昨今のダンスミュージック・シーン、そこではEDMが隆盛を極め、世界中で猛威をふるっているが、2013年にダフト・パンクがアルバム「Random Access Memories」でシーンに一石を投じたように、2015年、今度は彼らが立ち上がる。

その名はケミカル・ブラザーズ。決してEDMが悪いわけではない。ただ脈々と受け継がれてきたダンスミュージックの歴史において、人々の〝踊る〞という欲求を満たすべく、それはもう数多くの快楽的なサウンドが跋扈してきた。
そして、彼らはその中で絶えず新たな魅力を振りまき、世界中を魅了。
そんな、歴戦の猛者であるケミカル・ブラザーズが、新たなサウンドとともに再びシーンに舞い降りる。

トム・ローランズとエド・シモンズ。2人は1992年、母国イギリスにて当初ダスト・ブラザーズ名義で活動を開始し、すぐさまシーンで頭角を表すと同時にケミカル・ブラザーズへと改名。
デビュー時より、ハウス〜テクノ〜ブレイクビーツをはじめとする享楽的なダンスミュージックとロックのダイナミズムを兼ね揃えた斬新なサウンドでアンダーグラウンドからメジャーまで、90年代の音楽シーンにおいて確固たる存在感を示した。それは、数多くのビッグ・フェスへの参加、そしてグラミーやブリットアワードといった名誉ある賞を獲得するなど、世間の認めるところでもある。

そして、その勢いは21世紀に入ってもとどまることなく……むしろ、より加速する。その音楽性もヒップホップやレイヴなど、さらに裾野を広げ、2002年に発表した4枚目のアルバム「Come With Us」をはじめ、リリースする作品全てがダンスミュージック・シーンでも異例の世界的ヒット。
また、彼らの楽曲はワールドワイドに展開するCMや映画などにも多数起用され、アンダーワールドやファットボーイ・スリムらと並ぶ、もはや押しも押されぬスーパースターとなる。

しかしながら、近年では数多くの制作などが相まり、2010年にリリースされたアルバム「時空の彼方へ / Further」以降、ライヴは精力的にこなしながらもオリジナル作品は鳴りを潜めていた。
が、今年いよいよ待望の新作、ケミカル・ブラザーズとして8枚目となるアルバム「Born In The Echoes」が発表されたのだ。

アルバムに先駆け公開されたシングル〝GO〞。ここでは、2005年発表のアルバム「Push the Button」に収録された一大フロア・アンセム〝Galvanize〞でフィーチャーされていたQティップが参加。
さらに言えば、ミュージック・ビデオを手掛けたのはケミカルの盟友であり、今や監督・映像作家として世界にその名を轟かすミシェル・ゴンドリー(ケミカル作品では過去に〝Star Guitar〞などを手掛けている)。
往年の……といった組み合わせだが、ミシェルの相変わらずパンチのある映像もさることながら、その音楽性は〝往年の〞という枕詞に屈しない、懐かしくもフレッシュなサウンドに。
ケミカルならではのフリーキーなビート、シンプルに身体を、そして脳をダイレクトに刺激するそのサウンドは、そこはかとなく大きなエネルギーを内包し、今だからこそ響くレトロ・フューチャリスティックな仕上がりとなっている。

さらに、先行配信されたシングル〝Sometimes I Feel So Deserted〞では、怪奇極まるリズム&ビートメイク、そこではまさに手練手管の妙技を披露。そのバリエーション、懐深さたるや……一筋縄ではいかないポテンシャルをまざまざと見せつけている。

 そんな〝GO〞や〝Sometimes I Feel So Deserted〞が収録された新作「Born In The Echoes」。
そこにはQティップだけでなく、2007年発表の「We are the Night」収録の〝Do It Again〞にも参加していたホット・ネイチャードのボーカル、アリ・ラヴ、さらにはセイント・ヴィンセントやケイト・ル・ボン、そしてベックがゲスト参加。
様々なシーンから錚々たるアーティストを招き、多様なエッセンスを交えることで新たなサウンドへと進化。この5年のモラトリアムを埋めるべく、全16曲、とにかくフィジカルで多幸感に溢れ、ときにトリッピー、ときにファンタスティック、ときにアシッドに、ありとあらゆるダンスミュージックを展開している。

そして、そこにはもちろんケミカルらしさ……まるで子供のように音楽と戯れているかのような2人の遊び心、さらには音楽への愛に満ちあふれている。ダンスミュージックという快楽を擁する音楽において、彼らはいかにも〝楽しみながら作っている〞、そんな雰囲気が作品から透けて見える。
しかも、それはリリースを重ねるごとに増していき、ジャンルやカテゴリーに縛られることのないサウンド、彼らからはあくまで〝踊るため〞の自由な音楽が生まれているのだ。

奇しくもファースト「Exit Planet Dust」から20周年を迎える今年、新作を携え、彼らは再びダンスミュージック・フェスのヘッドライナーへと返り咲く。
実際、数々の英雄たちがそのステージを作り上げたイギリスの伝統ある一大フェス『Glastonbury Festival』をはじめ、世界最先端のミュージック&アートの祭典『Sonar』に超個性派フェス『Bestival』。そして、ここ日本でも真夏の風物詩『SUMMER SONIC』への出演が決定している。
これまで世界各地で数々の伝説的ギグを披露してきた彼ら。今後、新作をひっさげて行われるそのステージは、これまで以上の、一大スペクタクルを見せてくれるに違いない。

ダンスミュージック界最強のモンスターが、再び世界を踊らせる日は近い。


chemical-jkt
The Chemical Brothers
『Born In The Echoes』
UNIVERSAL MUSIC
7月17日発売

『SUMMER SONIC 2015』
2015.8.15(SAT) @QVC MARINE FILD & MAKUHARI MESSE(Tokyo)
2015.8.16(SUN) @MAISHIMA SUMMER SONIC OSAKA SITE(Osaka)
【ACT】The Chemical Brothers / Marilyn Manson / Macklemore & Ryan Lewis / Madeon / All Time Low / Tuxedo / KODALINE / androp / Best Coast / Circa Waves / Pharrell WIlliams / Imagine Dragons / Zedd / D’Angelo And The Vanguard / Clean Bandit / MEW / KANA-BOON / Magic! / Modestep and more
【OPEN/START】9:00/11:00
【TICKET】1日券 ¥15,500 2日券 ¥28,500
プラチナチケット ¥30,000
【INFO】www.summersonic.com