FLOORの膨大なアーカイブの中から日本のクラブ&ダンスミュージックシーンの歴史に残る1ページを紹介する「FLOOR NIGHT DISCOVERY(FND)」。今回は日本テクノシーンを語るうえで欠かせない殿堂、伝説の聖地MANIAC LOVEの激動の一夜をフィーチャー。

MANIAC LOVEといえば1993年〜2005年の12年間、東京・青山(青学の裏あたり)に位置したクラブで、階段を降りた先はまさに愛好家たちのパラダイス☆ 連日国内外のテクノDJがこぞってプレイ。間違いなく日本のテクノを体現、そしてリードし一歩も二歩も前に進めた名店で、ついた異名は“テクノの聖地”。

出演しているDJもさることながらお客さんもみんなストイックでとにかく踊りまくり。他とは一線を画すその独特な雰囲気もラヴァー量産。あと思い出すはやっぱりAfter Hoursかな……朝5時から始まるパーティも早朝に関わらず爆裂でこれ目当てに遊びに来るお客さんも多々。コーヒー飲みながら踊る粋な感じもまたラブでした。

MANIAC LOVEについては本当に話したいこと盛りだくさんで、いつか当時のことを語らいたいところですが、今回はそんなMANIAC LOVEの衝撃すぎた夜。フロアはパンパンのパンパンであまりの熱気に靄で白化、なんなら水滴が垂れるぐらいの熱量をみせたパーティを振り返ります。

それは2001年、11月29、30日、12月1日の3日間に渡って繰り広げられた8周年アニヴァーサリーのこと。初日のゲストは当時シーンを席巻していたSURGEON、翌日はLEE BURRIDGEが登場(この両日もヤバかった!)。迎えた最終日、ゲストにはSUPER BROTHERSとシークレットだったもののBROTHERSっていったらあの兄弟でしょ!と会場前にはオープン前から超長蛇。そしてもちろんみんなの予想は的中、The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)がMANIAC LOVE降臨。

ケミカルは20数年前ももちろんスーパースターで、この日も神がかったプレイで超満員のフロアを圧倒。あんなにオーディエンスが盛り上がる姿、歓喜溢れる光景を見たのは人生でも数えるほどだと思いますが、実はあの日、あの時、あの場所、しかもDJブースの中にいまして、間近でケミカルの取材をしていまして、そこである出来事が……。

フロアのあまりの熱気に汗ダラダラ、持っていたドリンクもつきて瀕死だった私になんとケミカルの(たしか)トムさんがDJプレイの合間にスッとペットボトルの水を渡してくれて。その優しさだけでも鬼惚れしましたが、そのときかけられた言葉が今でも耳に残る『Hey Boy…』。“Hey Boy Hey Girl”がスーパーアンセムとなっていくその最中に生Hey Boy、肉声Hey Boyいただきました! 当時20歳を超えていたもののこのHey Boyは本当に沁みた、これ末代まで語られる自慢です。

他にもあまたのスペクタクルが繰り広げられたMANIAC LOVE。今年で閉店から20年が経つんですね……懐かしいものですが、かたやケミカルさんはまだまだ現役バリバリ。今月末にも来日しますね(THE BEACH 2025/5月31日 (土)開催!)。本当に楽しみです。

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