2012年より度々開催されている2日間の音楽フェス『HOSTESS CLUB WEEKENDER』。
その『サマソニ』出張版的な位置づけで昨年初開催されたオールナイトフェス『HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER』(HCAN)が今年も開催される。
出演者も若手から大物まで、サウンドはロックからダンスミュージックまで豪華なラインナップが集結。
今年はダイナソーJr.とアニマル・コレクティヴのダブルヘッドライナーで、
さらに本祭レジデントDJとして最新作「A Nude (The Perfect Body)」をリリースしたばかりのサンプリング・アーティスト:マシュー・ハーバートの出演が決定している。
今回FLOOR編集部では、当日のライヴを100%楽しむべく出演アーティストそれぞれの予習盤をピックアップ。各々の聴きどころとライヴでの注目ポイントを紹介していこう。
なお、マシュー・ハーバートに関しては本誌がインタビューを敢行しているので、そちらも合わせてチェックしていただけるとより本祭を楽しめることだろう。
排便、排泄、睡眠……ハーバートによる身体的芸術表現の可能性を探る【前編】
身体の音がいかに音楽に成り得たのか?マシュー・ハーバート、インタビュー【後篇】
「Dinosaur」30周年記念ライヴも話題の重鎮
11作目のオリジナルアルバム
2005年に再結成、インディーズレーベルから楽曲をリリースしているオルタナティブ・ロックシーンのレジェンド:ダイナソーJr.が約4年ぶりとなるアルバムをドロップ。
5月に放送されたBBCの番組「The Late Show with Jools Holland」ではリードシングル“Tiny”とともに、本作より“Goin Down”を初披露し、激アツな演奏が話題を呼んでいた。
また、新作同様来日自体も4年ぶり。ライヴは当然日本で披露されたことのない曲も当然プレイされるだろう。
また、昨年末にはNYで「Dinosaur」リリース30周年を記念したファーストアルバム全曲再現ライヴを行い好評を博した。
当日は新曲は当然として、過去の名曲を今の彼らがどうプレイするのかにも大いに期待したい。
Dinosaur Jr.
『Give a Glimpse of What Yer Not』
Jagjaguwar / Hostess
不定形インディーロックバンド
進化し続ける彼らの最新スタイルは?
アルバムごとに参加メンバーが異なる活動形態で、その時代その時代の新たなサウンドを追求し、USインディ・ロックシーンの代表格として君臨してきたバンド:アニマル・コレクティヴ。
2012年発表の前作「Centipede Hz」にはディーケンが参加していたが、今年2月にリリースされた本作では彼を除いたエイヴィー・テア、パンダ・ベア、ジオロジスらメンバー3名が参加。
キャッチーな先行シングル“FloriDada”をはじめ、ポップながらも呪術的なサイケデリアと実験性に満ちたアルバムとなっている。
なお、本作ではこれまで意図的に避けられてきたサックスや金管楽器が用いられており、それらのエレメントが彼らのパフォーマンスにどんな変化を与えるのか気になるところ。
Animal Collective
『Painting With』
Domino Recording Co. / Hostess
去年の雪辱を晴らすべく――
ディアハンターが最新作とともに登場
昨年は惜しくも来日キャンセルとなってしまったディアハンターが、今年は最新作「Fading Frontier」を携え登場する。
昨年10月にリリースされた本作は、批評家筋の覚えもよく『The Guardian』や『NME』『Pitchfork Media』『Spin』といった音楽メディアのレビューで高い評価を獲得。
ドリーミーでキラキラしたエレクトロサウンドが心地よい“Living My Life”やファンキーな“Breaker”など、ぜひともライヴでプレイしてほしい。
また、彼らは本パーティに先立ち8月18日、大阪でフィメール4ピースバンドのサヴェージズとライヴも決定している。
『HCAN』でも2組がそろうので、2度にわたる共演がどんなドラマを生むのか非常に気になるところだ。
Deerhunter
『Fading Frontier』
4AD / Hostess
UK期待の俊英による
鮮烈なデビュー作
2012年活動をスタート、同年“Shelter Song”で注目を集めたサイケデリック・ロックシーンの俊英によるデビュー盤。
60年代を思わせるサイケデリアとポップなメロディセンスに満ちたアルバムで、未だ20代という若さとファーストアルバムということを考えると早熟な印象を受ける。
楽曲はもとよりライヴパフォーマンスにも定評があり、デビュー前から元オアシスのノエル・ギャラガーやザ・スミスの元ギタリスト:ジョニー・マーが彼らのライヴを絶賛するほど。
なお、現在は2014年リリースの本作に続くニューアルバムの制作にとりかかっている最中だそうで、そうなると『HCAN』当日彼らが未発表曲をパフォーマンスする……なんて嬉しいサプライズがあったりして?
Temples
『SUN STRUCTURES』
Heavenly Recordings / Hostess
初のジャパンツアー東京公演を即完させた
北欧の脅威の新人がカムバック
アイスランド出身のシンガーソングライター;アウスゲイル。
母国でリリースした「Dyrd idaudathogn」でアイスランド音楽賞の最優秀アルバム賞など4部門を受賞、かの国では10人に1人が持っているレベルの大ヒット作に。
その歌詞をジョン・グラントが英語に翻訳し歌い直したのがこの「In The Silence」。
包み込むようなファルセットボイスを持つアウスゲイル、そのサウンドはフォークとエレクトロニカを融合しどこか幻想的でドラマチック。
いずれも名曲ぞろいだが、やはりシングルリリースされ日本でもヒットした“King and Cross”は外せない。
昨年開催されたジャパンツアーのチケットが即完したこともあり、今回の来日は日本のファンにとっても悲願といえるだろう。
Asgeir
『In the Silence』
Hostess Entertainment
ポスト・パンクの俊英
世界観に変化も見えるセカンドアルバム
デビューアルバム「Silence Yourself」が「Pitchfork Media」や「NME」「Spin」といった音楽メディアから高い評価を受け、一躍世界にその名を轟かせた黒衣の4人組ポストパンクバンド:サヴェージズ(同作は2013年、UK音楽界の権威マーキュリー・プライズの候補に)。
そして今年彼女たちは約2年半ぶりのアルバム「Adore Life」をリリース。
歌詞が攻撃的だった前作とは異なり、今作の収録曲はラブソングが中心。
とはいえサウンドはよりソリッドに、ジェニー・べスのエモーショナルなヴォーカルも健在。
6月に開催された『Glastonbury』でも最新作から“Sad Person”を披露し、力強い歌声とプレイでオーディエンスを熱狂させていただけに久しぶりの来日が楽しみだ。
Savages
『ADORE LIFE』
Matador / Hostess
サンプリングの魔術師が魅せる
大胆不敵なライヴに注目
洗濯機やラジオ、トースターの作動音など、あらゆるものをサンプリングしてハウスやテクノを作ってきたマシュー・ハーバート。
今作では人間が生活するなかで必然的に生まれる音をサンプリング、睡眠中の音からなる1時間の大作“is sleeping”や食事にまつわる音が使われた“Is Eating”、果ては排泄音を用いた“Is Shitting”など、人間本来の自然な音が音楽へと変換されている。
過去に行った「One Pig」のライヴではステージで実際に豚を料理したり、はたまたその場で雑誌を破る音をサンプリングして音ネタ化したりと常識に囚われない発想を見せてきたが、今回はアルバムの内容が内容だけにどんな変態的な、いや天才的な実演が行われるのか、心して見届けたい。
Matthew Herbert
『A Nude (The Perfect Body)』
Accidental / Hostess
音楽シーンを揺らす新たなる才能
ジョン・グラントが早くも再来日
オルタナティブロックバンド:ザ・サーズのヴォーカルとして活躍し、2010年からソロで活動をスタート。
ソロではエレクトロ・ポップ路線の楽曲を発表し、2013年のセカンドアルバム「Pale Green Ghosts」が高い評価を受けたジョン・グラント。
今作はそれに続くサードアルバムで、彼は今年4月に初来日。
そこでは本作に参加している元スージー・アンド・ザ・バンシーズのドラマー:バッジーを伴いパフォーマンスし話題となった。
アルバム収録曲“Disappointing”は元エヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンをフィーチャーしたツインボーカル曲で、ライヴでは誰が彼女のパートを担当するのかも注目。
John Grant
『Grey Tickles Black Pressure』
Bella Union / Hostess
EVENT INFORMATION
HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER
2016/8/20(SAT)
【OPEN /START】22:00 / 23:15
幕張メッセ(サマーソニック 2016 ミッドナイトソニック)
¥8,500
Dinosaur Jr. / Animal Collective / Deerhunter / Temples / Asgeir / Savages / Matthew Herbert / John Grant
EVENT INFORMATION
Hostess Club Osaka Presents…
2016/8/18(THU)
【OPEN /START】18:00 / START 19:00
なんば Hatch(大阪)
¥6,700 (1ドリンク別途 )
Deerhunter / Savages