JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)が、2018年1月をめどに音楽教室での演奏について著作権料を徴収する方針を固めている。

そもそもJASRACとは、作詞家・作曲家といった著作権者から委託を受け、楽曲の利用許可を出したり、使用料を徴収して再分配したりする管理団体のひとつ。テレビやラジオで流すのはもちろん、YouTubeのような動画共有サイトで演奏の様子をアップしたりするのも著作権法では本来作詞家や作曲家に1曲ごとに許諾をとり、必要に応じて使用料を払う必要がある……とはいえ、作曲家や作詞家がそのすべてに対応するのも現実的ではないので、彼らの代わりにJASRACをはじめとした団体が許諾を代行している。

いわば著作権者の代理人とでもいうべき存在なのだが、今回のJASRACの方針については宇多田ヒカルや岸田繁(くるり)といったアーティストもあまり納得いっていない様子。

音楽教室側からも反対の声が上がり、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所、開進堂楽器ら音楽教室サイドが反発。7企業・団体が参加する「音楽教育を守る会」が発足された。

朝日新聞の報道によると、音楽教室の総数はおよそ1万1000ヶ所(JASRACの推定)。内訳はヤマハ系列が約3300ヶ所、河合楽器製作所の直営が約4400ヶ所、その他の事業者によるもので、JASRACはそのうちウェブサイトなどで広く生徒を募集している教室約9000ヶ所を対象とし、年間受講料収入の2.5%を著作権料として徴収する方針を立てている。なお、個人運営の教室は当面対象外とするようだ。

「音楽教育を守る会」はプレスリリースで、「演奏権が及ぶのは公衆に聞かせるための演奏であり、音楽教室での練習や指導のための演奏は該当しない。文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない。今後は本会を通じて対応していく」との活動方針を表明している。