毎年スペインはバルセロナで開催される音楽とアートの祭典『Sónar』。
今年も6月16日〜18日にかけて開催されるが、いよいよその全貌が明らかに!

今回は過去に本誌が取材したレポートをふまえ、その魅力について紹介していきたい。

最新の音楽とアートが交差する世界屈指のフェスティバル『Sónar』

“Advanced Music&New Media Art”をコンセプトに開催される『Sónar』は、1994年にスペイン・バルセロナでスタート。
最先端のダンスミュージックとメディアアートを融合させた、オリジナリティ溢れるコンテンツでコアな音楽ファンはもちろんのこと、アートやカルチャーに精通する感度の高い人達や各方面のメディアからも高い評価を獲得。
毎年、世界各地から10万人以上を動員している。

roisinmurphy_pub_sonar2015_arielmartini-20resonance_01

会場内では音楽パフォーマンスや最新のテクノロジーを駆使したヴィジュアル・ショーケースをはじめ、アート・インスタレーションやトークセッション、企業による実験的な新商品の発表会、さらにはここでしか見ることのできない短編映画の上映など様々な催しが絶えず繰り広げられ、音楽とアート、さらにはテクノロジーまで包括したその複合的なスタイルが世界中から注目を集めている。

musichackday_sonard_consuelobautista_sonard2014sonar-2015-0332-marianoherrera

また、出演者も世界に名だたるビッグスターから今後期待の新鋭、さらにはローカルなアーティストまで幅広く、他のフェスにはないバラエティに富んだラインナップで毎回大きな話題となっている。

現在はバルセロナだけでなく世界各地で展開され、ニューヨーク、ロンドン、フランクフルトにリスボン、レイキャビク、リヨン、ロサンゼルス、ボストン、サンパウロ、ブエノスアイレス、ソウル、東京など世界20カ国以上で開催。

いずれも『Sónar』の哲学を反映させつつも、それぞれの地域の特性を活かし、常に斬新な魅力を振りまいている。

sonard_music_hack_day_consuelo_bautistakoreless_complex_sonar2015_arielmartini-2

今後のシーンを占う先鋭かつ実験的な“Sónar By Day”

本家バルセロナで開催される『Sónar』は、主に“Sónar By Day”“Sónar by Night”の2つのロケーションから成り立っている。

前者はFira Montjuic、後者はFira Gran Via L’Hospitaletとそれぞれ別会場で開催され、“Sónar By Day”はアート・インスタレーション、シンポジウム、短編映画などよりアカデミックでアートやテクノロジーに特化した実験的なコンテンツが多いのが特徴。
一方“Sónar by Night”は、より音楽パフォーマンス色が濃く、現行シーンを代表するアーティストたちが数多く集結。最新のサウンドを提供している。

ここでは、過去5年の間に本誌が現地取材をしたアーカイブの中から“Sónar By Day”の模様を改めて紹介していこう。

世界的アーティストとオーディオメーカーの新感覚プロジェクト“Despacio”

Despacio

『Sónar 2014』では、レーベルDFAの主宰でありLCDサウンドシステムのフロントマン:ジェームス・マーフィと2manydjsがアメリカの老舗オーディオブランドMcIntoshとタッグを組んだ音響プロダクション“Despacio”。

それは、7つの巨大スピーカーを円形に配置してフロアを囲み、中央に向けて音の集中砲火を浴びせるというもの。
全方位から絶え間なく降り注ぐサウンドの波に、フロア内のオーディエンスは既存のクラブとは異なる感覚に。

しかも、その音質はクリアかつ耳障りがよく、まるで音楽に包み込まれたかのよう。ジェームス・マーフィと2manydjsもヴァイナルのみ使用し、自身の楽曲をはじめアンダーグラウンドなハウスやクラシックなど、ダンスミュージックの歴史を感じさせるセットを6時間に渡り披露。
えも言われぬ音楽空間を生み出していた。

前衛的なショーで『Sónar』でも抜群の存在感を発揮した日本人、Daito Manabe

daitomanabe_sonarcomplex_sonar2014_ogarcia2

同じく『Sónar 2014』で高い評価を受けていたのが、RhizomatiksのDaito Manabe(真鍋大度)によるパフォーマンス。

Perfumeの振付でも知られるMikiko率いるElevenplayとの前衛的なステージは、最先端音楽とメディアアートの祭典『Sónar』の中でも圧倒的な存在感を放っていた。

白い衣装を身に纏った3人の女性ダンサーが戯れ合うかのように舞い踊り、動き回る身体にマッピッングを施し、それは新たな表現を可能にするパフォーミングアート。

音楽×ダンス×プロジェクション・マッピングが一体になったそのステージは、まさにテクノロジーとダンスを融合したインタラクティブショー。
改めてDaito Manabeの名前を世界へと知らしめた。

音楽面のみならず『Sónar』ならではのフィルム、アート、シンポジウムも

sonar102_sonarmatica_05

『Sónar』のコンセプトである“Advanced Music&New Media Art”。
そのNew Media Artという側面が強いのも“Sónar By Day”の特徴だ。

ここでは、最新のテクノロジーを用いた映像&フィルムが見る者の度肝を抜き、創造性豊かなアートインスタレーションが満載。

過去に本誌が取材した『Sónar 2012』でも世界的にも有名なロダンの「考える人」をデジタル彫刻で再解釈するプロジェクトが行われたり、音楽に反応しまるで生きているかのような動きをする動物のオブジェクトが設置されたり、音響実験家ヤコブ・キルケゴールによる“差音の原理”で新たな音を創造する実験的なインスタレーションなど、様々な試みが繰り広げられていた。

sonar2

また、音楽、映像、アートなど各分野からアーティストを招き、それぞれのクリエイティビティを共有するシンポジウム、そして未来のクリエイターをサポートするためのワークショップなども度々開催されたりと、近未来のアートを様々な形で体験&体感できるようになっている。

ダンスミュージックの確かな未来がここに!“Sónar By Night”

夜の『Sónar』、“Sónar by Night”はよりダンスミュージックにフォーカス。
最後は、この“Sónar by Night”におけるFLOOR的な今年度の見所を紹介していこう。

まずは、Anohni: Antony and The Johnsons + Oneohtrix Point Never + Hudson Mohawke
これは、イギリスのバンド:アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのボーカルでもあるアノーニ(アントニー・ヘガティ)によるプロジェクトで、今年5月には約5年ぶりとなる新作「Hopelessness」をリリース。

そんな絶妙なタイミングでの出演となる『Sónar』では、昨年末に発表したシングル“4 Degrees”のプロデュースをつとめたワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)とハドソン・モホークが参加。
エクスペリメンタルかつアーティスティックなOPN、そしてダンス〜ポップの次代を担うハドソン・モホークによる科学反応、さらには“4 Degrees”で見せた壮大な世界観がステージではどのように響き渡るのか、創造性溢れるショーに期待がかかる。

続いては、Underground Resistance presents Timeline
ダンスミュージック・シーンに大きな足跡を残すデトロイトテクノ界の体現者、マッド・マイクジェフ・ミルズが1989年に結成したアンダーグラウンドシーンの伝説的ユニット:アンダーグラウンド・レジスタンス(UR)によるパフォーマンス。

この「Timeline」とは、URが誇るユニットであり、オールスターライブバンドのこと。
彼らが作り上げる即興の音楽、それはテクノでありジャズ。

連綿と紡がれてきたURの歴史を包括しつつ、新たな地平へと向かうそのサウンドは、様々なフェスでも大絶賛。
“HITECH-JAZZ”や“Timeline”をはじめとする名曲の数々が『Sónar』ではどのような形で表現されるのか非常に楽しみだ。

Four-Tet1
そして、奇才と巨匠が相見える7時間セット「7h DJ sets by Four Tet and Laurent Garnier」
エレクトロニカ、テクノ、ハウス、ヒップホップ、ジャズ、さらにはグライムなど、様々なサウンドを縦横無尽に行き来するフォーテット。一方ハウス・テクノ・シーンを長きに渡り牽引する巨星ガルニエ。
両者が7時間に渡り繰り広げるセットは、あらゆるダンスミュージックを網羅するだけでなく、その行き着く先に広がる世界は確実に甘美で豊かなものに違いない。

new_order
さらには、イギリスが誇るレジェンド:ニュー・オーダー
昨年約10年ぶりとなる新作「Music Complete」をリリースし、世界を沸かせた彼ら。ダンス〜ロックのハイブリッドをさせたパイオニアの今を感じる意味でも、今回の『Sónar』のステージはまさに必見だ。

その他にも、ジェームス・ブレイクリッチー・ホウティンマルチネス・ブラザーズコード9ファットボーイ・スリムAトラックなど、多彩な出演者たちが控えている今年の“Sónar by Night”。

EDMが跋扈する現行フェス・シーンとは異なる歴史あるダンスミュージックの過去と今、そして未来を繋ぐラインナップは、今年も一大スペクタクルとなるに違いない!

img_sonar2016_pastilla_eng_01

EVENT INFORMATION

『Sónar 2016』

2016.6.16〜18

Fira Montjuic(Soner By Day)/Fira Gran Via L’Hospitalet(Soner By Night) Barcelona,Spain

SonarPass:195€ / 2-Night Ticket:125€ / SonarPass VIP:295€ / 2-Night Ticket VIP:180€ / Sónar by Day:54€ / Sónar by Night:72€

New Order / Fatboy Slim / Anohni: Antony and The Johnsons + Oneohtrix Point Never + Hudson Mohawke / Skepta / King Midas Sound + Fennesz / John Grant / Kode9 x Lawrence Lek present The Nøtel / Oneohtrix Point Never / “Become Ocean” by John Luther Adams performed by The Barcelona Symphony Orchestra / Kenny Dope / Ed Banger House Party: Busy P + Para One + Boston Bun / Matias Aguayo / Section Boyz / The Black Madonna / Congo Natty feat. Congo Dubz, Tenor Fly, Nãnci & Phoebe / Acid Arab / Underground Resistance / Richie Hawtin / Santigold / James Rhodes / A-Trak / Yung Lean / Kaytranada / Ata Kak / Dawn Of Midi / Danny L. Hare / Lady Leshurr / Nicola Cruz / Gazelle Twin / BadBadNotGood / Mind Against / Kölsch ./ Paco Osuna / Angel Molina
[SonarLab ] Resident Advisor: DVS1 & Rødhåd / Kerri Chandler / Ben UFO b2b Helena / Hauff / Hot Shotz (Powell + Lorenzo Senni) / Soichi Terada / Intergalactic Gary / Noaipre
The Warehouse Project:Ben Klock / Stormzy / Bicep / Dj EZ / Mura Masa / Melé & Monki’s NRG FLASH / Krysko & Greg Lord

インフォメーション