新潟県・苗場スキー場で開催される真夏の音楽フェスティバル『FUJI ROCK FESTIVAL』。

いよいよ7月22日〜24日に開催が迫るなか、今年は節目となる20回目を迎えなんとも豪華な出演者がラインナップされているが、ここではダンスミュージック系の注目アーティスト9組をピックアップ。

日本でも絶大な人気を誇るレジェンドDJやUKダンスシーンのトップをひた走る兄弟デュオ、そして初来日となるフューチャーハウスの俊英まで決して見逃すことができない才能が集結する。

そんなアーティストたちを本誌ならではの視点で分析。その注目のアクト9組がこちら!

Disclosure

UKダンスシーンのトップに君臨する新世代のハウスブラザーズ。

ディープハウスやUKガラージ〜UKベースミュージックなどから多大な影響を受けながら、その楽曲にはディープさとポップさ、アンビバレントな魅力が見事に両立。

“Latch”や“White Noise”“You & Me”“Omen”など多くのシングルを全英ダンスチャートのトップ10に送り込み、ファーストアルバム「Settle」や2015年リリースのセカンドアルバム「Caracal」はいずれもグラミー賞の最優秀ダンス・エレクトロニックアルバムの候補になるなど、音楽的評価は高い。

そんな彼らのライヴはシンセやサンプラー、ドラムやパーカッションなどをその場でプレイし即興でグルーヴを生み出していくスタイル。

先日はEP「Moog for Love」をサプライズリリースした彼らだが、本作やこれまでの楽曲がライヴセットでどんな進化を見せるのか、それは当日目にしなければわからない。

JAMES BLAKE

ポスト・ダブステップの旗手としてシーンに颯爽と登場。チル、ヒップホップにハウス、ソウル、R&Bといった音楽性をクロスオーバーさせながら新たなサウンドを提示し続けるシンガーソングライター。

2010年のEP「CMYK」をピッチフォーク・メディアら音楽メディアが絶賛、2011年リリースのファーストアルバム「James Blake」はUK音楽界の権威マーキュリー賞候補となり、2013年のセカンドアルバム「Overgrown」で念願のマーキュリー賞の大賞に……リリースのたびにその評価は揺るぎないものとなっているが、そんななか今年5月には待望のサードアルバム「The Colour In Anything」をリリース。

とりわけ彼のライヴでの真骨頂は歌声とビートの高次元の融合。
2012年には初出演ながらヘッドライナーとして『フジロック』に登場し、電子ピアノやアナログシンセ、ドラム、ギター、サンプラーを駆使したバンドセットを披露しオーディエンスを深淵な世界へ誘っていた。

それから4年、久々となる『フジロック』へのカムバック、彼の進化に期待せずにはいられない。

Oliver Heldens

オランダ・ロッテルダム出身、現在21歳のフューチャーハウスの俊英が初来日。

EDMの中でもよりディープハウスに近いサウンドが特徴のサブジャンル:フューチャーハウス。ここ数年大きな盛り上がりを見せているが、その象徴的存在、いまや代名詞となったのがこのオリヴァー・ヘルデンス。

ティエストにその才能を見出され、2013年に彼のレーベルMusical Freedomからシングル“Gecko”をリリース(のちにゲストボーカルを迎えた“Gecko (Overdrive)”がUKシングルチャートのトップに輝く)。

その後も“Last All Night (Koala)”や前述のティエストとコラボした“The Right Song”などヒットを連発。
DJとしても『Tomorrowland』や『ULTRA MIAMI』『EDC』『Glastonbury』といった大型フェスティバルへの出演、さらには世界各地でギグを行い、その人気はうなぎ登り。

『DJ Mag』誌が発表している世界の人気DJランキング「TOP100DJs」では2014年に初登場34位、そして昨年は22ランクアップし12位にランクイン(今年はトップ10入りもありそう)するなど、まさに今が旬のアーティストといえるだろう。

そんな彼の初来日、EDMシーンに颯爽と現れた新たな才能を見逃すな。

The Internet

2015年にリリースした「Ego Death」がグラミー賞のアーバン・コンテンポラリーアルバム賞にノミネートされた新世代R&Bユニットが、ソールドアウトとなった1月の初来日に続き再び日本へカムバック!

タイラー・ザ・クリエイター率いるLAのヒップホップ集団OFWGKTAに所属するメンバー、シド・ザ・キッドとマット・マーシャンズの2人によって結成されたジ・インターネットは2011年にファーストアルバム「Purple Naked Ladies」でデビュー。

近年ではバンド編成に移行し、サンダーキャットの弟:ジャミール・ブルーナーやベースのパトリック・ペイジ、ドラムスのクリストファー・スミス、ギターのスティーヴ・レイシーをメンバーに迎え活動中。

最新アルバム「Ego Death」ではトリップホップやアシッドジャズのエレメントを取り込み、そのサウンドはさらに深みを増している(同作では、話題のプロデューサー:ケイトラナダが参加した“Girl”も注目の的に)。

そんな彼らがこのたび「フジロック」初参戦。「bmr」誌のインタビューによれば、先日の初来日時は参加できなかったメンバーのスティーヴが今回は参加予定とのことで、完全形態で披露するパフォーマンスがどれほどの高みに到達するのか気になるところだ。

Lee“scratch”Perry

ジャマイカ出身のレゲエ〜ダブの伝説的エンジニアで、ダブの第一人者として知られるリー・スクラッチ・ペリー。

60年代より活躍し、73年に最初期のダブアルバム「Blackboard Jungle Dub」をリリース。
原曲をサンプリングしスキャットなどを加え作り変えるダブの手法を打ち出し、その手法は様々なダンスミュージックに影響を与えた。

76年にはレゲエシーンに名を残す名盤「Super Ape」を発表。
78年には自身のスタジオBlack Ark Studiosが焼失の憂き目にあうもののエンジニアとして制作を続け、80年代にはジャマイカ移民の多いUKの重鎮プロデューサー:エイドリアン・シャーウッドとのコラボも行った。

今年5月に彼はシングル“Science, Magic, Logic”を発表、こちらは今後リリースされる同名のアルバム「Science, Magic, Logic」からのシングルだそうだが、もしかして来日時に本作からの未発表曲が披露されるかも!?

Squarepusher

市販のDAWを用いず、全編自作のソフトウェアで作り上げたアルバム「Damogen Furies」を2015年にリリースした電子音楽界の孤高のアーティスト:スクエアプッシャー。

ドリルンベースやジャズ、フュージョンといったサウンドを縦横無尽に行き来し、前人未到の楽曲を生み出し続けている鬼才だ。

交響楽団サウスバンク・シンフォニアとのパフォーマンスやロボットバンドZ-MACHINESとのコラボなど、これまでも刺激的かつ実験的なプロジェクトを推し進めてきた彼だが、「Damogen Furies」を引っさげ行われたライヴではスタジオでレコーディングに使う機材と同じものをライヴ会場に持ち込めるようになり、アルバムの再現性が向上。

VJではプロジェクションマッピングを採用し、自身に投影した映像とサウンドを同期させたより刺激的なパフォーマンスが実現していた。

7月に入り彼はUKのEU離脱問題に触発された新曲「MIDI sans Frontières」をリリース。
この曲はWAVやMIDI、STEMや楽譜データが公開されており、本作のリミックスを通じて世界中のクリエイターたちへコラボレーションを呼びかけている。

「Damogen Furies」の再現パフォーマンスはもちろん、この新曲(あるいはそのリミックス)がライヴにどんな影響を与えるのか注目したい。

DJ HARVEY

リエディットの帝王、DJとして最も神の領域に近い男など、様々な異名を持つDJレジェンド。

80年代にロンドンでキャリアをスタートしたハーヴィーはセカンド・サマー・オブ・ラブの狂乱のさなかDJとしての実力を培っていく。

そして91年にスタートしたレジデントパーティ『Moist』がUKのアンダーグラウンドシーンを席巻(そのパーティにはハウスレジェンド:ラリー・レヴァンも出演)、その地位を確立する。

2000年代にはアメリカに移住。
『Harvey Sarcastic Disco』や『Thirtyninehotel』といったパーティで活躍し、コズミック、イタロ・ディスコやバレアリック、ニューディスコの復権の一助を担った。

日本へは1989年に初来日、2010年〜2011年に行われた29公演・8年ぶりのジャパンツアーでは2万人以上を動員し日本のオーディエンスを熱狂させてきた。

熟練のスキルをもってあらゆるジャンルのサウンドを自由自在に操り、時代に関係なく世界中を絶えず踊らせてきた伝説の男の奇跡の来日に刮目せよ。

BAAUER

“Harlem Shake”がソーシャルで大ヒットしたフィラデルフィアのトラップ・プロデューサー。

ディプロのレーベルMad Decentからリリースされたこの曲を使ってYouTubeにダンス動画をアップするユーザーが後を絶たず、爆発的に流行。

アメリカの総合シングルチャートの1位に5週間に渡りランクインし続け、もちろん世界中で大ヒット。
2013年の『Billboard Music Awards』ではダンスソングオブザイヤーとEDMソングオブザイヤーを受賞している。

今年3月にはグラスゴーのレーベルLuckyMeから待望のデビューアルバム「Aa」をリリース。
今作にはM.I.A.やプシャT、ラスティー、G-Dragonといった豪華なアーティストがゲスト参加し、トラップをベースにグライムやUKガラージの要素が加わり彼の進化が伺えるものに仕上がっている。

バウアーは2015年、『electrox』で初来日。そこから最新アルバムを(そして世界中でのギグを)経て進化したパフォーマンスを見るのが楽しみでならない。

KOHH

昨年の『ULTRA JAPAN』でスクリレックスのセットに楽曲が使われ話題となった日本人ラッパー:KOHH。

その特徴は思ったことをそのまま口に出したようなシンプルな日本語のリリックで、2012年に突如リリースされたミックステープ「YELLOW T△PE」では都営団地住まい、ドラッグ中毒の母がいる……といった自身の生い立ちにも言及。

その赤裸裸でまっすぐなリリックとスキルでたちまちシーンに台頭し、その後はZEEBRAやANARCHYといったベテランたちからコラボを熱望されるように。

2013年の続編「YELLOW T△PE 2」に収録された“JUNJI TAKADA”では、自身の適当さを高田純次に例えたリリックが話題となった。

2014年から2016年にかけて、立て続けに「MONOCHROME」「梔子」「DIRT」「DIRT Ⅱ」と4枚のアルバムをリリースしており、最新作「DIRT Ⅱ」では日本だけではなくアメリカやフランス、韓国、ジャマイカのアーティストとコラボ、その表現の幅を広げている。

邦ヒップホップシーンを牽引する逸材を要チェック!

EVENT INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL’16

2016.7.22-24 Fri-Sun

【OPEN/START】9:00/11:00

苗場スキー場 (Niigata)

ADV ¥19,000(1日券) ¥36,000(2日券) ¥43,000(3日券)

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