2013年に史上最年少でDJ Magランキングの1位を獲得し、翌2014年も首位に選ばれた現王者ハードウェル。
そんな彼が打ち立ててきた輝かしい記録、偉業を紐解いてきたハードウェル特集第一弾に続き、今回は、彼を象徴するビッグアンセムと『Ultra Japan』で見せた至高のプレイを手がかりに、ハードウェルの本質に迫っていく。

デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスのように米ビルボードランキングの上位に食い込むようなワールドヒットはないが、それでもハードウェルが“世界No.1 DJ”になったその理由が本稿で見えてくるはずだ。

ハードウェルが“世界NO.1 DJ”の称号(世界的人気DJ誌:DJ MAGの「Top 100 DJs」の1位)を初めて獲得したのは、2013年。弱冠25歳のときである。
EDMムーヴメントを牽引してきた最大の立役者といえるデヴィッド・ゲッタ、さらにはアヴィーチーやカルヴィン・ハリス、アフロジャックにスティーヴ・アオキ、ゼッドといったスターDJたちはもちろん、過去に同ランキングで何度も首位を獲得してきたティエストやアーミン・ヴァン・ブーレンを押さえての快挙。

彼が評価されたのは、ビッグフェスでの傑出したライヴパフォーマンスや、より現場での昂揚感を際立たせたリミックスワークの数々。“Spaceman” “Apollo” “Jumper” “Dare You”といった多くのフロアヒットもあったが、デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリス、ゼッドのように米Billboardの上位に食い込むようなワールドワイドなヒットではなかった。それでもハードウェルは“世界NO.1 DJ”になった。ここに彼の凄味がある。

現場で彼のプレイを体感した者たちは、ハードウェルがいかに得も言われぬ興奮と快楽を与えてくれるかを知った。その興奮はSNSで瞬く間に世界中に拡散されていき、その反響はYouTubeのライヴ再生数に如実に反映された。
2013年の『Tomorrowland』と『Ultra Music Festival』での彼のライヴ映像は、共に2000万再生を超えるなど、ライヴ動画での分野では他の追随を許さない数値を出した。

ハードウェルのプレイは、実にドラマチックだ。最新ヒットの独自のリミックスや矢継ぎ早のマッシュアップは当然として、構成力と演出、そして、エンターテインメント性が群を抜いている。
オーディエンスの“予想を裏切り、期待に応える”。このプレイスタイルを突き詰めたことこそ、彼が世界中を魅了している所以である。

また“EDM以前”のクラブミュージックへの造詣の深さ、様式美を理解していることも特筆すべきだろう。
それは幼少時よりクラブミュージックに親しむ環境にあったことが大きい。10代の頃より、同国が生んだスーパースターDJ、ティエストやアーミン・ヴァン・ブーレンなどから薫陶を受け、彼らの哲学を学んでいったハードウェル。
EDMの常套手段である爆発的なブレイクも連発するだけではなく、その一歩手前……つまりブレイクに辿り着くまでのプロセスがクラブマナーに則っているため、非常に効果的な抑揚を生み出している。
世界1位の座を争ってきたDJたちを間近に見て育った彼は、言ってみれば“生まれながらのDJ”であり、オランダという環境が生みだしたDJのひとつの“完成形”なのである。

2014年末に発表された「Top 100 DJs」でも見事1位に輝き、2年連続の栄誉を手にしたハードウェル。いまや“世界NO.1”は彼の代名詞とも言える。
そして、先日にリリースされた待望のファーストアルバム「United We Are」で、彼はプロデューサーとしての稀有な才能も見せつけてくれている。泣きの歌モノあり、オーセンティックなダンスミュージックにロックありと縦横無尽であり、明らかにギグを意識した構成をしている点もいかにもハードウェルらしい。
聴けば聴くほど、“世界NO.1 DJ”の懐の深さを感じさせる充実の1枚である。ぜひ、この機にハードウェルのライヴ動画、新譜の両方に触れて、若き帝王の魅力に触れてみてほしい。

hardwell-sub

その日、日本のオーディエンスはハードウェルに支配されていた――『ULTRA JAPAN』プレイバック!

2014年の音楽シーンを象徴する出来事のひとつであった『ULTRA JAPAN』の開催は、世界最大規模のダンスミュージックフェスが日本に初上陸するというトピックに加え、“世界NO.1 DJ”が来日するという事実が、その期待感を否が応でも煽った。
この祭典の初日のヘッドライナーだったハードウェル。彼の登場直前の会場は、異様な興奮と緊張感に包まれていた。

夜空に響く、不穏な機械音が大きくなるにつれて雰囲気は異様さを増していき、「コンニチハー!ジャパン!」の掛け声とともに彼が登場。同時に、入場曲とも言えるおなじみの“Eclipse”のフレーズが鳴り響く。
海外ではハードウェルは「ワン、ツー、スリー、フォー」と煽るのだが、日本式に「イチ、ニ、サン、シ!」と叫ぶ姿がお茶目。一瞬でオーディエンスの心を掴んだハードウェルは、カルヴィン・ハリス“Blame”、アリアナ・グランデ“Break Free feat. Zedd”といったビッグヒットをマッシュアップしながら、瞬間最大風速が数秒ごとに吹いてくるような凄まじいパフォーマンスを見せつける。
誰もが知っている直近の曲では大合唱を生み出し、マイクで煽りたて、ときにハードなビートのみで躍らせる。2万人のオーディエンスが彼の思い通りに動かされ、支配される喜びを感じる。
自身の楽曲である“Dare You”や“Young Again”なども随所で披露しながら、ラストは“Spaceman”で大団円。この日、日本は“世界NO.1 DJ”に完全に踊らされていた。

EDMマストチューン! ハードウェル代表曲&必聴盤

Hardwell
“Spaceman”

Revealed Recordings

hardwell-spaceman

昨年開催された『Ultra Japan』でアンコールにプレイされたこの曲は、2012年に発表したハードウェルの出世作。哀愁漂うリフが印象的で、ここから数々のリミックスが生まれ、それらすべてがフロアヒット。
インストのオリジナルの他、ヴォーカルバージョン「Call Me A Spaceman」も必聴。

Hardwell ft. Matthew Koma
“Dare You”

Revealed Recordings

hardwell-dare-you

ゼッドやアレッソの楽曲にも参加し、いまやEDM界屈指のシンガーとなったマシュー・コマをフィーチャーしたナンバー。美しいメロディが際立ち、哀愁感もたっぷり、彼のまた新たな魅力を打ち出し、ファンの間でも評価の高い1曲。
2013年にリリースされ、その年の一大アンセムに。

Hardwell & W&W
“Jumper”

Revealed Recordings

hardwell-jumper

2013年に発表した盟友W&Wとのコラボ曲。“1,2,3,ジャンプ!”という盛り上がり必至のフレーズと相まり、現場での機能性は抜群(彼のセットでもしばしば冒頭に使用される)。
2013〜2014年にかけて日本のクラブでも最もプレイされた、ハードウェル楽曲の中でも屈指の激アゲ・チューン。

Hardwell
「UNITED WE ARE」

avex trax

HARDWELL-united-we-are

ハードウェル待望のファースト・アルバム。
米の大人気シンガー:ジェイソン・デルーロをフィーチャーしたEDM×ポップの融合系サウンド“Follow Me”をはじめ全14曲+“Dare You”、“Jumper”など日本版ボーナストラック3曲を収録。ティエストやW&W、ブライト・ライツ、アンバ・シェファードらこれまでも共演経験のあるアーティストたちに加え、ヘッドハンターズや新鋭ジョイ・デイルらも参加。
ハード〜メロディック、さらにはロック、そして壮大な世界観を伴うものやポップネスを感じるものまで、フロアでの機能性をともないながらも様々なサウンドを表現。多種多様な新しきEDMを表現している。

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[:en]

2013年に史上最年少でDJ Magランキングの1位を獲得し、翌2014年も首位に選ばれた現王者ハードウェル。
そんな彼が打ち立ててきた輝かしい記録、偉業を紐解いてきたハードウェル特集第一弾に続き、今回は、彼を象徴するビッグアンセムと『Ultra Japan』で見せた至高のプレイを手がかりに、ハードウェルの本質に迫っていく。

デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスのように米ビルボードランキングの上位に食い込むようなワールドヒットはないが、それでもハードウェルが“世界No.1 DJ”になったその理由が本稿で見えてくるはずだ。

ハードウェルが“世界NO.1 DJ”の称号(世界的人気DJ誌:DJ MAGの「Top 100 DJs」の1位)を初めて獲得したのは、2013年。弱冠25歳のときである。
EDMムーヴメントを牽引してきた最大の立役者といえるデヴィッド・ゲッタ、さらにはアヴィーチーやカルヴィン・ハリス、アフロジャックにスティーヴ・アオキ、ゼッドといったスターDJたちはもちろん、過去に同ランキングで何度も首位を獲得してきたティエストやアーミン・ヴァン・ブーレンを押さえての快挙。

彼が評価されたのは、ビッグフェスでの傑出したライヴパフォーマンスや、より現場での昂揚感を際立たせたリミックスワークの数々。“Spaceman” “Apollo” “Jumper” “Dare You”といった多くのフロアヒットもあったが、デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリス、ゼッドのように米Billboardの上位に食い込むようなワールドワイドなヒットではなかった。それでもハードウェルは“世界NO.1 DJ”になった。ここに彼の凄味がある。

現場で彼のプレイを体感した者たちは、ハードウェルがいかに得も言われぬ興奮と快楽を与えてくれるかを知った。その興奮はSNSで瞬く間に世界中に拡散されていき、その反響はYouTubeのライヴ再生数に如実に反映された。
2013年の『Tomorrowland』と『Ultra Music Festival』での彼のライヴ映像は、共に2000万再生を超えるなど、ライヴ動画での分野では他の追随を許さない数値を出した。

ハードウェルのプレイは、実にドラマチックだ。最新ヒットの独自のリミックスや矢継ぎ早のマッシュアップは当然として、構成力と演出、そして、エンターテインメント性が群を抜いている。
オーディエンスの“予想を裏切り、期待に応える”。このプレイスタイルを突き詰めたことこそ、彼が世界中を魅了している所以である。

また“EDM以前”のクラブミュージックへの造詣の深さ、様式美を理解していることも特筆すべきだろう。
それは幼少時よりクラブミュージックに親しむ環境にあったことが大きい。10代の頃より、同国が生んだスーパースターDJ、ティエストやアーミン・ヴァン・ブーレンなどから薫陶を受け、彼らの哲学を学んでいったハードウェル。
EDMの常套手段である爆発的なブレイクも連発するだけではなく、その一歩手前……つまりブレイクに辿り着くまでのプロセスがクラブマナーに則っているため、非常に効果的な抑揚を生み出している。
世界1位の座を争ってきたDJたちを間近に見て育った彼は、言ってみれば“生まれながらのDJ”であり、オランダという環境が生みだしたDJのひとつの“完成形”なのである。

2014年末に発表された「Top 100 DJs」でも見事1位に輝き、2年連続の栄誉を手にしたハードウェル。いまや“世界NO.1”は彼の代名詞とも言える。
そして、先日にリリースされた待望のファーストアルバム「United We Are」で、彼はプロデューサーとしての稀有な才能も見せつけてくれている。泣きの歌モノあり、オーセンティックなダンスミュージックにロックありと縦横無尽であり、明らかにギグを意識した構成をしている点もいかにもハードウェルらしい。
聴けば聴くほど、“世界NO.1 DJ”の懐の深さを感じさせる充実の1枚である。ぜひ、この機にハードウェルのライヴ動画、新譜の両方に触れて、若き帝王の魅力に触れてみてほしい。

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その日、日本のオーディエンスはハードウェルに支配されていた――『ULTRA JAPAN』プレイバック!

2014年の音楽シーンを象徴する出来事のひとつであった『ULTRA JAPAN』の開催は、世界最大規模のダンスミュージックフェスが日本に初上陸するというトピックに加え、“世界NO.1 DJ”が来日するという事実が、その期待感を否が応でも煽った。
この祭典の初日のヘッドライナーだったハードウェル。彼の登場直前の会場は、異様な興奮と緊張感に包まれていた。

夜空に響く、不穏な機械音が大きくなるにつれて雰囲気は異様さを増していき、「コンニチハー!ジャパン!」の掛け声とともに彼が登場。同時に、入場曲とも言えるおなじみの“Eclipse”のフレーズが鳴り響く。
海外ではハードウェルは「ワン、ツー、スリー、フォー」と煽るのだが、日本式に「イチ、ニ、サン、シ!」と叫ぶ姿がお茶目。一瞬でオーディエンスの心を掴んだハードウェルは、カルヴィン・ハリス“Blame”、アリアナ・グランデ“Break Free feat. Zedd”といったビッグヒットをマッシュアップしながら、瞬間最大風速が数秒ごとに吹いてくるような凄まじいパフォーマンスを見せつける。
誰もが知っている直近の曲では大合唱を生み出し、マイクで煽りたて、ときにハードなビートのみで躍らせる。2万人のオーディエンスが彼の思い通りに動かされ、支配される喜びを感じる。
自身の楽曲である“Dare You”や“Young Again”なども随所で披露しながら、ラストは“Spaceman”で大団円。この日、日本は“世界NO.1 DJ”に完全に踊らされていた。

EDMマストチューン! ハードウェル代表曲&必聴盤

Hardwell
“Spaceman”

Revealed Recordings

hardwell-spaceman

昨年開催された『Ultra Japan』でアンコールにプレイされたこの曲は、2012年に発表したハードウェルの出世作。哀愁漂うリフが印象的で、ここから数々のリミックスが生まれ、それらすべてがフロアヒット。
インストのオリジナルの他、ヴォーカルバージョン「Call Me A Spaceman」も必聴。

Hardwell ft. Matthew Koma
“Dare You”

Revealed Recordings

hardwell-dare-you

ゼッドやアレッソの楽曲にも参加し、いまやEDM界屈指のシンガーとなったマシュー・コマをフィーチャーしたナンバー。美しいメロディが際立ち、哀愁感もたっぷり、彼のまた新たな魅力を打ち出し、ファンの間でも評価の高い1曲。
2013年にリリースされ、その年の一大アンセムに。

Hardwell & W&W
“Jumper”

Revealed Recordings

hardwell-jumper

2013年に発表した盟友W&Wとのコラボ曲。“1,2,3,ジャンプ!”という盛り上がり必至のフレーズと相まり、現場での機能性は抜群(彼のセットでもしばしば冒頭に使用される)。
2013〜2014年にかけて日本のクラブでも最もプレイされた、ハードウェル楽曲の中でも屈指の激アゲ・チューン。

Hardwell
「UNITED WE ARE」

avex trax

HARDWELL-united-we-are

ハードウェル待望のファースト・アルバム。
米の大人気シンガー:ジェイソン・デルーロをフィーチャーしたEDM×ポップの融合系サウンド“Follow Me”をはじめ全14曲+“Dare You”、“Jumper”など日本版ボーナストラック3曲を収録。ティエストやW&W、ブライト・ライツ、アンバ・シェファードらこれまでも共演経験のあるアーティストたちに加え、ヘッドハンターズや新鋭ジョイ・デイルらも参加。
ハード〜メロディック、さらにはロック、そして壮大な世界観を伴うものやポップネスを感じるものまで、フロアでの機能性をともないながらも様々なサウンドを表現。多種多様な新しきEDMを表現している。

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