——NYシーンの現状についても教えてください。今どんなサウンドが注目されていますか?
E「シーンはアップダウンを繰り返してる。そんな中で俺は今「New At 2」って番組をやってて、新しい曲をかけることになってるんだ。
そこでは当然今ホットなヒット曲もかけなきゃいけないんだけど、これから出てきそうな新しい曲を常にキャッチすることを心がけてる。
ストリートから生まれる曲、インターネットから話題になるDJ、アーティストとかね。
あとは俺がやってる「Battle Of The Beats」ではジョーイ・バッドアスとデイヴ・イーストのバトルとかもやった。
注目してる連中はたくさんいるけど、俺がそういうことをやっているのは音楽に光を当てるのが目的なんだ。
そして、音楽だけでリスナーにTwitterで投票してもらって勝者を選んでいく。そうやってリスナーとかかわり合いながらやってくのも大事だと思ってる。
SNSの力を借りてそれぞれのアーティストのファンベースを築いていき、5日連続で勝ち残ったら俺の番組のミュージック・リストに入れて、ラジオで定期的にかける。
だから覚えておいてくれ、「New At 2」と「Battle Of The Beats」を。
そうやって新しい音楽をブレイクさせていく、今のNYではそうだ」
——では、今一番ホットなアーティストは?
E「ジョーイ・バッドアスのサウンドは好きだな。バスもすっげぇ好きだぜ。
そして、J・コールがどんなのを出してくるのか楽しみだ。
新人だと……エイサップ・ファーグ、デザイナー、ファット・ジョー、レミー・マーあたり。
個人的にはドレイク、エイサップ・ファーグ、フェイム・スクールが好きだ。
あとはフューチャー、パーティ・ネクスト・ドアも。
曲で言えばジム・ジョーンズがエイサップ・ファーグをフィーチャーした“Harlem”は最高だな。
DJスピンキング、ロイドの新曲もいい。
それにローカルなレッド・カフェ、パプース、アクション・ブロンソンも話題になってるし、アンクル・マーダーとメイノーのミックス・テープ「Yellow Tape」もいいぜ」
L「新人のブライソン・テイラーは6月のNYの『SUMMER JAM』に出演するんですが、新しい感じでいいですね。
R&B・ヒップホップというか、古い感じを取り入れつつも新しい感じがして面白いです。
あとは、DJマスタードがアリシア(マイヤーズ)の“I Want To Thank You”をネタに使ってハウスっぽく作ったトラックの上でエイサップ・ファーグが歌ってる“Strive”とかもいいですね」
——現在は多くのDJが再びアーバンなサウンドに注目しています。それこそEDM系のDJたちからもその声を聞きますが、現在のアーバン・シーンの一番の魅力とはなんでしょう?
E「やっぱりR&Bやソウルのサウンドが基盤、核だってことだな。その“魂”を取り除くことはできないのさ。
EDMが人気になってみんなただ踊ってパーティを楽しんでる時期が続いていたけど、“ソウル”を忘れてしまっていた。だからEDMからトラップへ人が流れていったんだ、ソウルフルなサウンドに魅了されて。
流行というのはサイクルで繰り返されるわけだけど、ソウルの部分は永遠に消えないと思う。
今のヒット曲、リアーナの曲にもソウルが宿ってるし、ドレイクのレゲエ調の曲とか今注目を浴びてるのはアフロビートだけど、それも俺からしたらソウルフル。
彼らが今ソウルをシーンに復活させてるのさ。そして、デザイナーやジョーイ・バッドアスといった若いヤツらもそれぞれ違うスタイルで様々なことをやってる。
それが今のシーンの魅力であり、ホットなんだ。しかも、ソウルと何かしら繋がりながら違うサウンドをやってる、それが面白いんだ」
——先日『HOT 97 SUMMER JAM』のカウントダウン・パーティに出演されましたがどうでしたか?
E「楽しかったよ。カウントダウンではラテンやレゲエの曲もかけたんだけど、DJ LEADが“HOT 97のブランドとヒップホップという冠があるから、誰もラテンやレゲエをかけると思ってなかった!”って言ったんだ。
でも、そこで俺はいいじゃないかって思った。俺達はいつもそういうのをかけてきたからさ。
でも、ヤツは“DJ ENUFFだったらいいけど、俺がかけると笑われる”って言うんだ。“あなただったらリアルだから大丈夫だろうけど”ってね。
でも、俺はヤツに“もしそれが日本のシーンだとしても、お前らしくプレイしたいものをプレイすることは忘れるな”って言ったのさ。自分を表現することを。
ヒップホップの世界とはいえ、DJはヒップホップ以外もかけなきゃいけない。R&Bもレゲエも。
俺が思う素晴らしいDJは、何でもかけられるDJ。ヒップホップを中心におきさえすればそれでいいんだ」
——今回のギグで『HOT 97 SUMMER JAM TOKYO』は成功すると確信しましたか?
E「ああ。今の状況を見てると成功すると感じてるよ。
日本のスタッフの計画としては、年々規模を大きくしていくようだが、今年、今の計画で進めるのは最良だと思ってる。そこからマジックが生まれるはずさ。
楽しみにしててくれよ。HOT 97と『SUMMER JAM』はこれからスゴいものをみせていくつもりだ。
そして、これから年々たくさんのラッキーな人達が増えていくはずだ。
日本人はそういう体験をするべきだと思う。(ヒップホップを)長年愛してくれているからな。
カルチャーを受け入れて尊重してくれているからこそ、見せかけだけのものじゃなく、本物を日本のみんなには感じて欲しいんだ。
日本人は賢いから、ちゃんとわかってくれる。最高だよ」
L「もうすぐラインナップが発表されると思うので、ぜひ遊びに来て下さい!
そして、歴史の1ページの目撃者になってください!!!」