメンバーであり、DJラシャドとともにシーンを牽引してきたパイオニア、DJスピンである。
彼は、ジューク~フットワークが世に認知される以前からラシャドとともに多くの楽曲を共作し、その活動を常にともにしてきた。
単に盟友というより、“刎頸の仲”と言った方が適切で、DJラシャドの横には必ずDJスピンがいた。「Double Cup」でも大きな役割を果たしており、収録曲の半分に彼の名を見つけることが出来る。
まもなくラシャド追悼のTeklifeコンピ「Next Life」をリリースする彼のパフォーマンスは、今年1月のDJラシャド初来日からの流れを考えると、“ジューク継承”の歴史的瞬間を日本で目撃できるという事件になる。
DJラシャドの早すぎる死に際して、世界中のメディアが追悼のミックスや過去の音源などを公開したが、ここで紹介するのは米の有力音楽メディア:Pitchforkのドキュメント。
メキシコのモンテレイで行ったDJラシャドとDJスピン(キャップとサングラスかけている方)のツアーの模様を追ったこの動画は、日本語字幕はないが、2人の人柄、関係性の一端を垣間見ることができる貴重な映像だ。
そんなスピンが出演するクロージングパーティが12月19日、20日に開催される。
常に最新のサウンドを追求してきたHyperdubのアニバーサリーイヤーを締めくくる最新形態。
シカゴのストリート育ちの2人が実に活き活きとメキシコの街を闊歩する姿やライヴの様子を視聴して、故人を偲びながら、クロージングパーティの予習としてほしい。