いよいよ目前に迫った音楽の祭典グラミー賞。

第58目となる今回、最多ノミネートはKendrick Lamarで9部門11ノミネート。
この数字は、かつてマイケル・ジャクソンが記録した12ノミネートにつぐ2番目の記録で、ラッパーとしては史上最多(過去にエミネムが10ノミネート)。

その他、Taylor Swift、The Weekndが7ノミネートとなっている。

2月15日(日本時間16日午前)の授賞式を前に、ここで改めてその主要部門&ダンス部門の候補を振り返りつつ、大胆にも本誌の予想を発表してみたい。

RECORD OF THE YEAR

D’Angelo“Really Love”
Mark Ronson Featuring Bruno Mars“Uptown Funk”
Ed Sheeran“Thinking Out Loud”
Taylor Swift“Blank Space”
The Weeknd“Can’t Feel My Face”

2016年、楽曲やレコーディング(アーティスト、ミュージシャン、マスタリングエンジニア、ミックスエンジニアなど)を含みもっとも優秀な1曲を決める「RECORD OF THE YEAR」。

幅広い顔ぶれとなった今回のノミネートだが、なかでも注目はMark Ronson Featuring Bruno Mars“Uptown Funk”。
つい先日開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーでもBruno Marsが披露し話題となったこの曲は、全米シングル・チャート14週連続で1位を獲得。同チャート史上2番目のロングヒットになっている。

一方、人気の面で言えばTaylor Swift。ノミネート曲“Blank Space”を収録したアルバム「1989」は空前の大ヒットとなり、この曲もVEVOで史上最速で再生回数10億回を突破と話題性は抜群。

また、約15年ぶりにリリースされたアルバム「Black Messiah」の先行シングルとなったD’Angelo の“Really Love”は、タイトル通りの直球ラブソングで世界中を魅了。

The Weekndもこのノミネート曲で初めて全米チャートを制し、Ed Sheeranの“Thinking Out Loud”もUKで1年間トップ40にチャート・インし続けるなど、いずれも大ヒットした曲ばかり。

とはいえ今回のRECORD OF THE YEAR、やはり本命はMark Ronson Featuring Bruno Mars“Uptown Funk”に決まり。

ALBUM OF THE YEAR

Alabama Shakes「Sound & Color」
Kendrick Lamar「To Pimp A Butterfly」
Chris Stapleton「Traveller」
Taylor Swift「1989」
The Weeknd「Beauty Behind The Madness」

年間最優秀アルバム部門には、今回最多ノミネートとなったKendrick Lamarの他、RECORD OF THE YEARにも選ばれたTaylor Swift、The Weekndといった面々も。

注目はやはりKendrick Lamar。
前作「good kid M.A.A.D. City」も高い評価を受け、2014年のグラミー賞では7つのノミネート。しかし、残念ながら受賞はなし(ヒップホップ主要部門はMacklemore & Ryan Lewisが総なめに)。

今回はノミネートされた全部門で受賞したいと意気込んでいるが、なかでもALBUM OF THE YEARは悲願ともいうべきところ。
今作はアメリカをはじめUK、オーストラリア、カナダなどでもチャートを席巻し、メディアでの評価も高いだけにリベンジなるか。

対抗は、2014年アメリカで最も売れたアルバムとなったTaylor Swiftの「1989」。
ちなみに、両者は昨年“Bad Blood”でコラボしているのも面白いところ。

SONG OF THE YEAR

Kendrick Lamar“Alright”
Taylor Swift“Blank Space”
Little Big Town“Girl Crush”
Wiz Khalifa Featuring Charlie Puth“See You Again”
Ed Sheeran“Thinking Out Loud”

年間最優秀楽曲には、これまたKendrick Lamar、Taylor Swiftをはじめ、
カントリー・グループLittle Big Town、
映画『ワイルド・スピード』の主題歌にもなったWiz Khalifa Featuring Charlie Puth“See You Again”と、RECORD OF THE YEARにもノミネートされたEd Sheeran。

どれも秀逸な曲ばかりで予想は難しいところだが、あのオバマ大統領も2015年のベストソングにあげていたKendrick Lamarを推したい(大統領がお気に入りに選んだのは“How Much A Dollar Cost”だったが)。
対抗としては、RECORD OF THE YEARにも選ばれたEd Sheeran“Thinking Out Loud”。

BEST NEW ARTIST

Courtney Barnett
James Bay
Sam Hunt
Tori Kelly
Meghan Trainor

これまた予想が難しい、最優秀新人賞。
オーストラリアはメルボルン発の新世代ギター女子Courtney Barnettに、
ヨーロッパでの評価がすごぶる高いシンガーソングライターJames Bay。
さらには、カントリー界の新星Sam Hunt、
日本でも話題になったぽっちゃり系歌姫Meghan Trainorなど。

今後の活躍が大いに期待される5人だが、本誌の予想としては先日発表になった『フジロック』にも出演が決定したCourtney Barnett、そして3月に来日するJames Bayのどちらかか。

必要であれば

以上がグラミー賞における主要4部門。
しかし、本誌読者の注目はやはりダンスミュージック部門だろう。続いてその2部門BEST DANCE RECORDING、BEST DANCE/ELECTRONIC ALBUMも紹介!

BEST DANCE RECORDING

Above & Beyond Featuring Zoë Johnston“We’re All We Need”
The Chemical Brothers Featuring Q-Tip“Go”
Flying Lotus Featuring Kendrick Lamar“Never Catch Me”
Galantis“Runaway (U & I)”
Skrillex And Diplo With Justin Bieber“Where Are Ü Now”

2015年、ダンスミュージック・シーン最大のヒット曲と言えばMajor Lazer & DJ Snake Feat. MØの“Lean On”に他ならないが、今回グラミー賞にはノミネートされず。

それだけに、Major LazerのDiploも参加するSkrillex And Diplo With Justin Bieber“Where Are Ü Now”に期待したいところ(ちなみにSkrillexは2012、2013年も同賞を受賞)。
この曲はクラブ・シーンでも大ヒット、セールス的にもダブル・プラチナを獲得しているだけに、受賞も夢ではないどころか本命視してもおかしくない。

その他は、久々の新曲で話題となったThe Chemical Brothers、これまたKendrick Lamarが参加したFlying Lotusあたりも注目。

ちなみに昨年は、Basement JaxxやDisclosureら並みいる強豪を抑え、Clean Bandit“Rather Be”が受賞したが、今回は果たして。

BEST DANCE/ELECTRONIC ALBUM

Caribou「Our Love」
The Chemical Brothers「Born In The Echoes」
Disclosure「Caracal」
Jamie XX「In Colour」
Skrillex And Diplo「Skrillex And Diplo Present Jack Ü」

昨年はAphex Twinの「Syro」が受賞し、ダンスミュージック・ファンを驚かせたこの部門。
今年は過去に同賞を2度も受賞しているThe Chemical Brothers(2006、2008年)、
Skrillex(2012、2013年)がノミネートされているが、
それらをふまえつつもあえて推したいのはJamie XX。

Disclosureも2014年に「Settle」でノミネートされつつDaft Punkの「Random Access Memories」に破れているだけに期待したいところだが、様々なメディアで軒並み高評価を得ているJamie XX「In Colour」に若干の分があるか。

最後におまけでミュージックビデオ部門。どれも必見の仕上がりなので、ぜひその映像をお楽しみあれ!

BEST MUSIC VIDEO