大阪市阿波座に昨年オープンしたコンセプトホテル:rock star hotel。
その館内に、約130冊の書籍・雑誌を集めたロックスター ライブラリーが登場。
そのお披露目となった8月23日、FLOOR編集部がホテルに潜入取材を行った!

 

クリエイターたちが手がける
アートなホテル

rock star hotelはその名の通り、世界中で愛されるロックスター21人にフィーチャーしたホテル。
その(ある意味このホテルの顔ともいえそうな)1つ1つの部屋に設えられた、ロックスターを描いたクールなペインティング・アートは、イラストレーター:Buggyによるもの(鼻血や血の涙を流したポートレイト作品がどこかユーモラスだ)。

ほかにも、設計はインテリアデザイナー:森井良幸が、スペシャルスムージーメニューはパリで人気のセラピスト:シゲタチコが、ライブラリーのディレクションをブックディレクター:福居愛子が担当。
エントランスにはWeb監修/制作を担当したエンジニアとデザイナーによるクリエイター集団:Team Labによるカメラ付きのデジタルサイネージ:teamLabCameraが設置されている。これは、撮影した写真をBuggyのアートワークやカートゥーン風に加工してfacebookにアップするというもので、友達とワイワイやりながら撮影したり、SNS上でシェアしたりすると楽しそうだ。

 

ホテルは7F建てで、屋上がある。客室は大きく分けてスイート、ジュニアスイート、スタンダードの3種類だ。

 

rockstarhotel-016階ワンフロアを占めるスイートルーム。DJブースを用意

 

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ジュニアスイート内部。猫脚バスタブで気分は海外セレブ?

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スタンダードルーム。GENEVAのオーディオシステムが設置され、ワイヤレスで音楽が再生できる

 

このほか、宿泊客以外も利用できる施設としてCAFÉ MADONNAやroof★top BARがある。

 

rockstarhotel-04CAFÉ MADONNA(2F)ロックスターたちの紅一点。
ハンバーガーやパンケーキを提供しており、中でも目玉はシゲタチコ監修のスムージー。この日は残念ながら提供しておらず、次の機会に挑戦したい!

 

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roof★top BAR(7F,RF)7Fから階段で行き来できるオープンエアーなバー

 

そんな感度の高いスポットに、新たにライブラリーがオープンした。

 

ブックディレクターが選ぶ
おすすめ書籍たち

世界中からクオリティの高い写真集や雑誌をトータル約130冊選書。
驚き、興奮、感動、行ってみたい、食べてみたい、心地よいものは何? と五感を刺激する書籍を中心にセレクトしたというロックスター ライブラリー。

館内全ての書籍のディレクションを行った福居愛子に、ライブラリーの中でも特にオススメの本について編集部が用意した3つのテーマに沿って選んでもらった。

1|初心者におすすめのアート本

TIM WALKER

TIM WALKER『TIM WALKER PICTURES』

「ファッションフォトグラファーとしてクオリティも知名度もトップクラスのティム・ウォーカー、その華々しいキャリアをまとめた作品集。ファンタジックな世界観がぎっしり詰まっています。
 有名で色々な作品集を出している作家なので、まずはその入門編としてもオススメです」

 

2|絶対に入れたかったマストタイトル

Helmut Newton

Helmut Newton『Newton’s Illustrated No,1-No,4』

「ヘルムート・ニュートンが1985年から1995年にかけて発表した連作写真誌『Newton’s Illustrated』の全4作を1冊にまとめたコンプリート版。ヌードなど、セクシャルなテーマを扱いながら、写真自体もすごくかっこいいんです」

 

3|ここでしか見られない、希少価値の高い本は?

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NYで買い付けたZINE

「ZINEはアーティストやクリエイターがプロアマ問わず自分でプリントしたものを集めて、100部単位など、ごく少ない部数だけ刷っている自主流通本です。ここには15冊ほど置いてますが、その中から3冊ピックしました」

 

今後は本の痛み具合なども見ながら、ライブラリーの入れ替えも行っていくとのこと。
一期一会な本との出合い、きっと刺激的なものになるはず。

 

 

館内アートワークを手がけたアーティスト・Buggyにインタビュー

大阪を中心に活動するデザイナー/イラストレーター:Buggy。ファッションデザイナーやセレブリティを題材にしたポップでユーモラスな作風で知られ、このホテルではロックスターたちのポートレイトを手がけている。
そんな彼に、ホテルという場でのアートのありようについて話を聞いた。

――今回、美術館やギャラリーではない、ホテル内のアートのあり方について意識したことはありますか?
「ホテルだからということは特に意識したりはしなかったかな。
 モチーフ自体にインパクトがあるし、注文もいつも通りの作風でお願いされたからね」

――ホテル内の絵画というと、一般的には静物画や風景画のイメージがありますが、このホテルは泊まった人がすごく刺激を受けそうですね。
「むしろそうした側面がメインみたいな感じだね」

――ここでは実際の作品を見ながら部屋やバーで過ごし、空間を共有できます。印刷物やデジタルデータと比べてどんな違いがあると思いますか?
「やっぱり原画の方がインパクトがあるよ。データや印刷のサイズだと、どうしてもそれが少ない。ディティールまではわからないし」

 

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インタビューを行ったCAFÉ MADONNA。壁面に大きく彼女の顔が描かれている

 

――確かに印刷物やモニタでは、これだけのサイズは味わえないですね。Buggyさんはこのホテル以外にも、例えばカフェなどにも作品を提供されていますね。
「頼まれて描いたりするね。ただ、できればキャンバスに描きたいんだよね。
 こうやって壁に描いても、この壁がずっと残ってるわけじゃないから。でもそこがよかったりするんだけど」

――確かに何十年後もここに存在しているかわかりませんね。
「お店を改装するってなっても、壁ごとどこかに持っていけるわけじゃないからね(笑)」

――そう考えると、キャンバスに描いたものは巡り巡って別の人に引き継がれていくかもしれないですね。
「そうなってくれたらいいね」

――東京でも個展を行っていますが、活動の中心は大阪ですね。最近の大阪のアート・シーンはどうですか?
「あんまり面白くないかも。東京に比べて美術館やギャラリーの数も少ないし、ファイン・アートやペインティング・アートの発表の場も多くない。アーティスト同士の交流も少ない。
 この辺でグラフィティをやってる子たちはそれぞれにつながりがあって、連絡を取り合ってるみたいだけどね」

――そんな中でも、先ほど話に出たカフェのようにBuggyさんの作品に魅力を感じている理解者もいるんですよね。
「絵に自分のサインをしてるわけじゃないから、実際のところお店に来たお客さんが見て自分の絵だと分かってくれるか分からないけど……
 でもこんなお店が増えたら(シーンも)盛り上がってくるね!」

 

 

スイートルームでVIPパーティ

ライブラリーのお披露目となった8月23日、館内ではVIPパーティが開かれた。
この日招待されたのは各界のインフルエンサー/関係者約300名。
ロンドンの名門クラブFABRICと渋谷のWOMBがコラボし、さらにはその模様をライヴストリーミングチャンネル/スタジオDOMMUNEで生配信。

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パーティが行われたのはroof★top BARの2フロアにスイートを加えた計3フロア。
スイートルームに登場したのは、来日したドラムンベース界のレジェンドDJ・LTJブケム。しなやかにうねるビートを寸断するようにブレイクを挟み、かと思えば休む間もなく次のビートが追いかけてきて緊張感が持続する……。ブレイクの長さ、そしてそこから生まれる落差を知り尽くしているとしか思えない熟練した手さばきを見せてくれた。

その後はドラムンベースパーティー『06S』のレジデントDJ・AKi、SHUNJACK、DJ TOYOらがプレイ。
そして、なんとLTJブケムがまさかのハウスセットで再登場。往年の名曲を中心にメロディアスなプレイを披露し会場を沸かせていた。

Fabric × WOMB
2014.8.23(SAT) @ Rock Star Hotel Streaming by DOMMUNE
【ACT】LTJ Bukem / AKi / TOYO / SHUNJACK / JULIEN SATO / TECHRiDERS / SEIHO / KUNIMITSU&YASUHISA / SOU / PAPERKRAFT