世界各地で行われる一風変わった祭りを紹介する新連載「世界の祭り」。
その初陣を飾るのは、タイ全土で旧正月に開催される水かけ祭り『ソンクラン』をご紹介。
世代を問わず愛される本祭の現地体験リポートをお届け。

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毎年4月、旧正月を祝う『ソンクラン』という祭りがタイ全土で開催される。
かつては年長者への敬意を示すために水をかける清めの儀式だったが、いつの頃からか、もうちょっと派手にかけてもいいんじゃない? となり、だんだんと無礼講の様相が強まってきて、タイ人ならではないい具合のやさしさと適当さもミックス。
ついにはサウンドシステムや強烈な水鉄砲と放水車まで導入され、いまでは世界最狂のぶっかけ祭りと称される巨大なフェスティバルとなった。

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この祭りの会期中は、どこにいても水をかけられる。若者たちは水鉄砲で武装蜂起し、トゥクトゥク(三輪タクシー)に乗っていたら通り過ぎざまに子供からバケツで水をかけられるなんてこともざら。
軒先で談笑しているのを狙って二階から水が降ってきたり、スーパーの入口では、店員が消火用のホースを装備して客を歓迎する。
バスの窓の隙間を狙って水を入れてくる老人や、コンビニの冷蔵庫の扉を開けた瞬間に中から水鉄砲で撃たれることもある。

 

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『ソンクラン』の基本ルールは“怒らないこと”。
いつ何時、誰からどれだけ水をかけられても、それはありがたい行為であり、怒ってはならない。
もちろんこれはトラベラーにも、子供にも老人にも当てはまる。
唯一、僧侶と王族関係者には水をかけてはダメ。また、どう見ても無防備なキレイな女性がたまに歩いていたりするので、そこは空気を読むのがマナーとなっている。

 

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そんな『ソンクラン』には誰もが懐かしく感じるであろう、祭りやパーティの原体験がある。
共通のキッカケをキーとして、全員が優しく、楽しく振る舞う。言語や年齢、性別や貧富の差もなく、どこまでもフラットで誰とでも笑い合える空間。完全に非日常体験だけど、そのまま日常になって欲しいような日々。

もちろん来年もタイ全土で開催されるので、参加してみては?