そして、誰もが気になる法改正後のシーンだが、合法化されることで拡大することはまず間違いない。

それはこの運動の当初からのテーマでもあるクラブ、そしてダンスシーンによる新たな産業の創出、そして発展の可能性がより大きく広がるからだ。

これまでグレーだからと二の足を踏んでいて大企業をはじめ、様々な資本をクラブやナイトカルチャーが集めることが可能となり、そこから新たなビジネスが生まれることもあるだろう。

そして、経済的な側面から言えばクラブだけでなく、それに付随する文化、飲食、観光、雇用など様々なところでメリットがある。
それこそクラブで遊ぶ人が増えれば、その近隣の飲食店などは好循環となり、しかもそれはクラブが日常にある外国人の誘致、いわば国際的なインバウンドをより拡大することにも繋がるだろう。

そして深夜の活動がより盛んになればその移動手段、交通事情にも影響を及ぼし、あらゆる面で街が活性化されることになる。

ある意味、この法改正とともにクラブを軸とした新たなナイトエコノミー(経済)を具現化できる絶好のチャンスでもあるのだ。

さらに、齋藤弁護士はこの法改正がひとつのロールモデルとなることで、よりよい社会に繋がると語っていたことも印象的だった。

また、イベントではZeebraがこんなことも言っていた。90年代はアジアの中でも最も進んでいた日本のクラブシーンが今は遅れをとっている。
それは非合法でありグレーである以上仕方のなかったがこれからは違うと。
再びアジアの頂点に立つことができる準備が整ったのだと。

風営法イベント

そして施行日の前日、6月22日には数多くのアーティスト、DJなどが集まって作られた「クラブとクラブカルチャーを守る会」のキャンペーン“PLAYCOOL”に関する記者発表会が行われ、そこではZeebraをはじめ、長谷部健渋谷区長、渋谷区観光協会名誉理事長である別所哲也、Zeebraとともに渋谷区観光大使ナイトアンバサダーをつとめる中村貞裕、渋谷観光協会理事長の金山淳吾らが登壇しトークショーを展開。

前日のディスカッションとはまた異なり、政治や経済、そして文化、様々な側面からナイトカルチャーの今後、そして渋谷の未来について話し合った。

PLAYCOOL01

この“PLAYCOOL”というのは“クール(かっこよく、粋)に遊べ”たる言葉だが、それはその活動の根幹である渋谷のゴミ拾いをはじめ自分たちでできることをしていくことで遊ぶフィールドを守るという、至極建設的で自明の理に叶う重要なこと。

これは法改正を機により活発に育まれていくべきことだ。
冒頭にも書いたが、この度の風営法改正がなされたとはいえこれで終わりではない。むしろここが出発点であり、誰もが楽しめる明るい未来を作ることになるのだ。

全てはここから……。
とはいえ、確実に日本のクラブシーンの未来は広がった。
まずはそれを素直に喜びつつ、みなで踊りあかそうではないか。

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