音楽シーンの“異端児×異端児”という衝撃的なユニット:ジャックÜがファースト・アルバム「Skrillex and Diplo present Jack Ü」をリリース。
メインストリームとはまったく異なるサウンドを提示しながらも、彼らは常にその先見性と独自性ゆえ時代から求められてきた。

この2人の異端児が掛け合わさったジャックÜの正体に、改めて迫る!

diplo

音楽だけではなく口も達者!
何にも縛られない自由かつ豪快な男、それがディプロ

様々な噂が飛び交うのはスーパースターの証。
孤高の天才ディプロも最近ゴシップ誌を賑わしている。まず高い人気を誇る米の歌姫:ケイティ・ペリーとテイラー・スウィフトの確執からすべては始まった。

この2人はSNSや楽曲などで暗に互いを罵り合う仲だが、ディプロさんはなんとこの時期にケイティと恋仲に。突如Twitterで、テイラー・スウィフトのお尻を揶揄する投稿をすると、グラミー受賞歌手でテイラーと仲の良いロードが参戦し、ディプロの男性器を短小と馬鹿にする……。

その後も舌戦を繰り広げた。最終的には和解したのだが、和解後も「この世で敵に回してはいけないのはテイラーのファンだ。北朝鮮軍よりタチが悪い」と捨て台詞を吐く。
こんな破天荒な男こそ我らが兄貴・ディプロさんなのです。

クルーもひと癖もふた癖もあるヤツばかり!
世界を踊らせるディプロ率いるMad Decent

数々の新しいジャンルを生み出してきたディプロだが、彼の偉業はソロ活動のみで評価されるものではない。
主宰レーベルのMad Decentがそのひとつである。彼はプロデュースワーク、新しいサウンドの発掘のほか、豊かな才能を見出す点にもおいても他の追随を許さない。

最近では、“Harlem Shake”が社会現象にまでなったバウアーを筆頭に、2014年にシーンを席巻したトゥワーク系のアーティストであるDJスネイク、ディロン・フランシスなど常にトレンドを生み出しきた。

また彼の主要ユニットであるメジャー・レイザーもMad Decentからのリリースを重ね、重低音ベースの骨太サウンドのダンスホールを軸とした斬新なプロダクションが、リリースのたびに話題に。
最新作「Peace Is The Mission」も6月にリリースされたばかりで、こちらもディプロの最新の音楽志向を伺える重要な1枚だ。

誰も聴いたことのないビートを発掘し世に送り出してきた真のビートマニア

いまやダンス・ミュージック界の最重要人物であるディプロ。
彼は00年代の初めよりクラブ・ミュージック・シーンで頭角を現し始めたが、一躍その名が世界的に伝播したのは、M.I.A.との諸作での成功だ。

その後も、ヒップホップ、ダンスホール、バイレファンキ、ボルチモアブレイクス、クドゥーロ、トゥワークなど世界中のまだ見ぬ変則的なビートを探し出し、世に紹介してきた。

M.I.A.のほか、スパンク・ロック、サンティゴールド、ブラカ・ソム・システマといったアーティストを輩出し、その先鋭的なプロデュースは唯一無二という他なく、ビヨンセやアッシャー、マドンナといったトップアーティストからもラブコールを受け、楽曲を提供している。
決して誰かの二番煎じではなく、常にゼロから1を生み出してきたのがディプロの凄みだ。

skrillex

わずかなキャリアでグラミー賞を計6度も受賞した“ブロウステップ”の生みの親

スクリレックスことソニー・ムーアもまたディプロ同様に新しい音楽ジャンルを生み出し、ひとつの時代を創りだした“異端児”だ。

キャリアのスタートは早かった。彼が15歳の頃、ハードコアバンド:フロム・ファースト・トゥ・ラストのボーカルを務め、2枚のアルバムをリリースするなど一定の評価を獲得している。
転機となったのは、スクリレックス名義で発表したセカンドEP「Scary Monsters and Nice Sprites」である。
ルーツであるハードコアの暴力的なサウンドとダンス・ミュージックを融合した楽曲は“ブロウステップ”と称され、熱狂的な支持を獲得。
2012年にはグラミー賞を3部門受賞。翌年もグラミー賞を3部門で獲得し、時代の寵児となった。
彼もまたシーンの潮流には目もくれずに、自身のサウンドを追求し続けている。

我が道を行き続ける独創性が異彩を放つ
その先見性が睨むネクストサウンドとは?

出世曲となった“Scary Monsters and Nice Sprites”。冒頭にホラーさながらの「オーマイガー!」という少女の悲鳴が有名だが、元ネタは、YouTubeに投稿された動画
時代性で片付けるのは簡単だが、サンプリングのネタ元を動画投稿サイトに求める先見性とその用途は見事だった。

グラミー賞を6度獲得した段階では、まだアルバムのリリースがなく、ようやく2014年に「RECESS」を発表。
望めば、有名アーティストとのコラボも幾らでも可能だったはずだが、G-DRAGON(BIGBANG)、CL(2NE1)などアジア人アーティストを起用するなど、カッティングエッジな内容で異彩を放った。

本作の制作時期からディプロとの邂逅があり、徐々にサウンドにも彼の影響が見え隠れ。スクリレックスが見据える“ネクスト”に注目が集まる。

シーンを担う多彩なアーティストが多く所属
スクリレックス率いるOWSLAとは!?

ディプロにMad Decentがあるように、スクリレックスにはOWSLAがある。
2011年に設立されたまだ新しいレーベルだが、以前にゼッドやクルッカーズ、ポーター・ロビンソンなどのヒット曲をリリースし、現在もMマシーンズ、セヴン・ライオンズなど気鋭アーティストが多く所属するなど、もっとも注目を集める異能集団だ。
本稿で紹介するジャック・ユーもOWSLAからのリリースであり、スクリレックスとボーイズ・ノイズの大型ユニット:ドッグ・ブラッドも同レーベルから音源を発表している。

彼のサウンドの妙は、多種多様なベース・ミュージックの融合にあり、今後も同レーベルを通じて実験的なサウンドを提示してくれるはずだ。
またスクリレックスのDNAを継承するニューカマーにも注目したい。

JK_jack-u-album

Skrillex and Diplo
『Skrillex and Diplo present Jack Ü』
WARNER MUSIC