いまやEDM シーンにおける“美”と“涙”の象徴的存在、アレッソ。
彼が生み出す楽曲(メロディ)、そしてプレイはその2つの感情と高揚感が迸る圧倒的な世界観でもって全世界を魅了している。

そんな彼が『ULTRA JAPAN』に二年連続で出演。今年のセットを彼の言葉とともに振り返る。

待望のファースト・アルバムをリリースし、さらなる高みへ

昨年『ULTRA JAPAN』に出演して以降、この1年の間にアレッソは本家マイアミの『Ultra Music Festival(以下UMF)』をはじめとする数々のビッグフェスへの出演もさることながら、待望のファースト・アルバム「Forever」をリリース。

代表曲“Heroes(We Could Be)” や“Sweet Escape”、さらにはカルヴィン・ハリスとの共作“Under Control” やワンリパブリックとの“If I Lose Myself”、そして新曲“Cool”など様々なヒット曲を収録した今作は言わずもがな、世界的に大ヒット。

彼自身も今作に対して手応えを感じているようで、

「(新作の反応は)すごくいい感じだよ。特に“Sweet Escape”の反応がいいね。以前よりもみんなが一緒に歌っているのをすごく感じる」
と語っていた。

そんな新作をひっさげての来日には、誰もが大きな期待を胸にしていたことだろう。
実際、登場した最終3日目には、顔や腕にアレッソの名をペイントしたオーディエンスを実に多く見かけた。

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新しさの中でより輝いた、世界が認める彼ならではの魅力

彼の魅力と言えば、なんといってもその美しいメロディ。

シーンきってのメロディメーカーのその手腕には、あのマドンナも惚れ込んだほどだが、彼のプレイでもそれは健在で、巧みな構成に加え随所にかかるヒット曲の神懸かり的な高揚感は世界屈指。

昨年の『ULTRA JAPAN』、そして今春の『UMF』のプレイムービーからもそれは十分に感じることができ、ここ日本でまたあの感動が……と胸を膨らませて彼のステージに駆けつけてみると序盤はまさかのインスト攻勢。

とはいえ、EDMのDJにありがちなただただ攻撃的なプレイではなく、会場のテンションをうまくコントロールしながら組み上げていくセットは、少々意外ではあったが実に興味深いものがあった。
昨年とはまた異なる、DJとしての彼の新たな側面を感じつつも、セットは徐々に自身の曲を交えた展開へ。

そんななか最初のハイライトとなったのは、彼が世界でも手応えを感じたという“Sweet Escape”。
そのときの会場の様子たるや……待ってましたとばかりに数万人のオーディエンスが大合唱。
その一体感は彼のプレイでしか感じることのできない醍醐味だ。

さらには、その美しき旋律を助長するかのように、ステージ上のモニターにはこれまた美しき幾何学模様が現れ、サウンドとビジュアルが一体となったその世界観に誰もが引き込まれていた。

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ラストに訪れた歓喜の瞬間、そして彼は真のヒーローに……

その後も会場を絶えず魅了する享楽的なプレイを見せつつ、セカンド・インパクトとなったのは“Under Control”〜“If I Lose Myself”への一連の流れ。

そのときのオーディエンスのハンズアップ率も相当で、歓喜という言葉がぴったりの光景だった。
ただただテンションをあげるだけでなく、持ち前の美メロ・アンセムを交えながら構成していく、彼の類い稀なポテンシャルの高さを改めて再確認させられた。

そして、何より印象的だったのはラストにプレイした“Heroes (We Could Be)”。
今回なぜラストにこの曲を持ってきたのか、『ULTRA JAPAN』終了後に彼に訊ねてみると、

「ギグの流れもあったけど、それ(“Heroes (We Could Be)”を最後にプレイすること)がベストだと思ったんだ。この曲は、自分の中でも最大のヒット曲だからね。
その他にも理由はあるけれど、それが大きな理由の1つだね」
とのことだった。

さらには、この終幕は予め決めていたのかツッコんでみると「一応はね……」と意味深な答えが。
おそらく、当初からフィナーレにピークを迎えるための最終兵器として決めていたのだろう。

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再び日本に大きな喜びをもたらした彼と交わした1つの約束

自身の楽曲を多分に含みながら彼の魅力である美しいメロディ感を押し出しつつも、それとは違った側面も見せる、DJでありライヴのようでもある彼ならではのセット。
それは、アレッソのスキル、感性と彼が作り上げる楽曲の強度が可能にする唯一のもの。

今回も新しさを感じさせつつ、その実力を存分に発揮するプレイで昨年に引き続きオーディエンスに強烈なインパクトを残していた。

そんなアレッソは今回の『ULTRA JAPAN』についてこう話してくれた。

「去年よりも規模が大きかったし、より大きなサポートを感じることができた。
みんな踊ったり、ジャンプしたり、一緒に歌い、そして叫び、すごく感動的な時間を過ごすことができたよ」

そして、最後にはこうも言っていた。

「世界中、これまで様々な場所に行ってきたけど、日本はその中でも確実にベストな国だと言えるよ。
街並は美しいし、オーディエンス、そしてスタッフもみんなプロフェッショナルで最高だ。
約束するよ、必ず僕は日本に戻ってくる」

この言葉を胸に、彼が再び日本にやってくることを待ちたい。

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forever

Alesso
『Forever』
UNIVERSAL