英国音楽界の権威マーキュリープライズを獲得したバンド:アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの中心メンバーであるトランスジェンダーのアーティスト:アントニー・ヘガティ

音楽誌『Q』もその才能を称賛、史上最も偉大な100人のシンガーに選んだアントニーが、自身の女性人格ともいえるアノーニという新たな名義で「HOPELESSNESS」をリリースした。

そんな彼女の音楽活動の変遷、そのルーツを紐解いていこう。

彼女の音楽活動の根源
アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ


アノーニは1971年にイングランドで生まれ、その後オランダ・アムステルダムやアメリカ・カリフォルニア、NYなど様々な都市を転々とする。

もしかしたら、成長期に各都市を巡ったその経験が彼女の魅力のひとつでもある世界の真実を見る力のきっかけとなった、そう言えるかもしれない。

また、同時にその過程の中でカルチャー・クラブなどの性別を超えた中性的な魅力に影響を受けたという。

そして、1992年NYでパフォーマンス・グループ:ブラックリップスを結成。
アンダーグラウンドなクラブシーンで注目を集めながらも1995年には同グループを解散し、その後新たにアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズを始動。
同バンドは、アノーニの前身アントニー・ヘガティが中心となり2000年にデビューした。

過去にはマーキュリー・プライズをはじめ
数々の名誉ある賞を獲得

アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズは、オリジナリティ溢れる音楽性を武器にデビューを果たしたが、最初に注目を集めたのは2003年。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードにフックアップされ、彼のアルバムや世界ツアーに参加することで名を広める。

そして、2005年にリリースしたセカンド・アルバム「I Am a Bird Now」が大ヒット。
さらには、イギリスで最も権威のある音楽賞マーキュリー・プライズを獲得するとともに様々な賞を受賞し、一躍スターダムへとのしあがる。

あくまでロックでありながらも美しく築かれた様式美、そしてアントニーの麗しきファルセットボイスに独特な歌詞の世界観(当時からその才能は突出)。
数多くの魅力を携えたワン&オンリーなサウンドは世界中で絶賛されたのである。

ルー・リードやビョーク……
数々の著名アーティストが彼女を寵愛

前述のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードをはじめ、アノーニ(アントニー・ヘガティ)の才能を讃えるスターは数多く、過去には様々なアーティストとコラボレーションを果たしている。

たとえば、世界の歌姫ビョーク。彼女が2007年にリリースしたアルバム「Volta」では2曲ゲスト参加(後に2010年に発表したアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの4枚目のアルバム「Swanlights」でも再び共演)。

その他にもアメリカのシンガーソングライター:ルーファス・ウェインライト、イギリスのブライアン・フェリー。さらにはオノヨーコ、そしてダンスミュージック・シーンにおいても奇才マシュー・ハーバートとコラボ。
各界の名士たちが彼女のそのポテンシャルに惚れ込んでいるのだ。

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その一方で彼女はある日本人を敬愛し、彼の写真を2009年発表の3枚目のアルバム「The Crying Light」で使用。
その日本人の名は舞踏家、大野一雄。本作もまた世界中で注目を集めた。


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ANOHNI
『HOPELESSNESS』

Rough Trade / Hostess