「FLOOR」の膨大なアーカイブの中から日本のクラブ&ダンスミュージックシーンの歴史に残る1ページを紹介する「FLOOR NIGHT DISCOVERY(FND)」。第三弾は伝説の幕張オールナイトロング2000年代のシーンを極才色に彩った屋内フェス「Electraglide(エレグラ)」をフィーチャー!
往年のファンには嬉し懐かし幕張から朝帰りエレグラ。その始まりはミレニアムな2000年でした。今のようにダンスミュージックフェスが群雄割拠していなかった時代に幕張メッセでエレクトロニックフェス。実に貴重だったし、何よりラインナップがヤバすぎ・さすがProduced by BEATINK☆。毎回旬のアーティストからレジェンドまでそのカッティングエッジな審美眼たるや感服です。
エレグラの記念すべき初陣はUnderworld(Rick Smithも!)、Orbital、Luke Slater、Richie Hawtinなどなど豪快な幕開け。個人的にエレグラといえばUnderworldのイメージで、きっと一番出てるんじゃないかな!? それこそ“Born Slippy”はもちろん“Rez”とか“King Of Snake”とか、あとは“Two Months Off”鬼盛り上がりました。

そして翌年にはみんな大好き元祖ファンキーFatboy Slimに本家奇才Aphex Twinという脅威のマリアージュ(これは混沌としてたな〜)。さらに第三回はKraftwerkにSquarepusher、Sasha、X-Press2、Andrew Weatherall、Tim Deluxeらとこんなメンツが一気に楽しめるのはエレグラだけだったと思います。


そんなエレグラの中でもとりわけ印象に残っているのが2005年。この年も番長Underworld、相見えるはゴッド・オブ・テクノCarl Cox先生。もうバッキンバッキンで、さらにはCOLDCUTにChris Cunninghamという鬼才中の鬼才がゴリゴリな世界観を打ち出してて(どっちも超かっこよかった!)、加えてVitalicにTigaとかエレクトロな時代を感じます。当時のレポートによると会場面積過去最大、動員数も過去最高だったそうですが、盛り上がっていたのは間違いなく強く記憶に残ってます。

その後は一時お休みしてまた復活するも……。とにもかくにも2000年代の音楽シーンを駆け抜け、本当に多くのファンを魅了したエレグラ。それこそ今はたくさんのフェスがあるけれど、それらとは違った感性のラインナップに世界観、そして雰囲気で、いうなればEDM勃興前のエレクトロニックミュージック最前線。今とはちょっと軸足が違っていてとても面白かったです。「強く復活復活復活キボンヌ!」というより、エレグラはエレグラであの時代だったからこそのもので、また別のエレグラ的な何かがどんどん出てきたらいいな〜と思います。