ロシア・アヴァンギャルドという芸術運動を知っているだろうか。
これは1917年のロシア革命に呼応して起こった一連の前衛主義芸術運動を指す言葉で、モスクワやサンクトぺテルブルクといった都市で多くのアーティストが活躍し作品を制作した。
そのデザインは現在でも親しまれており、例えばリシツキーの描いたポスターが石野卓球の「STEREO NIGHTS」のジャケットに引用されていたりする。

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そんなモスクワで開催される『Outline』は、エレクトロニックミュージックとハイレベルなアートが融合。しかもそれが行われているのは、何年も使われていない古びた工場跡地。

そんなロケーションを舞台に、フロアでは3Dプロジェクションマッピングを用いたビジュアルや光の演出が楽しめ、さらに会場の至る所にペインターによるグラフィティが描かれていたり、インスタレーションアートが展示されている。まさにアンダーグラウンド・ミュージアムだ。

スケートランプには、グラフティが描かれてるだけではなく、スケートボードで制作したオブジェが展示してあり、そこでスケーター達が互いにトリックを披露しあう。そんな風にストリートとミュージアム、そしてパーティが絶妙に交じり合っている。

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しかも音楽性の面でも抜かりない。モスクワのテクノ系クラブArma17によってオーガナイズされる本祭は、2009年にスタート。これまでにリカルド・ヴィラロボスやセオ・パリッシュ、ロシア出身のニーナ・クラヴィッツ、ルーマニアのラドゥーなど、テクノ/ハウスシーンのアンダーグラウンドのスターたちをはじめ、知名度はまだそれほどないが実力は確かなロシアのローカルDJたちが出演。そのラインナップは、コアな音楽ファンたちからも評価が高い。

しかし2016年、市政府に開催許可を取り消され、突如キャンセルに追い込まれた。フェスティバル主催者側の声明によれば、2017年の開催に向けて調整中だというが、果たして……。

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『Outline』は2015年、以前の人工島から現在の工場跡地へ会場を移したばかり。ロケーションも好評だっただけに、今年もこの会場、もしくはテーマにあったストリートの香りが漂うアンダーグラウンドな場所で開催できることを切に願う。