ダンスミュージック・シーン始まって以来のビックウェーブとなったEDMムーブメント。オランダは、現在間違いなくその中心にいる。
90年代後期よりダンス大国として君臨してきたオランダで、ダンスミュージック・カルチャーが如何に成熟していったか?
歴史・文化・国民性といった観点からシーンを分析したオランダ特集第一弾に続き、第二弾となる今回は、EDMシーンの一大勢力といえるオランダのアーティスト14組をフィーチャー。彼らの功績と代表作を7組ずつ、2回に分けて紹介していこう。

なお、ハードウェルについては個別に特集記事を設けているので、こちら( ハードウェル特集<1><2> )を参照。

<Armin van Buuren>

Armin van Buuren

1|世界最多!TOP100 DJsで4連続&5度王者に輝いた男

ハードウェルが2度トップに輝いた英DJ MAG誌のDJ MAG TOP100 DJs にて、アーミンは2007、2008、2009、2010、2012年と5回も王座に輝いている。これは、これまで誰も達成することのなかった大記録(2007〜2010年に成し遂げた4連覇も唯一)。長年に渡り愛され続けていることを数字でも実証している。
2013年は2位、そして2014年は残念ながら3位と後退したが、イビサで開催されているDJアワードでは2014年度版でベストトランスDJを受賞(こちらはなんと過去7回も受賞中)。

その他にも様々なアワードで数多くの賞を獲得し、現在世界各地で行われているフェスでは常にヘッドライナーをつとめている。その活躍はまさに21世紀最強のDJの名をほしいままに。

2|王室御用達DJ!即位式典でもパーティ・ロック

2000年代初頭より、ダッチトランス界の寵児としてシーンの頂点に座し、日本でも絶大な支持を獲得していたアーミン・ヴァン・ブーレン。EDM全盛となった今もその人気をキープし、絶えず世界中から注目を集めているが、とりわけ母国オランダでの人気は桁外れ。
2013年にはオランダの国王即位式典でオーケストラとともにDJプレイし大きな話題に(国をあげての行事にDJが出演するその国民性もスゴい!)。なんでも、新国王&王妃がアーミンの大ファンで、式典中も新国王が喜びのあまりステージにあがり彼に握手を求めたとか。もちろん当日集まった大観衆は終始熱狂。王室まで魅了するアーミン、世界中から愛されるのも当然のこと。

3|世界が認めたプロデュース力 グラミー賞候補にノミネート

プロデューサーとしても手腕を振るうアーミン。「第56回グラミー賞」では、トレヴァー・ガスリーをフィーチャーした“This Is What It Feels Like”がBEST DANCE RECORDING賞にノミネート。

その他にも数多くのフロアアンセムを発表し、なおかつダンスシーンのみならずメジャーをも席巻(日本でも浜崎あゆみの楽曲をプロデュースした経験あり)。現在発売中のベスト盤「Armin Anthems」には、そんな彼の名曲を多数収録。ファンからのリクエストによって選曲された今作にはグラミー曲“This Is What It Feels Like” をはじめ、活動初期に発表された“Blue Fear”、さらには彼の代表曲“Save My Night”、“Intense”、“Ping Pong”など一時代を築いた珠玉の楽曲を堪能することができる。

93075_H4-H1.1

Armin van Buuren「Armin Anthems」
avex trax

<Martin Garrix>

Martin Garrix

若干18歳にしてトップDJへ EDM界の神童

アテネ五輪開会式でプレイするティエストの姿に触発されてDJを志すようになった(当時8歳!)というマーティン・ギャリックス。
ソロとしては初となるリリース“Animals”が全英シングルチャートで1位を獲得、ティエストをはじめ、多くのアーティストたちがこぞってリミックスする大ヒットとなった。
YouTubeでの再生回数も多く、“Animals”は4億回、“Wizard”は1億回、アフロジャックとのコラボ“Turn Up The Speakers”は4700万回と再生数を伸ばしている。DJ Mag Top 100 DJsの2014年版では4位にランクインした世界屈指のDJ。
18歳にしてこの才能が開花するオランダのダンスミュージック・シーンの未来は明るい。

<Afrojack>

afrojack

グラミー賞も受賞したEDM界のポップスター

EDM界のアイコンとして君臨するエース:アフロジャック。
10代からクラブで活躍しはじめ、2010年にエヴァ・シモンズをフィーチャーした“Take Over Control”の世界的なヒット(再生数は3250万回、2010年のEDMアンセム)。
その後はグラミー賞の最優秀リミキサー賞に輝き世界トップDJの仲間入りを果たしたスーパースターだ。

プロデュース業や楽曲制作の傍ら、自家用ジェットで世界中を飛び回り年間250近いギグをこなしている。なんと年収は約26億円。2014年にはラスベガスの高級クラブHAKKASANのレジデントに就任。セレブからの支持も厚い!

<W&W>

w&w

EDM/トランスで支持される新進ヒットメーカー

自身のトラック“Bigfoot”をはじめ、ハードウェルとのコラボ“Jumper”やウメット・オズカンと手を組んだ“The Code”などのヒット(動画再生数はいずれも400万回以上)がある気鋭EDMデュオ。
自身のレーベルMainstage Musicやアーミン・ヴァン・ブーレンのArmadaなどから楽曲をリリース。
『Tomorrowland 2014』では公式アンセム“Waves”を担当するなどEDM界の新世代DJとして世界的に注目を集めている。『ULTRA JAPAN』での来日も記憶に新しい。

<Showtek>

showtek

ハードスタイル経由のアンセム製造機

ショウテックという名からも連想されるとおり、テクノに出自を持つ兄弟ユニット。
その後ハードスタイルに転向し、現在はEDM界でも活躍中。デヴィッド・ゲッタとの“Bad”をはじめ、スーパーアンセム“Booyah”や“Cannonball”などクラブで一度は耳にしたことがあるアンセムを多数発表。
といってもメジャーに寄りすぎず、スクリレックスのレーベルOWSLAからリリースした“Get Loose”はトリッキーな塩梅。

<Dash Berlin>

Dash-Berlin

世界三大EDMフェスティバル『EDC』でトリを任される実力派ユニット

2009年にArmadaより発表した“Waiting”が大ヒットした大物トランスユニット:ダッシュ・ベルリン。近年はよりEDM方面にシフト、ハードウェルのレーベルRevealed Recordingsから“Dragonfly”や“Here Tonight”を立て続けにリリースしている。
美しいメロディラインと壮大なサウンドスケープには定評があり、ラスベガスで行われるEDMフェス『EDC Las Vegas』では毎回大トリを担当。『DJ Mag』のランキングでも14位と上位。

<Dannic>

dannic

Revealed Recordingsの俊英、オランダ・ダンスシーンが産んだ新世代DJ

ハードウェル主宰のレーベル:Revealed Recordingsの看板アーティスト。
2012年に同レーベルより“Doster”でデビューを飾り、続けて発表したハードウェルとの共作“KONTIKI”、『River Dance Festival 2012』のオフィシャル・アンセムに選ばれた“W.O.P”など、デビューしてすぐさまヒット曲を量産し一躍注目を集めた。

以降、レーベルメイトのハードウェル、ダイロと共にダンスフロアでの機能性を重視したエレクトロハウスの音楽性を模索し、数多くのキラーチューンを発表してきた。それらの楽曲に加え、アーミン・ヴァン・ブーレン“INTENSE feat. MIRI BEN-ARI”のリミックス、“Dear Life”などダニックの楽曲群はティエストやアヴィーチー、フェデ・ル・グランド、ビンゴ・プレイヤーズといったトップDJのセットに組み込まれ世界各地のダンスフロアを熱狂させてきた。

さらにダニックはRevealed Recordingsレーベルショウケースと自身のワールドツアーに加え、『Electric Zoo』『Tomorrowland』『Mysteryland』『Dance Valley』といった10万人規模のビッグ・フェスティバルのヘッドライナーをも務め、そして2014年度末に発表された英DJ MAG誌 Top 100 DJsのランキングでは、74位から30位へと急激にランクアップ。いま最も注目を集める新世代DJである。

近日公開となるオランダ特集第三弾では、TiestoやNicky Romero、Above&BeyondといったスターDJをはじめ、DyroやBlasterJaxxなど7組のアーティストをフィーチャーしていく。